第94話 魔族との戦い(グラバド編2)

ジン達はカルバラの2体の魔族を6人の連携プレーで討伐してその日はカルバラの”清流の宿”で1泊することにした。


「相手の魔族に【ディスペル】を持ったものが居るとやはり連携プレーで倒さないと辛いわね!特に私たちはジン君やヒューイちゃん達の様に剣の達人では無いから魔法有りきの戦いですものね」とイリアおばさんがジン達の200号室に集まりコーヒーを飲みながらショートケーキを口にほうばった。


「それじゃ、グラバド王国最後の魔族討伐地ベルセタに行くに従い3体の魔族の潜んで知る場所を調べますね」


ジンはいつもの通り<タブレット>の【GOD】に『ベルセタに潜む魔族の場所を示し、また彼らの魔法特性とスキルを教えてください』と打ち込みenterキーをクリックした。


『ベルセタの街から3キロ東方の森の中500メートル入った大木の上30メートルの枝に小さな小屋を作りそこに潜んで街の様子を伺って居る。彼ら3体は全員が背中に翼を持ち、自由に空を飛び、魔法特性は4属性と闇魔法の中級を3体共放つ力が有る。【シールド】、【ディスペル】のスキルがないため魔法攻撃は有効だが

中級程度では相殺されて効果はない。スキルは3体とも幻影のスキルと影師のスキルを持って居るため影を踏まれない事、相手の影に注意する事が重要』


「なるほど、魔法は3魔女であれば全員上級魔法を打てるので有効ですね、後相手の影に踊らされずしっかり本体に攻撃できれば大丈夫でしょう、空に逃げるのはみなさん上級のファイアランスやアースランス、アイスランスを打てるので逃げられることは無いと思います。もっとも逃げられない様に結界で囲ってもいいので翼の件は無視していけると思います。幻影は精神に攻め込んでくる魔法なのでこれに関しては強い精神力を保って戦ってください」


「明日早朝早めの朝食を食べたらすぐにベルセタの潜んで居る森に直接【転移】して午前中には最後の国シルコレア帝国に移動したいと思っております」


「ジン君は結構急いで居るみたいね、どうして?」とイリーナ。


「いや、魔王が復活する前に取り急ぎ人族の国に潜んで居る魔族だけでも一掃しておいて、我が家に戻り、6人の魔力アップと技術向上をしたいと考えて居るので、それと早く家で皆んなとゆっくりしたいのが本音ですが・・・」


「そうね、とりあえずは人間の国から魔族を一掃してあとは魔王を迎え打てる様にしときたいわね。それでは先ずは夕食を食べて腹ごしらえしましょ」


階下に降りて行き、6人で宿の食堂の空いている席に座った。


「すみません、エール3杯と果実ジュース2杯につまみ盛り合わせで2皿お願いします」


「はいニャン!エール3杯と果実ジュース2杯で銅貨15枚ですニャン、つまみ2皿はお泊りなのでサービスするですニャン」


しばらくするとエールと果実ジュースを持って猫族の娘さんがきた。


「すぐ、盛り付けの2皿も持ってきますニャン」


大皿にポテトフライと魚のフライが沢山盛ってよろよろしながら重たそうに持ってきてくれた。


「つまみだけでお腹がいっぱいになりそうだわね、ヒューイちゃんが居るから余ることは無いけど・・・」


つまみをヒューイに任せてジン達は定食を食べ始めて、ジンは早々に食べ終えていた。


ヒューイは定食とつまみを交互に食べながら結局ほとんどのつまみを彼女一人で食べきって夕定食も完食してしまった。


明日が早いので夕食後各自の部屋に上がって各自、体を休めて早めに就寝した。


翌朝5時に朝食をとり猫娘さんにお礼を言って宿を出た。


宿から『空飛ぶ車』でカルバラの街を出て人目がないのを確認していっきに【転移】でベルセタの街の門の前に現れ、冒険者カードを提示してギルドに向かった。


まだ6時少し前だというのに既にクエストを見に、5、6人の若い冒険者らが掲示板の前にたむろして居る。


受付には未だ女性はおらず、代わりに昨夜からの遅番の男性陣が3人早朝の受付をして居る。


ジンはカルバラギルドマスターが書いてくれた手紙を男性の受付に出して、

「未だギルドマスター殿は出勤されていないと思いますのでカルバラのギルマス、ハウゼンさんから預かった手紙を出勤次第渡して貰えませんか?我々はギルド統括会議の決定によりこれよりベルセタ郊外の森に潜む魔族3体を討伐してきますので、討伐を終えたらサイドこちらに報告に上がります」


