第24話 かぐやの使命

「いえ、先に睡蓮に話を聞きましょう。あの子、体壊しやすいから心配なのよ」



「はい、かしこまりました」と、椿はすぐに立ち上がります。



「今も一人泣いているかもしれないわ。急ぎましょう」


 かぐやは怒っていました。自分のために働いてくれている人が悲しい思いをしているなど許せなかったのです。特に睡蓮は麗しい見た目をしており、かぐやも思わず認めてしまうほどの美人でした。そんな彼女が悲しんでいる姿など、想像したくもありません。


 梅子は、椿に次いでベテランです。昔から可愛い子を妬んでいる節がありました。

いびるような喋り方をしているのを、かぐやも何度か聞いたことがあります。しかし目立った嫌がらせはしていなかったように思います。

それとなく信頼していたので、ショックです。信じたい気持ちもありますが、睡蓮が嘘をついているとも思いたくありません。


 かぐや、月から帰ってきて以来の緊張の場面です。先日の金時のことなんてもうどうでもよく思えてきました。このお屋敷の主として、なんとしてでも解決したいとかぐやは拳を固く握りました。


 暫くして、襖の開く音がしました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る