第103話 ジン達の帰国報告

ジン達ヒューイ、イリーナ達とドールを入れて6人は『空飛ぶ車に』乗り、セモアまで空を飛んで5時間ほどしてセモアの自宅に戻って来た。


ジンは先ずリビングに『転移柱』を設置して、エルネスが魔族城から直ぐにジンの家にこれるようにして、『遠距離通話器』でエルネスティーネに連絡すると何故か直ぐにエルネスティーネが一瞬でジンの家のリビングに現れた。


「えへへへへ、来ちゃったでござる」


「ジンパパの家でごじゃるな?珍しい作りじゃがとても居心地がいいでごじゃる」


「お前、今が大変な時期だぞ!直ぐ戻って先ずはエルネス、自分の所の地盤をしっかり固めてから遊びに来い」


「俺も王様と話がついたら、皆を連れて手伝いに行くから」


「わかったのですじゃ!パパ、早く来て欲しいのじゃ」そう言うとさっさと魔王城に戻って行った。


「ジン、すっかり気に入られてしまったわね」とイリーナが笑いながらジンに言う。


「明日は、先ずハリス侯爵様のところに報告に行き、出来たら一緒に王様に面会して魔族国家と交流を持つよう進言したいな」


「それがいいわね、先ずはハリス侯爵に連絡しておくわ」とイリーナが『遠距離通話器』でハリス侯爵を呼び出すと、侯爵は王都のダルゼの侯爵の館にいると言うのでイリーナがかいつまんで事の成り行きを話、改めて明日の昼過ぎに侯爵様に会いに行き、一緒に王様に面会することにした。


翌日『空飛ぶ車』で一瞬にして【転移】で侯爵邸の門前に現れ衛兵に言って、侍従長が現れた。


侍従長に付いて行き、ハリス侯爵に執務室の扉を開けた。


侯爵は元気な皆の顔を見て初めて笑顔になった。


「随分心配したよ!魔王と対決すると聞いてもし、君達で防げなかったら人族は滅びる運命かと居ても立っても居られないくらいだったよ」


「御心配掛けてすみません、急遽決めて飛出したものでご連絡等が後手になりました。結論から言うと前大魔王が卑怯な企てで殺され、彼は人族と共に手を携えて平和に暮したいと願っていた魔王様だったのですが、今の魔王は人族をすべて殺し魔族んがこの世界を支配するという野望を持っていましたが、前魔王の一粒種の真の魔王であるエルネスと我々が魔王とその配下を殲滅したのでご安心下さい」


「エルネスが人族と共に平和に暮らす事を望んでおり、近く我が国の王と会い平和条約を結んで共に自由に行き来したいと申しております。ついては侯爵様から王様にその旨をお伝えして、条約を結んで欲しいのです。彼女は聖女の母と前魔王様との子供で魔族と人族のハーフです」


「付け足すとジンがえらく彼女に気に入られジンパパと呼ばれてるわ」とイリーナが爆弾発言をした。


「儂も魔族が平和を望むのは喜ばしいことなので是非王様に進言しよう!」


「ところで魔族は矢張り人族よりは強いのかな?」


「ええ、魔力が人族の数倍有るので通常では人族が負けるでしょうが、ここにいる3魔女は人間より魔族よりの別格の3人ですので楽勝でしたよ」


「侯爵様が王様と打合せを終えたら私達が魔王殿を我が家に呼んで、王都に【転移】でお連れします」


「了解した。直ぐに王都に向かう」


「私達はセモアにおりますので連絡頂ければ直ぐに魔王殿をお連れします」


ジン達は【転移】で一瞬にしてセモアの自宅に戻り、一息ついていると魔王エルネスから『遠距離通話器』で「今からジンパパ達の家に爺と騎士5人を連れて参るのでよろしくですじゃ」と言ったかと思うとて『転移柱』に7人の魔族達が現れた。


「てへへへへ!ジンパパ、またまた来たっちゃでごじゃる」


「ヒューイお姉、又会えて嬉しいでごじゃる」


「ジン殿、急な訪問を許してくだされ、魔王様がどうしてもジン殿達と過ごしたいともうされて・・・」とゲルハルトがすまなさそうに言った。


「いや、ちょうど良かったですよ、我々もハリス侯爵様という方にエルネス様のことを伝え、王都に向かってもらったところです。間も無く王都から我が国と魔王国との平和条約の締結に向けて王都で王様と魔王様の会談を開く運びになると思いますので、それまで我が家でのんびりお待ちください」


「イリーナママ、妾はジンパパと同部屋でよろしいですじゃ」


「エルネスちゃんはいいと言ってもジン君が・・・」とイリーナが苦笑いを浮かべている。


「エルネス、私と一緒の部屋で過ごそう」とヒューイが助け舟を出し、部屋割りは

エルネス、ヒューイがヒューイの部屋で、ゲルハルト氏は騎士団長とふたり部屋に、残り4人もふたり部屋の客間を利用することになり、まずは騎士団も全員鎧を部屋に脱いでリビングでケーキとお茶をすることになった。


