お嬢様のハンティングゲーム実況深夜放送

「ようこそいらっしゃいました。お嬢様」


「はい。スポンサーなのにレギュラーをやっています桂華院瑠奈です!

 春なんだけどパーカー姿なのは、今回の面子に合わせて買った水着で……」


「脱がなくていいので、進行すすめていいでしょうか?」


「……はい」


「瑠奈ちゃん。聞いていたけど、マジなのね。この番組のスタイル……」


「そのスタイルは嫌いじゃないな」



--ここまでお約束--

--今回のゲストは写真家の石川信光先生と映画監督の白崎孝二先生で『サムライサメ亡霊VS水着公爵令嬢』の話をしてもらいながらハンティングゲームをやろうという企画です--



「という訳で、お嬢様にはそのままパーカー姿でゲームをやってもらいたいのですが」


「で、今日は私に何をさせ……わかっているじゃない!!!

 四人って事は、当然パーティープレイよね!?」



--今日のお嬢様のゲーム--

--ハンティングゲーム--

--2004年3月11日販売--

--今回はお嬢様とADとゲスト二人の四人で先生と呼ばれるモンスターを討伐してもらいます--



「というか、何でゲストこの二人?」


「お嬢様の会社深夜枠で映画やるって決めただろう?

 その解説を引き受けたんだが、その撮影のついでにそこのADに呼ばれた」


「私もお嬢様の水着が撮影できるからってホイホイと」


「こ、このADと石川先生は……」



--なお、撮影はお嬢様の控室にモニターとゲーム機を持ち込んでおります--

--お嬢様つきのメイドが凄い目で睨んでいるのは気にしないでください--



「では、お嬢様の挑戦!

 始めてください!」



--なお、スタート時は片手剣しかありません--

--攻略のポイント--

--欲しい武器を作る場合お金と同時に素材が必要です--

--小さなクエストから順番にやっていってハンターランクをあげましょう--

--今回討伐する相手は一人で討伐すると初心者卒業の大きな壁となるモンスターです--



「肉を焼くわよ!肉!!」


「思ったより金策がきついわねこれ」


「ピッケル代が足りねー」


「ちょっとADもピッケル持って掘りなさいよ!!」



--三人とも撮影を忘れています--



「そういえば石川先生って何で水着撮ろうとするの?」


「そりゃあ美女だからってのがあるけど、写真の方向性が違うのよ」


「方向性?」


「パパラッチ」


「あー。欧州の方だとその手の写真出回っているな」


「遠距離からの覗き見ってのもスキルが必要だからそれは否定しないけど、私が撮りたいのはありのままのお嬢様ではなく、時代を代表する美としてのお嬢様なのよ」


「ボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』みたいなやつ?」


「そう。それ。

 それをお嬢様の写真で撮れたらって思っている訳。

 だからヌード撮影……あっ!」


ちゅどーん!


「石川先生……熱く語るから……」


「なるほど。

 この番組の趣旨が分かった」



--一時間経過--



「装備何するの?」


「俺、大剣」


「わたしはじゃあランスにするわ」


「ゲストの邪魔しないようにライトボウガンで」


「じゃあ、私は映画よろしく片手剣にしましょうか」


「閃光弾と薬の用意も忘れないでよね」


「こういう装備があれば、サムライサメ亡霊を倒すのも楽でしょうに」


「ちょっとAD!

 話の振りが雑過ぎるんだけど!」


「まぁいいさ。

 ただ、次がなかなか思いつかなくてな」


「そーいえば、ここの局長に私芸人って言われたんですけどー」


「www」

「www」

「www」


「三人とも笑うんじゃないわよ!!!」


「なるほど。その局長は良い所をついているな。

 歌手や俳優として使おうとするからイメージが湧かなかった訳だ」


「あーあー。

 白崎監督なにかインスピレーションが湧いたみたいで」


「それはいいんだけど手止まっていますよ」


「あっ……」


ちゅどーん!



--二時間経過--


「きゃああああ!切れ味が落ちたぁぁぁぁ!!!」


「密林で視界が……」


「肉が焦げたwww」


「監督!何やってんの……きゃーーーー!!!」


「誰か閃光玉持ってない!?」



--先生相手に大混乱中--

--ADはライトボウガンでちまちま削っています--



「しゃああああ!先生討伐したぁぁぁぁ!!!」


「百年の恋も冷める気勢と雄たけびをパーカー姿であげちゃってまぁ……」


「石川先生うるさい!いざとなったらパーカーをちらりでまた男子を百年の恋に」


「どうでもいいが、時間無くなるから素材はぎ取らないのか?」



--三時間経過--


「もう一回よ!もう一回!!」


「金と素材……先生を絶滅させる勢いで狩らねば……」


「人の欲って恐ろしいな……まだ時間はあるな?」


「どうします?

 撮影を終わらせてもう少し上を狙ってみます?」



--なお、もう一時間ほどひたすら先生を狩っていました--



「という訳で、撮影はひとまず終わらせるのでお嬢様とゲストの皆様、締めの一言を」


「次は砂竜よ砂竜」


「時間があるならお嬢様の水着写真をエンドロールに」


「いい映画のアイデアが湧いた。

 本当にありがとう」


--なお、今回のエンドロールで使用した写真家の石川信光先生撮影の『砂竜撃破でパーカーがはだけるお嬢さま』の写真は五名様にプレゼント--

--応募方法は……--




────────────────────────────────


書く時間より動画を見る時間の方が長かった話


という訳で白崎孝二監督という名前が決まりました。

作品の方向性はクエンティン・タランティーノ監督に三谷幸喜監督を足して2で割ったような感じで設定。

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