第33話 愚か者の末路
「ユグドラシル」
物入れから、ユグドラシルのツタから作られた
フワフワと宙に浮く、ユグドラシルは
アスガルドの神樹ユグドラシルの幹を傷つける訳にはいきません。
そこで伝うツタを使って、作製された杖なのです。
ただ、伝っていただけでもユグドラシル。
並みの杖ではなくて、他にも面白い使い方が出来るのですけど……。
ここはわたしがもっとも得意とする氷の魔法をさらに増幅させますわ。
ただし、攻撃する訳ではありませんの。
「そんな玩具のような杖で何が出来るというのだ。無駄な足掻きに過ぎん」
ジリジリと一歩一歩、巨体を揺らし近づいてくるナリは余裕なのか、それとも徐々に再生しつつある身体の再生時間を稼いでいるのか。
そのどちらでもあるのかもしれませんけど、本当に気が付いていないのかしら?
だから、愚かなのですわ。
「さようなら。義兄様だったモノ。
「何だと?」
訝しむナリを他所にレオと泉を守れるように
ここで力を抑えるのは危ないですわね。
例えるのなら、朝と夜の空の色かしら?
白と黒の奔流が螺旋を描きながら……それも周囲の物を全て、薙ぎ払い破壊しつくしながら、迫っていました。
狙いは勿論、わたしの前で勝ち誇っていた愚かな兄ナリ。
そして、放ったのは間違いなく、わたしの愛する兄イザーク。
フェンリル狼の放つ
その破壊力は数段上と見てもおかしくないですわ。
スコルの血の匂いをさせたままなのを忘れて、動いたのがナリの致命的なミス。
完全に捉えられていたことにも気が付いていなかったので愚かと申し上げたのですわ。
ナリは奔流に見事に飲まれ、断末魔の悲鳴を上げる間も無く、消滅しました。
「お兄様。派手にやりすぎですわ」
わたしが
森を突き抜けるように広大な荒れ地が広がっています。
大惨事ですわね……。
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