最終話 夢でもし会えたら無敵な事ね

 竜虎相討つ。

 私達、竜と虎はそれから永い時間を譲らぬ実力で戦い続けました。

 二つの宇宙は、滅亡から一瞬後の世界として復活しました。

 永い間、そうしている内に夢見る者達が見る互いの夢世界の成分は、世界の現実として確固たるものとなっていき、互いの存在を創造主から独立させていったのです。

 それぞれの生命は、眠りの中に対となったもう一つの宇宙を夢見るようになり、二つの宇宙は互いに相手を想い合うものとして創成を支え合う関係となりました。

 夢は互いの現実になったです。

 そんな今も宇宙の主導権を争う竜虎の夢はめません。

 勇者と大魔王は宇宙の果てでこの瞬間も戦い続けます。

 ラノベ『古代中国戦紀・脱ぎたがりドラゴンと出したがりタイガー』によれば、遥か古代から宇宙の果てでは竜と虎が戦い続けているという伝説があり、宇宙を強い想いで支える二人が戦っている間は二つの宇宙は崩壊しないそうです。

 そして思い起こされるあの予言の歌。


「この歌を未来に語り継げよ。

 二つの真世界は夢見る者の心で造られる。

 夢見るもの、悪夢の魔王ゼードゴラーイが降臨し、

 マヨヒノミアの平穏を魔人達が乱す時、

 女勇者薔薇香と大魔王者蘭丸が誕生する。

 この歌で真世界に血を捧げよ。

 二つの真世界は薔薇香と蘭丸の心で造られる。

 夢見るもの、悪夢の魔王ゼードゴラーイを討ち倒し、

 二つの宇宙の平穏を勇者が取り戻す時、

 女勇者薔薇香と大魔王蘭丸が竜虎相討つ。

 この影深き眠り浅き二つの国で」


 あら。歌がマイナーチェンジされているわね。

 永遠の戦い。

 真空の宇宙の果てで幾兆もの光の交差が音を立てて閃き続けます。

「チェストーッ!! 勇者薔薇香ッ! あきらめて僕のハーレムの第一夫人の座に納まれッ!!」

「甘いっ! 甘いわ、大魔王蘭丸っ! コンデンスミルクの如き甘すぎる言葉だけでは私の子宮には届かなくてよっ!!」

 私はいつ終わるとも知れない戦いの中で、ただの名家のお嬢様では味わえない充足を感じていますわ。

 だって、ここでは蘭丸と二人きり。

 いつか醒める夢ならば、体面も気にせず、さんざん破廉恥な言葉で愛を訴えてもいいのですもの。

 夢の恥はかき捨てですわーっ!!

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夢の恥はカキ捨てコ! 田中ざくれろ @devodevo

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