第17話 乾いた会話
「いやそんなことないですよ。今日だって1人で行けって言ったのに……」
「マザコンやないかい」そう言いかけた口を、かぐやは必死で抑えます。いや、母を想う息子というのは素晴らしいことです。しかしこの歳になって母がいないと何もできなくなるのはちょっと話が違います。
「あらそうなんですか」
かぐやは、そう言うのが精一杯でした。しかし大丈夫です。金時が今にも話しをしたそうな顔をしています。
「ママね、金時がいないとダメみたいで」
あはは、と苦笑いをするかぐや。一瞬、誰の話をしているのか分かりませんでしたが、遅れて彼の一人称が名前であることを理解しました。
いや、いいんですよ。自分のことを名前で呼ぶのは、皆に名前を覚えてもらいやすくなりますしね。しかしガタイのいい二十歳を超えた男性がそう言うのは、どこかミスマッチな気がしてしまって。かぐやも困惑しています。
「仲良しなんですね、お二人」
がっはっはと、金時は大きく笑いました。笑い方は意外と男らしいようです。
そんなことを考えている間に、金時によるママの愚痴(自慢)が始まりました。
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