月刊『帝国GT』特集 動き出す湾岸カーレース 各メーカーの皮算用

 富嶽テレビとアヴァロン・アトランティックとガーファ・コーポレーションが共催し、桂華グループが協賛する湾岸カーレースの実行委員会が立ち上がり、実行委員長に富嶽テレビスポーツ局局長が就任。

 記者会見では「関係各所との調整は順調であり、来年元日深夜にて行われるよう準備を進める」事を表明。

 これに合わせて各メーカーが本格的に動き出しており、今回はその各メーカーの動きを見ていきたいと思う。


 まず、このレースは現状では富嶽テレビとアヴァロン・アトランティックとガーファ・コーポレーションのプライベートレースでしかない。

 これは、欧米カーレースにつきものの政治力を排除する事と、コンテンツの独占をこのメディア企業三社で行う為で、ハリウッドではこのレースPR名目でレース映画のロケや出資の話が行われており、調整の為にこの実行委員会を立ち上げたという背景がある。

 もちろん、この現状をプロモーターたちが黙って見ている訳がなく、既にあの手この手で食い込もうとしているという話が耳に届いている現状、実行委員会の立ち上げはある意味必然だったのだろう。


 次に、このレースのポイントは首都高湾岸線を用いた公道レースであり、国や自治体などの法律が絡む諸問題は構造改革特別区域法を用いて柔軟に対処する事が決定しており、湾岸再開発を進める東京都や構造改革を推し進める国が特例としてこのレースを認めたという点があげられる。

 その為、後援に国だけでなく東京都や神奈川県も加わる事が示唆されており、大きな事故が起きれば各所に批判が向く事は避けられず、そういう観点からもレギュレーションの策定には安全を前提に大きな政治力が働いている。

 実行委員会が提示した初期案のレギュレーションは『ナンバーをつけた車』。

 今後細かなレギュレーションが決められてゆくだろうが、車検を通っている事が大前提であり、国内大手三社はそれを踏まえた上でワークスチームを立ち上げる事を記者会見で発表している。

 国内最大手のテイア自動車、鮎川自動車、鈴鹿技研工業はこのレース専用のプロジェクトを立ち上げており、中島重工、巽自動車、鮎川自動車と業務提携している岩崎自動車もこのレースへの参加を表明している。

 この時点で国内のGTフラッグシップカーの出場が確定しており、各メーカーはこのレースに向けてのモデル対応に追われている。


 もちろん、海外メーカーも黙っていない。

 既に米国自動車メーカーは米政府を動かして日本の車検制度の緩和を求めており、欧州メーカーはプロモーターを通じてこのレースを国際レース基準に適応させようと動いている。

 米国メーカーは日本自動車メーカーとの提携等でつながっているので、日本メーカー経由で拠点を設立しチーム編成に着手。現地視察とコース下見に余念がない。

 欧州メーカーも日本法人に調査チームを設立して情報収集をしているが、根強いファンが居るプライベーターチームと協力してレースに参加する動きをみせている。

 

 これら自動車メーカー以上に激しく動いているのがタイヤメーカーで、国内外のタイヤメーカーはこのレースのタイヤ提供の一社独占を狙って激しくつば競り合いを繰り広げており、レギュレーションの詳細が分かるにつれてここがどうなるかが最大のポイントになると見られている。

 また、広告代理店もレース区画の首都高の壁をレース仕様のPR広告にしたいと提案しており、特に現在規制が強化されて広告が出しにくくなっている煙草産業は、プライベートレースの上にたばこ規制の国際条約発効前のため『大手を振ってPRできる最後の国際レース』と踏んで広告代理店を焚きつけ、そのスポンサー枠はまだ固まっても居ないのにすべて売り切れたという。


 もちろん、このレースに対して反対の動きも起こっている。

 国内の環境保護団体は連名で『環境をテーマにしている愛知万博の理念に逆行している』と反対を表明。

 正月深夜とはいえ、首都高の一部分が使用できなくなる事にトラック協会が懸念の声を出しており、実行委員会はその調整に追われている。

 また、岩沢都知事は都が導入した排ガス規制の適用を後援参入の条件にしており、このあたりも今後レギュレーションが固まる過程で動きがあると思われる。


 元日深夜の本戦の前に予選が行われるが、年末の忙しい時期に首都高湾岸線を止めるリスクが大きく、11月後半の深夜に予選を行う事が決定。

 本戦参加チームは安全上から20台までとしたが、既に参加を表明しているワークスとプライベーターチームは36チームを超えてまだ増える予定で、9月後半深夜に一次予選、10月後半の二次予選という形で分ける事も検討しているという。

 これは、40度を超える夏の路面から氷点下近くまで下がる冬の路面まで対応しなければならないという事で、それぞれ参加チームの力量が問われる事になる。


 既に欧米のブックメーカーではこのレースのギャンブルが始まっており……




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大枠だけ決めて、細かい所は詳しい読者にぶん投げるスタイル


煙草の広告禁止

 wikiのタバコ広告 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E5%BA%83%E5%91%8A#:~:text=%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E8%A3%BD%E5%93%81%E8%A6%8F%E5%88%B6%E6%B3%95%E3%81%AE,%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%8C%E7%A6%81%E6%AD%A2%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%80%82


なお、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約が2005年2月27日に発効。

 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/who/fctc.html

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