第2話: 学ぶ魔法使い⑦
しかし、二人にいつまでも尽きぬ会話をさせておく訳にもいかなかった。それは舞台がハネた後にでもじっくり楽しんでもらうとして、今はこちらの余興にも付き合っていただかねば後の進行に差し
そろそろ次の段階に進んでもいいんじゃないか、と司会のメガデブゲを
あの、メガネでデブでハゲで陰湿で
それはまさに号泣であった。両の目から
見たくないものを見てしまった……。思わず顔を背け、救いを求める思いでエリスを見ると、あっちもあっちで難しい顔をして俺に助けを求めていた。なにぶん手を離すと視力の魔法が途切れてしまうのでシスティーナの背中にひっついていなければならないのだが、あからさまに場違いなお邪魔虫なのだ。感動の
ならば、と周囲に目を回す。するとアズミ先輩と目が合った。エリスの先輩で、今日は黒のロングヘアーをポニーテールにまとめている女性幻術研究者だ。その彼女の指がまっすぐ伸びて俺を差し、それからカミンスキーの方を差した。何だ? 何を言いたいんだ?
(((な・ん・で・す・かー?)))
大声を上げると今の空気をさらにぶち壊しにしそうだったので、俺は口の動きだけでアズミ先輩に問い直す。すると彼女は再び俺をツンツンと指差し、そしてまたカミンスキーを……、いや、ん? よく見れば奴が持つマイクロ
待て待て待て待て待て待て待て待て待て!!
俺はブンブンブンブン両手を振り回して、そんなの無理だ、絶対無理だ! 俺ただの使い魔だよ!? あんたたちの使いっ走りだよ!? と重ねて意思表示する。
しかしアズミ先輩に両手を合わせて『お願い!』と重ねて指名される。それから先輩はぐる〜っと上半身で舞台全体を示して、大きくバツを描いた。なにがいな? と一瞬思ったが、少し考えたところで理解した。散らばった魔法使いたちにはそれぞれ割り振られた仕事があって一人も空きがなく、カミンスキーの代役をやる暇がないのだ。
一時の感動から覚めてきた一部の観客が異常に気付いたのか、場が少しずつざわつき出した。「これで終わり?」なんて声も聞こえてくる。まずい。雰囲気が濁りはじめている。けど、そう言われても、急に司会を代われったって……。なにしろ台本はペラ紙一枚程度の内容でしかなく、司会進行はほぼ全てメガデブゲの裁量で行われるはずだったのだ。
俺がまごついていると、アズミ先輩だけでなく、チューリン先輩やその他のメンバーにまで拝まれた。マジで困る……。もう一度、エリスの方に救いを求めるが、おしっこを限界まで我慢してる初等部のような顔でむしろ俺に助けを求めていた。
う〜〜ん……、俺がやるしかないのか……。ええい……、
ええい、くそ! メガデブゲめ……!
俺は意を決した。いよいよ膝を折って号泣しだしていたカミンスキーの手からマイクロ
「え〜〜、テステステス。あー、あー、あー、少しよろしいでしょうか」
母娘の間へ割り込んだ俺の声に、観客が夢から醒めたような雰囲気で感動の水底から現実に浮かび戻ってくる。メガデブゲみたいにもっと人を煽るようなセリフ回しができればいいのだろうが、そういう才能は俺にはない。無粋でもなんでもいいからとにかく先に進めるのだ。
幸い、俺の一言で観客席は再びキレイに静まってくれた。使い魔、それも鳥や猫ならともかく、カバンの姿をした使い魔が突然出てきて喋り出したもんだから「そういやアレは一体なんなんだ?」と驚いているのだろう。
「あー、感動の場面にお邪魔して申し訳ありませんが、この辺りでもう一つ、魔法使いからの贈り物をお届けしたいと思います。なお、こちらの
俺の言葉に会場のお客さんからは『おおーっ』と声があがり、舞台上や舞台袖で待機していた魔法使い、研究員たちが一斉に行動を開始した。
舞台中央には今回の助っ人を請け負ってくれた時空魔法の使い手が三人。それから風魔法の研究員を示す、モスグリーンの法衣に身を包んだミナイーダ。彼女はもう一セット用意された白の送信球を持っていて、三人の時空魔法使いたちと一緒に魔法の仕掛けを作り始めた。
「準備の間に、皆様にご紹介したい方がいます。幻術科を導く大賢者であり、世界的な幻術監督でもいらっしゃいますブロウニー・オズ=ディンケンス先生です。先生、お願いします」
観客席から『おー』と小さくない歓声が上がった。カミンスキーと同期であるノラン上級研究員に車椅子を押されて、黒キャップを被ったディンキー先生が舞台の上へとあがり、帽子をあげて一礼した。それに大きな拍手が送られる。カミンスキーの段取りでは確かここで先生から数分間のコメントをもらうはずだったが、俺がマイクを渡そうとすると先生は「いいよいいよ」と左手をふらふらと振ったので、俺は飛ばす事にした。
先生の体調は確かに良さそうだが、それでも体を
そうこうするうちに魔法の準備が終わった。客席も、システィーナたち母娘も、これから何が始まるのかと俺を注視する。
ホント、進行表読んでおいてよかった……。つか、なんで俺がこんな大それた事してるんだ。もう一度カミンスキーを振り返ってみるが、ようやく涙は止まったモノの、奴はいまだ幼女のようにクスンクスンとしゃくり上げていた。これではキモすぎて人前に立たすわけにはいかないだろう。肝心な時にこのクソメガデブゲ野郎が、まったく……。
俺は握ったマイクをつかみ直して緊張を押し殺す。
「では、これからの実験に協力していただく方々をご紹介します。まず、風の魔法を研究されているミナイーダ・リザラズさん」
舞台の中央、白の送信球を何らかの魔法装置にセットしていたミナイーダがこちらを振り向いた姿勢で一礼する。
「つづいて今注目の時空魔法、重力制御魔法を研究されている方々」
ミナイーダの周囲にいた三人の魔法使い達が立ち上がって客席に
「それでは実験の説明をさせていただきます。えー、こちらの四名の方々にご協力いただきまして、例の白い球、送信球ですね、あれを風と重力の魔法でここから上へと上昇させてゆきます。そして送信球から送られた映像を、あちらのチューリン研究員が抱えております黒い球、受信球で受け取ります」
チューリン先輩が観客によく見えるように受信球を
「つまりですね、白い球をこの会場のずっとずっと上空に飛ばし、そこから見える地上の様子を、そこの黒い球へ伝送するわけです。これはおそらく世界で初めての景色となるでしょう」
客席に驚きの波が広がる。『おお、すごい』の声もあがる。だがどう
ならばここが勝負所だ。
「では観客席のみなさま、左右の座席の方と手を繋いでいただけますでしょうか」
観客席が一気に動揺する。当たり前だ、見知らぬ他人といきなり手を繋げといわれてハイと従えるのは幼稚園児かうちのエリスくらいのものだ。だが、
