伯爵家を追い出された生活魔法しか使えない俺の建国記～知らない内に勇者のスキルを受け継いだ俺は、ダメスキル重ねるを使って魔族から追放された半魔族の少女と冒険旅、そして頼れる仲間と世界を救う

第36話 邪神復活

　この国は沼地多い僻地の国……いや、神殿が在るとすれば逆にあり得るか？

ここでザリエカとモディクオの魔力痕跡が消えている。私の気配を察知する者はそうはいまい、もう少し探ってみるか。

「エルフの国が心配ですね」

「そうだね」

「ピィピ」

「どうしたのシュエネ？遊びに行きたいの？」

『ああ、もう。ちょっとリアさんとやら、怪しいのが来てるわよ』

「えっ？は、はい。あのぅ……ミロウク様、怪しい者の気配が致します」

「何だって？ガーマかもしれない。見に行こう、皆さんも気をつけて下さい」

「はい、分かりました」

「確かに嫌な感じがする。でも流石ですねリアさん」

「そ、それはですね、何となくそんな感じが」

『ミロウク様、リスバティ様、居ましたあそこです』

「誰だ！そこに居るのは判っている」

「……ふん、よく判ったな」

「やっぱり、ガーマ、お前だったか」

「なにっ？……貴様、私を知っているのだな」

「俺の顔を忘れたのか？」

「貴様は……貴様は、魔法も使えない筈の無能な冒険者。そして私の邪魔をし計画を台無しにした、忌々しい虫ケラ、またしても邪魔を」

「よくそこまで悪態がつけるな。そこいらのチンピラと変わんない」

「この私をチンピラ呼ばわりか？今の私は力を付け、あの時より更に偉大になったのだ。死ね！バーンアウトダークフレイム！」

「何よそんな物、表裏一体の剣（ケンとメアリ）お願い」

『了解、インバージョン！』

リスバティが表裏一体の剣（ケンとメアリ）を振って、ガーマの魔法をガーマに跳ね返す。

「くっ、小癪な事を、マジックシールド！」

「俺達も成長してるのさ」

「……まあ、いい。ここに貴様達が居ると判っただけでも良しとする。デモニアス様が復活したら真っ先に消してやる。転移！」

「ピィ！」

「なっ、転移できん」

「ミロウク様、今です！」

「分かった」

俺は三日月宗近を抜きガーマの首を狙った。

「貴様ごときに、フィジカルシール……」

ガーマの唱えた不完全なフィジカルシールドで軌道がズレ、三日月宗近が斬ったのはガーマの左腕、ボトリと地に腕が落ちた。

「ぐはっ、糞、転移！」

「あと少しだったのに……」

「残念です」

ーーーー

「ガーマが来ただと！」

「はい」

「まさか、ここに地下神殿が在るとバレたのか？」

「いえ、多分ザリエカ達が戻らないので、見に来ただけだと思います」

「なら良いが」

「先が見えないと落ち着きませんね」

「全くだ。いっそ、こっちから攻め込みたい気分だよ」

「確かにそうですね」

「ああ、そうだ。吹雪の魔道具が完成した」

「ホントですか、良かった」

「しかし、話が聞いた通りなら、デモニアスとやらが復活したら真っ先にミロウクを殺しに来るって事だな」

「そうなりますね」

「大丈夫か？」

「心強い仲間がいますからね」

「そうか」

ーー

「グルマさんにも言われたけど、ガーマの奴は俺を目の敵にして、この国を襲って来る。皆を巻き込んだ形になってしまった」

「そんな悪い神が復活するなら、何処に居ても同じで御座います。私達はミロウク様を信じております」

「そうですよ、お兄ちゃん」

「ありがとう、リコちゃん」

「では、ガーマが来るのを見越して護りを固める算段を致しましょう」

「お願いします、レイオスさん」

　　　　　　　　☆☆☆☆☆

「糞っ、あの小僧、許さん」

『そうカリカリするでないガーマよ』

「デモニアス様」

『私が復活したら、その腕も元に戻してやろう』

「あ、ありがとう御座います。デモニアス様が復活する迄、あとどの程度かかりますでしょうか？」

『この魔道具の魔力供給量なら、あと３日と言う所か』

「そうで御座いますか、心よりお待ちしております」

もう少しの我慢だ。ふはは、この世界の者達は私の下僕になるのだ。

　　　　　　　　☆☆☆☆☆

「陛下、先ほど魔力の揺らぎを確認致しました」

「そうか、……いよいよ復活が近い様だな。各国へ従魔を使いに出すのだ」

「畏まりました」

ーーーーーーーー

エルフの国の従魔から、デモニアス復活の兆しの知らせを受け取った各国は覚悟を決めた。

「いよいよ復活するか」

「大丈夫よ、私達は必ず勝ちます」

「デモニアス様、復活おめでとう御座います」

「うむ、大義であった。ガーマよ祖先の無念を存分に晴らすがよい」

「有り難きお言葉で御座います」

「先ずは約束通り腕を戻すとしよう。リジェネレイト！」

「おお！感謝致します」

「時間が経ってはいたが、ガーマの生命力の賜物であるな。さあ、何処から攻め落とす？」

「勿論、あの憎き西端の小僧の国で御座います」

「よかろう、案内せい」

「はっ！」