第5話 幕間2
━━━━━━━━━━━━━━━
筋ばって細い腕
水気を失いカサカサになった肌
もう逃げる気力も抵抗する気力も無い
ただ俯いてやせ細った自分の体を見つめることしか出来なかった
そのうち肌がムズムズしてきた
皮膚の下に何かいる?
そう思うと私は無性に体が痒い気がしてきた
ガリガリガリ
皮膚が破れ血が飛び散る
不衛生な爪がどんどん肉までもほじる
最初は左腕だけだったのに
気になりだしたら止まらない
右腕両足両足お腹背中首筋頭
どれだけ掻きむしっても痒みが癒えることは無い
蟲もどんどん湧き出てくる
そんな状況の中
私は昔どこかで読んだ
「痛みが続くと脳内麻薬が出て麻痺するけど痒みは収まった気がするだけ」
という言葉を思い出した
痛みのリミッターの切れて気絶していただろう私の手は拘束具で固定されまだまだサークルの野獣のような男たちの宴が終わることは無いことを示唆している
もう私の頭の中は痒みのことしか考えられない
男たちが私の上に覆いかぶさってる時も痒い、かゆい、カユイ
もう自分の名前さえ思い出せない
カユミが頭を支配する
動かせない腕
どうにかしてこの身体を掻きたい
そうだ
あのカーテンの奥にはガラス
あそこに突っ込めばガラスで身体が掻ける
その後のことなど考えてる余裕はない
男たちの行為が終わった隙
その一瞬
私は体ごと窓へ突っ込んだ
ブチッっと音がして体が裂ける音が身体中を駆け巡る
痛みがカユミを優しく包む
カユミ...
そうか私の名前はカユミ
私自身がカユミ
つらかったカユミが消えていく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます