第99話 セモアの自宅で訓練

シルコレア帝国の最北端に位置するパラメーラに潜んで居た魔族四将軍のグゼーを倒し、セモアの自宅に久しぶりに戻って来た。


イリーナが『遠距離通話器』でハリス侯爵に全ての魔族を取り敢えずは倒したと報告して、今後はその経験を生かして暫くはセモアの自宅で訓練をして技術を更にアップすると伝えて通信を切った。


「ジン、先ずは久しぶりに貴方の入れるアメリカンとケーキを出してくれない?」とイザベラ。


「先ずは食い気なんだな、ドール、悪いけどずっとフジを遊ばせて居なかったから庭で自由に遊ばせてあげて」と伝え、『美食の皿』からショートケーキとチョコレートケーキを3個ずつ出した。


「先ずは俺は地下の作業場に行って、『魔拳銃』の複製をヒューイ、ドール、イリーナさん、イザベラ、イリアおばさんの5個を作るよ」


「私とドールは良いわ!物理攻撃はこの腕とスピードを更に鍛えるから」とヒューイが頼もしいことを言ってくれる。


確かに近接戦で有ればヒューイの力が有ればシールドも打ち砕くし、再生される前に魔石を手刀で奪い取って破壊できる、ただ距離が有る場合はそうもいかない。


「その時はイリーナさん達に任せるか【転移】で一瞬で近くに行くわ!」と言って『魔拳銃』は固辞した。


ジンはもっともだと、結局3丁の複製だけし、あとは”魔女の道楽”に補充する魔道具作りを1日掛けて作った。

特に”魔物避けテント”が好評で数が少なくなったので少し余分に50張り複製で作った。


明日はヒューイの『神龍剣』に”再生阻害の術式”を付与する予定でいる。

あとヒューイに『亜空間魔法』の伝授だ。


訓練場ではイリーナ達3人の魔女がジンが作ってくれた『魔拳銃』を試射している。

女性にはかなり反動が大きく、なかなか的に正確に当てれないが【身体強化】を掛けて打つことによって2時間ほどしたら正確に的を居抜ける様になった。


「1日おきにこの『魔拳銃』の訓練をして、いざという時に素早く撃てる様にしましょう」とイリーナが娘と妹のイリアに言う。


「撃つ時と云うか魔族との戦いが開始されたら直ぐに【身体強化】を掛けて戦わないと駄目ね!『魔拳銃』だけでなく相手の【転移】に対応してシールドと身体強化は必須だわ」とイザベラも3人で話し合っていた。


ヒューイはドールとお互いに【転移】をしながら剣で相手の裏を取って戦う接近戦の練習をしていた。

相手が一瞬で消えた瞬間に自分も一瞬で消えて距離を取り合う訓練だ。


その一瞬の時に、自分が居た所に【土魔法】を施して、相手が襲ってくるであろう場所の位置を改竄するとか、その位置に【アースニードル】を掛けるとか工夫をして戦っていた。



翌日訓練場ではヒューイの『神龍剣』とジンは自分の『煌剣』に”再生阻害”の魔法を付与する作業をしている。


【イレージング】は物の分子構造を破壊して二度と存在を不可能にする魔法でこの世界ではジン以外では不可能な魔法スキルだ。そのため剣にそれを付加することはジン以外ではできない作業だった。


幸いジンは魔法陣解析レベルが限界値超えをしており、複雑極まりない魔法陣と地球に居た頃の量子学を駆使してこの難題をクリアーしていった。


この【イレージング】と【ブラックホール】だけは、魔法コピーを持つスキルの人間や魔族でも不可能で魔王にも有効な魔法だ。


朝から掛けて夕方迄かかり、「できたぁ!」とジンが叫んでヒューイに『神龍剣』を渡し、『煌剣』を自分の腰に収めた。


「ヒューイ、『亜空間魔法』迄訓練は出来なかったが『神龍剣』には【イレージング】を施したから、ヒューイでも【イレージング】を放てるし、この剣で切り落とせば再生されないで首を落とせるぞ」


