週刊帝国経済 特集 桂華電機連合の膨張 大規模買収と大規模増益の舞台裏
今期増収増益を達成した桂華電機連合。
日米をまたぐ巨大電機メーカーは大規模な買収を繰り返しているが、好調の陰には不安要因も多い。
今回は膨張する桂華電機連合の現在と将来を見ていきたいと思う。
桂華電機連合 (持ち株会社 主要株主 ムーンライトファンド30% 帝国電話30% 他40%)
TIGバックアップシステム (桂華電機連合保有株50%)
ケイカ・ゲームズ (持ち株会社)
ズガガガ・エンターテインメント (桂華電機連合保有株100%)
ケイカ・RPG (桂華電機連合保有株49%)
ハニカムゲーム (桂華電機連合保有株34%)
桂華宇宙通信 (桂華電機連合保有株100%)
旧古川通信
コンピューター事業
パソコン事業
通信事業
古川プロバイダー
古川ビジネスシステム (桂華電機連合保有株53%)
家電事業
古川冷房製造 (桂華電機連合保有株47%)
古川電池化学 (桂華電機連合保有株51%)
携帯事業
電子デバイス事業
古川半導体検査 (桂華電機連合保有株21%)
古川自動機械製造 (桂華電機連合保有株40%)
旧四洋電機
四洋電池製造 (桂華電機連合保有株49% ムーンライトファンド51%)
四洋小型液晶製造 (桂華電機連合保有株49% ムーンライトファンド51%)
ホープメモリ (桂華電機連合保有株51%)
ポータコン
古川通信北米事業
四洋電機北米事業
パソコン事業
IBem社のPC事業
ボルタラボテクノロジー (研究機関 特許収入 各国の電話・電気通信事業者への機器およびサービス提供)
Mローズセミコンダクター (半導体)
Mローズカーエレクトロニクス (自動車電子部品)
Mローズバイオメトリクス (生体認証)
桂華電機連合 --持ち株会社本体の統制はどこまで?日米にまたがる企業文化は統合できるのか?--
まず第一に強調しておきたいのは、桂華電機連合は持ち株会社であり、その下に古川通信・四洋電機・ポータコンの三社がぶら下がる形になっている。
元々古川通信をめぐるTOBから始まり、四洋電機と合併した上で、米国ポータコンを買収するという経緯でできたこの会社は、桂華グループの中枢であるムーンライトファンドと古川通信の後ろ盾である帝国電話が大株主として君臨している。
その為、設立当初は『負け組連合』とか『本当に日米間の企業統治ができるのか?』という不安の声が上がったが、桂華側がスカウトしたカリン・ビオラCEOは大胆な形でそれに返事をする事になった。
統治をそもそもしなかったのである。
桂華電機連合の上部経営陣は米国内の身内で固めたり抜擢したりで整え、それで米国に本拠を置くポータコンの統治に力を入れたが、古川通信・四洋電機には手をつけなかったのだ。
とはいえ、そのままでは経営陣の鼎の軽重が問われると思ったのか、買収によって本社の直轄となる事業を取得した。
現在、桂華電機連合直轄事業になっているのは、システム開発のバックアップ及びデータセンターを業務とするTIGバックアップシステム、複数のゲームメーカーを管理する持ち株会社のケイカ・ゲームス、ロシアの衛星を用いた宇宙通信事業の桂華宇宙通信の三社。
TIGバックアップシステムはIT革命に伴う銀行のシステム開発のバックアップで多大な収益を上げており、さらに帝亜グループから購入したデータセンター事業部が飛躍的に伸びている。
ケイカ・ゲームスは国内外に著名なゲームソフトを多く抱えているだけでなく、ゲームセンターの運営や出版業などで安定した収益があり、桂華宇宙通信は携帯電話の爆発的普及に伴う通信量の増大が収益を押し上げるという形で、いずれの本社直轄事業も安定した収益源となり、経営の柱として寄与している。
一方、古川通信と四洋電機はどうか。
インタビューでカリン・ビオラCEOが『三年間は手をつけない』と公約したとおり、今のところ一切手をつけようとしていない。40%の中に居る物言う株主たちの一部は『手ぬるい。大胆にリストラすれば更なる増収増益を狙えたのに』と非難する向きもあるが、大株主であるムーンライトファンドと帝国電話にその声に耳を貸す様子はない。
だが、桂華グループ内部の組織再編の結果、ムーンライトファンドが桂華資源開発という形を与えられた上で桂華商会の子会社に収まった事で、不安の声が出ている。
関係者はこう語ってくれた。
「元々ムーンライトファンドは桂華グループのオーナーである桂華院家の財産管理が目的だったという側面があります。
それが、桂華商会の子会社になった事で、桂華商会側の圧力で株を売るかもしれないという懸念が出てきたのです。
元々ITで財を成した桂華グループですが、今は石油を始めとした資源の方に力を入れています。
物言う株主たちが桂華商会の株も買って、桂華電機連合に対する圧力を加えてくるのは容易に想像できることです。
彼らは選択と集中によって、高い企業価値をという旗印を掲げています。
増収増益とはいえ、買収に次ぐ買収で水膨れのように膨張している桂華電機連合は絞れば絞るほど利益が出ると考えているのでしょう」
一方で、帝国電話側も持ち続ける理由がなくなりつつある。
古川通信のTOBでホワイトナイトとして出たはいいが、帝国電話は海外に巨額の投資を相次いで発表している。
盤石の財務体質に問題はないが、物言う株主たちからみればすでに助け終わった相手であり、早く売って利益をという声が株主総会であがっているのも事実である。
現在の桂華電機連合の株価は4500円台を推移しており……
旧古川通信 --選択と集中に伴うムーンライトファンドの影--
旧古川通信は桂華電機連合における事業再編の中核であり、選択と集中の準備段階にある。
だが、その事業再編の為の資金はムーンライトファンドが出す事になっており、それは桂華グループの影響力が深まる事を意味している。
関係者が語ってくれた。
「カリンCEOは米国流リストラを狙っています。
米国流リストラは選択と集中が本質なのですが、古川通信は親子上場が多いうえに保有株比率が微妙なのです。
売り払うのはもったいないぐらいの収益があり、完全子会社化するには高すぎるというラインがゴロゴロあって、どれから手をつけたらいいのか上層部は迷っているみたいですよ」
そんな中で、完全子会社化の噂が立っているのが古川自動機械製造だ。
産業用ロボットで大きな世界シェアをとっており、桂華金融ホールディングスと結んだ自社株買い用のコミットメントラインはこの会社へのTOB資金ではないかと……
旧四洋電機 --桂華電機連合の中核が狙う次期社長と桂華グループの影--
桂華電機連合設立のきっかけは四洋電機の救済であり、その上収益の大半をたたき出している小型液晶事業はムーンライトファンド肝いりの事業なだけに、次期社長は四洋から出るべきだと彼らの鼻息は荒い。
関係者は四洋の現状について語ってくれた。
「桂華グループが四洋の中で欲しかったのが電池と液晶です。
その上で、小型液晶に集中投資を行った結果、デジカメと携帯の爆発的普及で一気にシェアをもぎ取りました。
この二つの事業は桂華電機連合よりムーンライトファンドの方が株保有比率が大きいのです。
桂華グループが絶対に手放したくないと思っているのがここでしょう」
桂華電機連合は携帯に集中投資を行う事で一気にデファクトスタンダードを狙いに行っている。
古川通信内部の携帯事業の統合や、古川電池化学の取り扱いについてまだまだ波乱が……
ポータコン --米国では派手な買収は収益に寄与できるのか?--
経営が低迷していたポータコンは桂華電機連合に入る事で米国において積極的な買収をしかけている。
古川通信および四洋電機の北米事業を譲り受けただけでなく、IBem社のPC事業を買収する事で規模を拡大しコスト削減に成功。
一方で、ボルタラボテクノロジーを買収し特許収入を狙うだけでなく、経営が迷走していたMローズ社から半導体・自動車電子部品・生体認証などの事業を買収する事で新たな収益の柱になる事を期待している。
関係者は語る。
「今回の買収で多くの基本特許が入手できたので、長期的な収益への寄与が見込めます。
そういう戦略がとれたのも、ポータコンが桂華電機連合に買収されて上場していないというのが大きいでしょう。
パソコン販売は直販サイトでの価格競争を避け、早く確実に届ける態勢に注力することで時間短縮に価値を見出す西海岸でのシェア巻き返しに成功しました。
これは、古川通信製のパソコンもポータコンが販売代行しているからで、このあたりは桂華電機連合に入ったメリットなのでしょう」
一方で巨額ののれん代の償却に備えて、前もって償却の積み立てを始める事でのれん代償却を基本認めない米国会計に対処する事を発表しているのだが、その積立金も株主に還元するべきだと物言う株主たちは主張……
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このお嬢様買える物は全部買っていきやがった……
ハニカムゲームス
某北海道のゲーム会社
助けるよなーと思いながら保有株をサイコロで決めた。
ホープメモリ登場時に関連会社だったので桂華電機連合成立時に子会社に。
古川通信の事業は、『2000年度版 図解企業グループと業界地図』 (キャリア・デベロップメント・センター著 高橋書店)を参考にしている。
この頃の日本企業の華やかな事よ……
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