デザイナーメモ 樺太の文化・生活
元社会主義国で住民の多くが地下生活な樺太では独特な文化が形成されている。
今回はそんな生活と文化を紹介したい。
住居
人口の半分以上が集まりその大部分が地下生活を送っている豊原市だが、そういう生活を送っているために住民の多くの肌がとても白い。日光を浴びずに生活が完結できるからであり、肌が焼ける=上流階級という見方もできなくはない。
部屋は基本一人一室を持ち、二・三帖でシャワーとトイレは共用というのが一般家族の部屋割りで、初期の家族は互いの部屋をくっつける事で壁を取り払って部屋を拡張していった。
地区の基本となるブロックごとに共用のサウナ施設があり、住民の数少ない憩いの場となっている。
末期の人口急増時代は時の行政が把握できない違法地下都市が作られたが、その多くがスラム化し生活環境は悪化した。現在は放棄されて犯罪の温床となっている。
また、一部の違法ブロックはマフィア幹部の住まいとして豪勢な地下宮殿のような造りとなっており、台所と食堂を備えている。下手すると正規の住民より良い暮らしをしている所もある。
衣服
温度が一定かつ基本管理されている樺太の地下生活では衣服は基本長袖である。
これは地下に生息する鼠対策であり、露出した肌を噛まれないようにという事だそうだ。
それと、地下における怖さの一つとして酸欠があり、各ブロックには緊急時の酸素ボンベが置かれているのでその装着を阻害しない服装が徹底されている。
これも昔は統制が入り人民服という共通衣装が正規の住民には与えられていた。
社会主義体制が終わり、資本主義の波が押し寄せた時に真っ先に変わったのがこのファッションだった。
スラム街に住まない正規の住民の場合住居があり、食事が配給で我慢できるなら、ある程度衣類に金を投じる事ができたからだ。
末期のロシア系と中華系住民の大量移住によって、まずはロシアや中華の大陸系衣装が席巻し、やがて放送によって東京の番組が流れるようになると東京のファッションがブームとなるのにそう時間はかからなかった。
食事
元々が核シェルターだった豊原地下都市の食事は、地区の食堂で配給食を食べるものだった。
また、その食事も当時の宇宙食を参考にしたもので、安くて最低限の栄養が取れるものになっている。
党幹部などの上級国民は地上のレストランなどを利用する事もあり、地上や浅い階層だと地上で作られた野菜と豊富な海産物の料理が食べられるが、下層に降りていけば行くほど保存の関係からそれらは食べられずに味気ないものになってゆく。
勝手に作られたスラム街ではその配給食すらなく、繁殖したネズミと虫が貴重なたんぱく源だった。
なお、調理は地下都市特有の火気制限があるので、病原菌殺菌の為に蒸すか、蒸気で熱した油で揚げる事が基本になる。
タンパク源がそれとして、ビタミンはというと地下栽培が容易なもやしが中心になり、それでも足りないため地区の食堂では食事と一緒にビタミン剤が配給される。
樺太の本土復帰に合わせて日本食が入ってきているが、食事の文化圏でいうと樺太はロシア側だった。そのため、ロシア風の食事が多い。
また、末期の中華系の流入もあって中華系の料理もスラム街を中心に広がっている。
この時、一気に広がったのはセントラルキッチンによる食事の流通であり、スペースと火気制限がある豊原地下都市では地上のセントラルキッチンから作られた料理を地下の食堂に持って行き、蒸し器で温めて食べる事がブームになる。
特に広く受け入れられたのが蒸し饅頭で、温かくて栄養があり食べやすいこれは、ハンバーガーを凌ぐ広がりを見せている。
産業
ある意味ソ連の人工国家だった樺太がソ連の崩壊と共に倒れるのは必然だったが、それはこの地で二千万人を養う事ができなくなる事を意味していた。
結果、出稼ぎによって彼らは外貨を稼ぐことになる。
外国での傭兵からメイド等まで、第三世界出身者より高い教育とモラルを有していた樺太の出稼ぎ労働者は国内の労働市場を始めとしてアジア一帯に広がっており、彼らが稼ぐ外貨が樺太の収入となっているが、それだけでは足りずに莫大な国費が投入されている。
国営化された産業は国主導によって再編されて民営化の道を進む。
岩崎財閥に売却された樺太重工を除くと、民事再生法を申請した日樺資源開発やマネーロンダリング事件の舞台となった樺太銀行、樺太航空を救済合併して同じく民事再生法を申請した帝興エアライン等、その進捗はあまりはかばかしくないが、天然ガスを始めとした地下資源は有望であり、ロシア鉱山への労働者の出稼ぎは傭兵以上の稼ぎをもたらしている。
一方で林業や製糸業、漁業は順調であり、本土資本の投入もあって順調に発展を続けている。
文化・スポーツ・宗教
文化的にはロシア圏に属しており、宗教はロシア正教会が多数派であり、宗教行事が季節のイベントとして認知されている。
一方で末期に入ってきた華僑のイベントもスラムを中心に広がっており、本土のイベントもテレビを通じて少しずつ認知されつつある。
スポーツはバレーやバスケット等の室内でできるスポーツが一般的であり、本土のテレビによってサッカーや野球も少しずつファン層ができつつある。
気候柄冬季スポーツには強く、冬季五輪の活躍は国威発揚を意図して国家プロジェクトとして強化された経緯がある。
アイスホッケー等は米国に選手を送り出すほどで、この五輪強化プロジェクトは文部科学省管轄に移っても解散されておらず、五輪において活躍を続けている。
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ネズミと虫の食事
『火の鳥 太陽編』
思い出して読み返したのだが、豊原地下都市のイメージはこっちの方が下書きだったかとこれを書いて理解する。
なお、虫とぼかしているが原作ではGである。
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