「ありがとうパパ、これで本当に無敵になったわ!」


「さぁ、夕食を食べたら『亜空間魔法』の取得の訓練をしよう」とジン。


二人は地下の訓練場を後にした。


6人でセモアの自宅で久しぶりに夕食を食べる。


夕食を食べ終えて、ヒューイとジンは地下の訓練場に行き『亜空間魔法』に取り掛かった。


「ヒューイ、『亜空間魔法』は無属性魔法のレベルがLv2000以上で発動するのだけど、ヒューイはそのレベルに達しているから問題なくできるが、取っ掛かりとして以前古代人遺跡で発見した『亜空間操作器』を使ってイメージを掴み取る方が楽に展開出来るぞ!」


そう言って、ストレージからジンは『亜空間操作器』をヒューイにつけてもらい訓練を始める。


ヒューイが『亜空間操作器』のボタンを押すと、ヒューイの魔力から機器に魔力が流れ込む感覚を感じるヒューイ。


すると目の前に『亜空間』領域が出現した。


「ヒューイ、その目の前の空間はヒューイや俺で無いと見れない空間だ!たとえ魔族の高位でも、魔王さえもこれは見えないはずだ。俺とヒューイの間柄だから見える空間だよ。出入りも俺達二人は自由で、他の生き物、物質はヒューイが念じなければ入れない」


「パパ、ボタンを押したらほんの少し魔力をもって行かれる感覚だけど、この感覚を覚えれば『亜空間操作器』が無くても空間を作り出せるのね?」


ヒューイはボタンを押して2、3回空間を作り出すことを繰り返し、感覚をつかんだのか、ボタンを操作せずに念じて作り出して見る。


最初の4、5回は不安定で歪んだり直ぐ消えたりしたが繰り返し発生させてついには『亜空間操作器』無しで安定した『亜空間』を作り出せるようになった。


空間の大きさも莫大なヒューイの魔力で自由にかなり大きい『亜空間』を創り出せている。


「ヒューイ、これで『神龍剣』で相手の魔力とスキルを奪えないで戦いが長引いてもこの『亜空間』に閉じ込めて”消えろ”と念じて空間を消せば相手の魔物や魔族は消えて無くなるぞ!」


「パパ、これで魔王も私でも倒せるようになったわ!」


「ただ魔王がどのような魔法をもっているかによるよな、相手も『亜空間魔法』を使えるとこの空間を俺やヒューイ、ドールが剣で切り裂いて脱出出来なければ逆に『亜空間』とともに消されてしまうだろ」


「パパの『亜空間』に入って『神龍剣』で破壊できるか検証して見るわ」


ジンとヒューイはお互いに『亜空間』を作り、その相手の『亜空間』を剣で斬り裂けるのか試してみる。


ジンは『煌剣』に自分の魔力を流し込みヒューイの亜空間を切り裂いてみる。

最初は魔力を流さずやって見るが切れない。

次に少し流して切ってみたが、やはり切れない。


次にある程度の魔力を剣に流して切り咲いて見ると、パリンと乾いた音を立てて『亜空間』が消滅して元の位置にジンが立っていた。


今度はジンの『亜空間』にヒューイが入り『神龍剣』で切り裂いてみる。

結果はジンがやった事と同じ結果でかなり魔力を剣に流すと斬り裂けることがわかった。


逆に『亜空間魔法』に魔力を強く流せばそれだけ空間の強度も増すことがわかり、魔王に対して使う場合は、強力な魔力で空間を作り直ぐ空間を消滅させればさしもの魔王もたちどころに消えることがわかった。


ドールにも同様に訓練してあげて、3人は『亜空間魔法』をマスターしたのだった。


一方3魔女のイリーナ、イリア、イザベラは自分たちの攻撃よりもジン達の戦いの弱点にならない為の自分たちの防御力を更に高める訓練を始めていた。


3人とも『魔力増幅器リング』をジンに頼んで更に強力な増幅器にしてもらい、増幅はばを2倍から10倍迄瞬時に調整できるように改良してもらい、10倍で『シールドリング』で己を守る訓練をしている。


イリーナが二人のシールドに向けて『魔導銃』で強力な【インフェルノ】をぶつけてシールドが破壊されないかを確認して何度も強度と魔力をチェックしていた。


「イリア、イザベラ最後は『魔拳銃』で『レーザー砲』を放っても耐えれるか実験よ、自分の魔力を最大にして増幅幅も最大にしてシールドを作ってね」


物凄い勢いで『レーザー砲』が二人のシールドに向かって放たれたが全く無傷でいた。


「これで、ジン達の足手まといにならないで済むわね」と3人も実験をやめて、6人はリビングに上がってお茶にした。



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