「こここのお菓子は何でごじゃるか?妾はこんな美味しいお菓子は食べたことがないでごじゃる」


「本当に私は人族の土地にも何度か前王様と王妃様の護衛で来ましたがこれ程おいしいお菓子はお目に掛かった事がございません」とゲルハルト。


「爺でもそうなのか?」


「エルネスちゃん、これはこの家だけで食べれるケーキというお菓子よ」とイリーナが笑いながら説明してくれた。


「ジンパパが作ったのでごじゃるか?」


「いや、俺が作った訳ではなく『マジックアイテム』の『美食の皿』が俺の知っているお菓子を出してくれただけだよ」


「それにしてもこんなお菓子を知っているとはジン殿は流石ですな」と爺のゲルハルト殿が感心している。


ジン達は王都に行き王様と魔族との平和条約の締結の件を話し合って来たことを告げ、2、3日中に王都から魔王様と王様の会見ができる旨、伝えていると早速王様から『遠距離通話器』で”3日後に王都でエルネスティーナ魔王と会談して条約締結をしたい”との連絡が来た。


3日後【転移】王都に行き、門からは馬車で王宮に行くことにした。


「きょうから2日間ほどエルメス、我が家に滞在してセモアの街や、俺たちの研究室でも見て過ごしてくれ」


「わかったでごじゃるよ、ジンパパ!それでパパに相談があるのでごじゃる。爺から説明して賜う」


「ジン殿、エルケハルトが国を治めている間にだいぶ荒んでしまっている魔族国家を立て直すために、ジン殿のお知恵とお力をお借りしたいのです。勿論ただというわけにいかないのは存じておりますので、エルケハルトが国民から奪った『マジックアイテム』を好きなでけお渡ししまうので、何卒ご協力のほどお願いします」


「エルネスの父君からも頼まれたし、別にエルケハルトの物なぞいらんから協力するよ、イリーナさん達と一緒に魔族国のダンジョンをも冒険しながらしばらくは魔族の地を散策させてくれればいいよ」


「ええ、私たちも女性の観点から街のインフラや荒廃した街の復興をお手伝いしますわ」とイリーナがゲルハルトに言う。


「皆様かたじけのうござる」


「ゲルハルト殿、そんなかた苦しく考えず、俺の娘の願いだからと、そう思ってくれる程度でいいぞ」


その後、騎士達5人も含めて皆で夕食をした。

勿論、メニューはエルネス達のために”エビフライとハンバーグ”の豪華な(?)夕食となった。


魔族の騎士達は「美味しい、美味しい!」と驚愕して食べ、エルネスも「ジンパパ、時々我が家でこの料理を作ってくだされ、お願いじゃ!」と甘ったれていた。


翌日はヒューイとエルネス、イザベラがセモアの街を午前中から散策して港町と魚料理を食べてくると言って、騎士団5人を護衛に出かけて行った。


一方ジンとゲルハルト、イリーナ姉妹は魔族国家の先ず王都”レーピア”のインフラから手をつけていこうと相談していた。


ジンは<タブレット>の【GOD】に『レーピアの街の地図』を表示させ、王宮を中心に街造りをして行く方針を立てた。


ジンは【GOD】に『王宮を中心に上下水道の設置と処理の最善方法を示せ』と打ち込みenterをポチった。


王宮のある場所を中心に今ある街並みを壊すこと無くどのように下水道を施設すれば良いのか、水道施設はどうすれば良いのか、地図上に表示され、その方法も書かれて表示された。


「ジン、先ずは生活するには上下水道だけど、下水処理の掘削はどうするの?」


「そうだね、これは土魔法で下水管と水道管が入る程度の溝を掘って、処理施設は海の近くに綺麗に処理した水が流れる様にするよ。下水の管を埋め込む時に同時に水道管も埋め込んで各家々に引き込み口を設けて、我が家と同じ様にお湯と水が出る様にしてあげる。2、3軒の家を作り込んであげ、他の家も使いたいと言われれば少し時間をもらいながら街全戸の家に普及させれば良いよ」


「ゲルハルト殿、飲料水は今現在どうされてます?」


「魔王城の中に昔から”枯れずの泉”というのが有り、そこの水を使ってます」


「お城の水はそれでいいとして、街は?」


「各家々で地下水を組み上げる井戸を使っておりますな」


「わかりました、各家の水はそそのままで行きましょう、それぞれの家に湯沸かし器というものを取り付けて魔石でお湯が出る様にします」


「私達は街灯設置をするわ、ジンが街路灯を作ってくれたら魔石を埋め込む作業を順番に設置して・・・」とイリーナが言ってくれた。


「ジン殿、作業には勿論魔族の労働者も使って貰って構わないのでよろしくたのみます」


「王都レービアが終わったら、各町との街道を整理して、大きな主要都市と王都を結ぶ『魔動鉄道網』を設置すれば、馬車で移動しないで貴族達が王都にすぐこれるのでそれを各主要都市に俺が作り込むよ」


ジンやイリーナ達とゲルハルトが打ち合わせをし終えた頃、セモアの街からエルネス達が戻り、にぎやかなお茶の時間を過ごすことになった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る