「先ほどシスティーナさんのご協力で実証されましたように、あるいは実験の前説で一部の方に体感していただいたように、この
客席がオオオ————! と一気に湧いた。そして誰も彼もが隣人と手を繋ぎたがった。なかなか面白い光景だった。
この企画の原型を提案したのはエリスだ。システィーナに視力を一時的にでも取り戻させ、母の姿を見せ、じゃあ次に何をして楽しませるのか? そんな議論を重ねていた時、エリスが思い出したのはあの日のディンキー先生の授業だった。先生が現役時代に撮り残したという、超高空からの俯瞰ショット。現在の魔術水準では夢物語だった視野。
ところがそこに中継水晶が現れた。
また、水晶球を上昇させるのに重力制御魔法は最適だった。風の魔法、たとえば
ところが実地試験してみたところ、さらに新たな障壁が現れた。送信球が上空にいくほど、風の影響を受けてしまうのだ。とりわけある程度の高度に達すると突如吹き始める謎の気流には悩まされた。その風圧はゴーレムの張り手にも等しく、重力魔法でゆらゆら上昇していた送信球はあっという間に吹き飛んでいってしまったのだった。
風のことは風使いに聞くのが一番。ということでエリスが助けを求めた先はもちろんミナイーダだ。あれこれ考えた結果、彼女にか細く絞った魔法の
俺は舞台の段取りが順調に進んでいることを確認し、エリスとシスティーナ母娘を
俺は
「皆さん準備はいいですかー?」
客席全体から『はーい!』と子供みたいな返事がきたので俺は吹き出してしまう。ついさっきまで見知らぬ人たちばかりだったというのに、この一体感はなんなんだろうなあ。
エリスの肩によじ登って客席を振り向くと、最後尾近くに良く知った顔を見つけた。レティと、ヴィッキーと親方だ。よかった、三人とも中に入れたのか。このことをエリスに耳打ちしてやると、エリスが小さく「やたっ!」と声を上げた。
それから、要所に配置した魔法使いたちから目や頷きでOKの合図があった。実は中継水晶の伝達能力は未完成で、間に魔力の弱い人間が入ると徐々に解像度が落ちてしまうという問題を持っている。そこで観客席に幻術科の魔法使いを一定間隔で散らばらせ、
「それじゃ一緒にカウントダウンお願いします。ゴー!」
ごぉー! と間髪入れずに大きな声が返ってくる。さっきのメガデブゲの真似だけど、この反応の良さは確かに楽しいなぁ。
「よんー」『よんー!』
天窓の一部が魔法によってオープン状態になり、まばゆい夏の日差しがミナイーダたちを天啓のように射した。
『さんーー!』
白い水晶球に重力制御魔法、
『にーーーー!』
ふんわり、ふんわりと、ついに浮上してゆく白い送信球。だが
『いちーーーーー!!』
送信球はぐんぐん上昇、もう少ししたら天窓を抜ける、という所まで昇る。そしてそこで一旦ストップ。球に埋め込まれたレンズがその場でクルリと客席を向いた。
『ゼローーーーーーー!!!』
そして
息を
……いや、違う。靄ではない。自分の視界に、もう一つの視界が重なっているのだ。メガデブゲによる前説の経験から観客たちは続々と目を閉じ、新たなる視覚体験へとその意識を委ねる。
一瞬の沈黙のあと、視界に重なった映像の正体を素早く感じ取った人から『お〜〜!』と歓声が上がるのがわかった。俺の目、いや意識でも黒い靄が晴れ、二重映しの詳細が見えてくる。それは、天井近くの高い位置から見下ろされる自分たち自身の姿だった。
『オ——————!!!!!!』
大きな歓声が上がった。と同時にちょっとした悲鳴も飛び交う。たぶん高所恐怖症の人たちだろう。送信球が浮いているのはちょうど足元が
その一瞬の騒ぎが落ち着くと、間もなく人々はあるものを熱心に探し始めた。群衆の中にあって一番見つけたくなるもの……、つまり自分の顔だ。見下ろすほどの高みから観る自分の姿がどう見えるのか、俺も急いで観客席の最前列を注視すると——
