第35話 敵襲
エルフとグレコトスの連合軍が全滅して一週間近く経った頃、見張りの人達から連絡が来た。
「大きな氣と共に何かがこちらにやって来ます」
「なるほど、確かに感じる。ミロウク様、大きな氣が2つ、おそらくザリエカとモディクオかと思われます」
「……来たか。皆を例の建物に避難させて下さい」
「畏まりました」
「大丈夫かしら?」
「この時の為に造った建物だ。魔道具で防御されているから大丈夫」
「モディクオ、ちっぽけな国?村みたいなのが有るぞ」
「ふん、抵抗するなら消せばよかろう」
俺達は魔法陣で転移させた防壁の上で奴らを迎え撃つ事にした。空を見ると飛んで来る2体の魔物がいた。
「見えて来ました」
「レイオス、迎撃準備」
「はい、姉御」
「ほほう、やる気か?貴様ら抵抗すればエルフ共と同じ目に合うぞ」
「その通り、退け」
『ふ~ん、狭間の世界で、たかがBクラスの魔物のクセに、力の無い人々に神と崇められて舞い上がったのね』
「だ、誰だ!」
『お前ごときに名乗る必要など無いわ。何れにしても、この国は今までの様にはいかない、手を出したお前達は今日でお仕舞いよ、さようなら』
「何を!喰らえ、ヘルファイアー!」
「来たぞ!」
「お任せあれ、マジックシールド!」
「クソッ、このデモンブレードで直接切り刻んでくれる」
「ま、待て。あれを見ろ」
「ウッ、あれは表裏一体の剣ではないか。何でこんな所に有る」
「嫌な予感がする。一旦、退いた方がいい」
「ふざけるな!なめらられたままなど許されん。大体、あんな小娘にあの剣が思うように操れるわけがあるまい」
「そうだが……」
「赤い奴の方が突っ込んで来る」
『リスバティ様、私達にお任せを』
「解った、ミロウク私にやらせて」
「お、おう、任せた」
心配なのでチラッとリアさんを見たらウインクされた。大丈夫のようだ。
1本の剣だった
「目障りな小娘、お前から血祭りにしてやる」
「『レイジング・アイス・ブレイド!』」
両手に握っていた剣をリスバティが交互に下から振り上げると、迫ってくる赤い奴の目の前にランダムに回転した無数の氷の刃が瞬時に現れた。
赤い奴が気がついた時は既に遅く、止まる事は出来ず荒れ狂う氷の刃の中に突っ込んだ。
「グギャーャー!」
「モディクオ!」
血が霧の状態になって辺りに広がり、バラバラの肉片が飛び散った。
「凄っ!」
「緑の奴が逃げます」
「逃がさないわよ」
リスバティが
「くぅ」
逃げられたと思った瞬間、緑の奴が光に包まれ燃え尽きた。
何が起こった?
「ミロウク様、あれを」
リアが指差す方を観る。
「ブルーアイズドラゴン……」
「何でこんな所に?」
ブルーアイズドラゴンは北の山の方へ悠々と飛んで行った。
「思ったより呆気なかったですね」
「ザリエカとモディクオは、ラバブウとハアルビスに比べればワンランク、いえツーランク落ちるからだと思います」
「そうなのか。でも良かった」
「ホントですね」
「頭、この国は普通じゃ有りませんね」
「そ、そのようだ」
取り合えずザリエカとモディクオは撃退したが安心は出来ない。この事を知ったガーマ来る可能性が有る。
ガデオンに行ってギルドマスターのグルマに事の顛末を話した。
「むぅ~ん、エルフとグレコトスが全滅してるのに……」
「リアさんの話しだとラバブウとハアルビスはランクがかなり高いようです。いっそう気をつけ無いと、ガーマも来るかもしれませんし」
「解った。ミロウクに教えて貰った冷気の魔道具は開発中だ。クラーケンの魔石を使用している」
「何とかなりそうですね」
「うむ。それと、魔人と言われたザリエカとモディクオが倒れたと知ればエルフとグレコトスも気力が戻るかもしれん。連絡してみる」
デモニアスが復活する前ならチャンスかもしれないが、ガーマの力も計り知れない。歯がゆいな。
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「あの魔人が倒されたそうだ」
「本当で御座いますか陛下?」
「うむ」
「では、今が攻め時では有りませんか?」
「そうではあるが……あのガーマは侮れん。これ以上無駄な犠牲は出してはならん。ジーラスカの話しの通り魔道具の開発に専念しよう」
「はっ」
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ザリエカとモディクオの気配が消えた……。何があったと言うのだ?西の地に何か有るのか?
様子を見に行くべきか……エルフの奴らが攻めて来る気配は無い。魔法陣を造っておけば直ぐに戻れる。行くなら今か、ザリエカ達の魔力の跡が残っているうちに。
ーーーー
「ねぇ見てミロウク、レイオスさんに作って貰ったの」
「あの結晶か?うん、とても似合ってるよ」
「そうでしょ」
あれ、今、結晶が微かに光って見えたのだけれど。何だったのだろう。
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