第13話 どうするかぐや

「あなた、本当に彼が私の旦那にふさわしいと思って?」



 かぐやは静かに、しかし熱の籠った声で椿に近付きます。折角綺麗に塗ったおしろいも、眉間のところだけ線が浮き出てしまっています。



「いや、私も今日会ったんです。それにまさかお母さまを連れてくるなんて……」


「あぁそう。言い訳するのね」


「姫様。私は姫様のことを想って……」



 椿が何を言おうが、かぐやの詰め寄りは終わりません。それもそのはずです。喉から手がでるほど欲しかった旦那候補が、子ども部屋からそのままでてきたようなマザコンだったのですから。


「かぐやさん? どうかしましたか?」


 簾の向こうから心配そうな声が聞こえます。


「ほんの少しの情報で相手を判断してしまうのはもったいなくありませんか? 少しお話してみては?」


 椿の意見も聞いて、かぐやは渋々彼と話してみることにしました。

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