いた。エリスの膝の上に座って、頭上を仰ぎ見る俺の姿が。見上げる自分を見下ろす、というのはなかなか
するとここで小さなハプニングが発生した。後ろの方から見えない、見えなくなった、と声が聞こえてくる。どうも
いったい何が? と思っていたら、あちこちから「手を離しちゃダメじゃん〜!」なんて笑いあう声が聞こえてきた。どうやら自分の姿を探しおおせた人々の幾らかが、うっかり手を振ろうとして繋いだ手を離してしまったようだ。映像は当然そこで途絶えてしまい、後ろに続く人々への中継が切れた、という訳だ。もちろんうっかり者は慌てて隣人の手を取り直し、リンクも無事回復した。どうやら人というのは、離れた視点から自分の姿を見ると、反射的に手を振ってしまうものらしい。
そんな風に人々をしばらく楽しませてから、天の目は再び上昇を始めた。天窓の枠を過ぎ、ホールの屋根を飛び越えて屋外に。外は学園祭に来た人々でぎっしりで、世界のどこを探してもこれくらい人の集まる場所なんて他にないと思うくらいだった。
「すごい……。人がゴミのようだ……」
「オイ」
言葉を選べ、言葉を。ただ、無数の人混みをそれなりの高さから見下ろすと、人の顔もろくに判別できなくなってちょっと不気味なくらいだった。客席の後ろのほうから子供が「アリだー!」と騒いだのが聞こえたが、なるほど、ちょっとカラフルなアリの群れに見えないことも無い。水晶球はこの様子を楽しめるようにしばらく滞空していたが、再び上昇を始めた。
やがて俺たちのいるホールとその周囲が、俯瞰して見えるほどの高度に届いた。このあたりから『鳥の視点』というところだろうか。演劇ホールやその他の施設の周囲をたくさんの小さな点が往来している。見入っているのか、ずっと盛り上がってきていた観客席が少しずつ静かになっていた。
この高度からだと
そのとき、横手から「ふーンむ」と満足げな
「懐かしい。本当に、懐かしい……」
感傷に
「大正門をご覧なさい。わかりますか?
え? 思わず先生の方を振り向きそうになる。ああ、そうか。俺とエリスは少し前の、夏の日の講義を思い出していた。
「公女の休日の階段広場……。こんな姿をしていたんですね」
目を閉じたまま呟いたエリスに、先生は「そうです」と実に嬉しそうに言った。
「美しいでしょう? 私には、とても懐かしい……」
上空から見下ろす大正門の周囲には人が多くいて、流れが絶えない。それでも敷石の並びに、あるいは柱の建ち並びに、人の流れ様に、かつて存在したという半円状の大階段の輪郭を感じ取ることができた。知らなければ気づかないし、たとえ知っていたとしても、その意味に興味がなければ見過ごしただろう。
しかし、かつての記憶をそこに重ね合わせた時、その姿は心に刻み込まれた物語とともに蘇ってくる。名画とよばれるほどの幻術には、そういう力があるのだと痛感した。
「ふーンむ……。懐かしいですねえ、本当に……」
先生が病身を押してまで見たかったのは、この景色だったのか……。
「そのまま画面を引いていきなさい。ゆっくりとね」
と先生が言った。そんな先生の指示が聞こえたかのように、水晶球が再び上昇をかけた。視界にいっぱいだった学校の全体図も一気に小さくなり、いよいよ都市国家全体がフレームに納まってくる。
「ちょっと、速い」
今度は苦笑しながら先生が演出に文句をつけ、エリスがくすりと笑った。
都市の全図が見えても、それでも大正門はよく目立っていた。白く輝く正門を中心に、放射状に広がっている夏のプルメリア。あふれるほどの緑と光に包まれた魔法の国の姿は、俺が想像していた以上に美しかった。
すると、となりのシスティーナ母娘が小声で何か囁き合っている。母が何かを教えて、娘はそれにはしゃいでいる様子だった。いや二人だけじゃない、観客席のあちこちから似たような響きの歓声が幾つもあがっていた。なんだろう?
