第4話 彼女の悩み

 かぐやの悩み、それを言う前にここで一旦、かぐやの人生を振り返ってみましょう。


 まず、かぐやは月で生まれました。しかしとある罪を犯し地球に飛ばされてしまいました。月から見る地球は、文明の遅れた星です。いわば「島流し」ですね。


 それからかぐやは、地球の竹林の中の細い黄金の竹の中に生を受けました。赤子のかぐやには、勿論記憶はありません。

「竹から生まれた美しい女の子」として翁と媼に育てられ、大人になりました。その頃には彼女の美貌は京の都に広がっていました。

求婚する殿方が多く訪れましたが、かぐやは無理難題を出して断ります。というのも、「いつか月に帰るときがくる」とうすうす気づいていたからです。


 最終的には帝まで彼女に求婚しましたが、「あなたと一緒にいることはできない」と断ってしまいました。そして沢山の人を傷つけてしまったかぐやは願いました。「月に帰りたい」と。


 その願いは見事叶い、かぐやは月に帰ってしまいました。地球での記憶は羽衣に消され、月の姫として光の中へ消えてしまいました。


しかし約一年後、かぐやは月から帰ってきました。今度は羽衣を羽織っていません。さて、どうして帰ってきたのか。その理由が、彼女の今の悩みに直結します。


彼女の悩み。それは「結婚ができないこと」です。

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