「ねえカバン君、ウチってどこ?」
方向音痴なエリスから情けない声が上がる。あ、そうか。みんな今度は自分の家を探しているんだ。
「普通に通学路逆算して探してみろよ。まず校門があって、トリュフォニュウム通りをまっすぐいって、そっからコリウス通りはいって……、あ、あそこだ」
家々が密集した区画の中に見慣れた壁色と、あまり見慣れないこげ茶の屋根。となりにレティの雑貨屋、orangeの姿。
「えー、わたしわかんないー。指でさしてー」
「無茶言うな、
そうこうしているうちに視点が更に引き上がった。店の在り処を探しきれなかったエリスから「あーっ!」と悲鳴があがったが、もちろん急上昇に歯止めはかからない。
これまでは
この高度でまず目につくのは道だった。人家がごちゃごちゃ密集した都市よりも、広い土地を亀の甲羅のように区切っている道路の存在感が強力だ。だが幹線道路も国の中心から外れていくほどに区切りが雑になり、建物も
ただ、それなのに、どこか見覚えがあるこの姿は……。ああ、そうだ! これは、地図の世界だ! 伝説の冒険者、ワードナが
水晶球はここで更に上昇の速度を上げた。多彩な地形に囲まれたプルメリアの姿が見える。何本もの街道が混じり合い、交易の
高度がここまで届くと、もはや想像も絶する、としかいえなかった。
しかし、自然ばかりが目につく景色の端に、なにか角張った、人の手によるものと思しき区画が見えてきた。その近くだけ道も整然と、しかし複雑に入り組んでいる。
……ってことは、つまり他所の国が見えてきたんだ。なら北に見える四角い建築物の集合体はきっと
ならば、南西の山あいに市街を食い込ませているのはケンメンドルフ公国に違いない。プルメリアとは犬猿の仲にあるが、その姿たるや
そして水晶球はさらに次の高度へ。もうだんだん地図で得た知識ですら追いつかなくなって来ているが、視野の端に写り込んでいるのはまず間違いなく超大国・メルキア共和国と、その資力の源となっているメルキア大河だろう。
が……、この広い湖はなんなんだ? おいおい、今までこんなの聞いたことないぞ。それにこの白くて巨大な塊って、まさかコレは山……、でいいのか? 山頂に雪をかぶった山? 待てよ、今は夏だぞ? いくらなんでも巨大すぎる。これじゃあ街より……、いや国より大きいはずだぞ?
すげえ……! 初めて見たどころか、初めて知ったものばかりだ……。こんな大きなものがあったなんて、地図にも本にも新聞にも載ってなかった!
いま、『世界』はもう俺たちの知識を遥か超えたところにあった。夢にも思わなかった世界の真実がここにあった。世界は、俺たちが知っている以上に、とてもとても広かったのだ!
なんだかよくわからないが、俺の内側で嬉しさがこみ上げてくる。誰も知らなかった大きな大きなことの突端に、俺たちは手を触れたのだ。知らなかったことを知りつつある楽しさにただひたすらワクワクする。そんな期待を越えた大きな驚きに包まれながら、俺の中には更なる期待が芽を出し始めていた。
そして、みんなも同じことを感じているのだろうか、知らぬ間に場が完全に静まり返っていた。それでいて、隠し切れない熱を
その熱に応じようというのか、水晶球は再び高度を上げ始めた。たぶんこれが最後の上昇だ。先ほどの大山さえも、巨大湖すらも、またも小さく遠くになってゆく。それでも世界はどこまでも広がって終わりが無く、俺は恐ろしささえ覚えはじめていた。見えている大地はほとんど緑一色で、高度を上げるごとにその色味が薄まって、徐々に青っぽくなっていった。青い空の中に入れば入るほど、見える物もやっぱり青くなることに俺は感動する。
そして、その瞬間がやって来た。
もはや自分の国さえどこにあるのか判別がつかなくなった高度、その視野の端に、遂に現れ始めたのだ。青い、明らかに青い領域が。
『海』が——。
がくん、と上昇が止まった。なぜだ。海はまだその
しかし上昇は止まったまま。いったい何を
エリスに事態を耳打ちすると、エリスは映像のリンクが途切れないようシスティーナとディンキー先生の手を繋げてから立ち上がった。大慌てでミナイーダの元に駆け寄ろうとする俺たちに、先生が
「エリシェル君、一つ伝言を頼みたいのですが」と注文を付けた。
その内容を確かめてから、俺たちはミナイーダのところまで走った。
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