「ええ?魔族ですか?3体も相手に大丈夫ですか?」


「我々が3時間しても戻らなければギルマスにこの街から避難指示を出してみなさんを避難させる様、要請してください」


受付の男性はジン達のギルドカードを見て納得した様で、カルバラのギルマスからの手紙を受け取って「必ずギルドマスターに渡します」とジンに伝えた。


ジン達は<タブレット>に表示されたベルセタの門を東に3キロ行った森に来た。

魔族が潜む大樹迄100メートル手前で木の枝30メートル地上にある魔族の住処を確認して、ジンが家ごと丸々【結界】で囲い込み、イザベラ【エアカッター】で枝ごと切り落として地上に魔族の小屋をジン達の目の前に落とした。


3体の魔族が剣で結界を切り裂いて出て来た。


「ジン、あなたの結界が切り裂かれてしまったわよ」と驚いてイリーナが言うが、


「イリーナさん、パパの結界は態と剣で簡単に破壊できる様にいつもの1/100の魔力で作ったからBランクの剣でも簡単に破壊できるわ」


「それより、私が3体のスキルと魔法を奪ってしまうので、3人さんは魔族の翼を破壊してください」


「了解よ」


3人の魔女達は無詠唱ですぐに魔族3体の翼を【ファイアランス】、【エアカッター】、【サースランス】で貫いて穴を開けた。


それと同時にドールの『雷剣』で一体の魔族の頭に雷を落とし黒焦げに殺した。


残り2体の魔物が幻惑のスキルを発動させて3人の魔女を狂わそうとするがイリーナ達の攻撃魔法は翼だけでなく魔族に向けて強烈に放たれた。


魔族は剣でそれらを何とか霧散させ、闇魔法を放つが魔法が発動することはなかった。


焦った魔族二人は剣を構えてイリーナに斬りかかるがシールドで防がれヒューイの剣で持って首を切り落とされ、心臓と魔石をえぐり切り出されて死んだ。


もう一人の魔族はイザベラの【エアカッター】で首を切り落とされ、イリアの【アースランス】で心臓を貫かれあっという間に3体共討伐完了した。


ジンが出る幕もなく女性陣達だけで討伐し終えて、死体を【次元ストレージ】に入れてイザベラが意気揚々と、「今回は楽勝だったわね!相手に【ディスペル】を持っていなければこんなもんかしら?」


「いや、イザベラ仮にディスペルを持っていない魔族でも、魔力がイザベラ以上であれば魔法を霧散させて逆にもっと強力な魔法を放たれるかもしれないから、油断はできないよ」


「それにヒューイの『神龍剣』で奪えるスキル、魔法は相手がヒューイよりかなり弱いから可能で、魔王直属の四天王の魔族ではスキルも魔法も奪えないで、かなり苦戦すると思った方がいいぞ」


「ええ、ヒューイちゃんの剣でも奪えないスキルや魔法もあるの?」


「ドラゴン相当の魔力だと『神龍剣』で【炎の息吹】は奪えないので剣で切り裂くか【シールド】で防ぐとかして居る状態だぞ」


「それじゃ、その戦い方も今後は要研究といったところね」


6人は思ったより早く討伐できたので転移を使わず『空飛ぶ車』で走って街に戻ることにした。


ベルセタの冒険者に戻ると、ちょうど一番ギルドが混む時間帯で、ジンは朝手紙を渡した受付の男性を探すが女性受付嬢しかおらず、仕方なく受付の女性にギルドマスターを頼んだ。


「すみません、ギルドマスターは事前予約してない方とは、お会いできませんが」


それを聞いたイリーナが半ば切れかかり、「あのね、早朝男性の受付の人にカルバラのギルマスのサリバンさんからの手紙を渡してもらって居るの、魔族がこの街に3体も居て、この街が滅びるかもしれないと伝えてあるの、さっさと呼んでこないとクビが飛ぶわよ」と怒鳴った。


「お嬢さん、俺たちはこう言うものだ」とジンがSSSクラスのカードを見せた。

流石にこの世界で一人しか居ない冒険者カードを見せられて青くなり、急いで階に上がってギルドマスターを呼んだ。


「ジン様、統括会議でお目にかかりましたが、初めましてここのギルドマスターをしておりますハロルドです。カルバラのサリバン殿から手紙を頂いております」


「ジンです。早朝だったのでご挨拶できずに取り急ぎ3体の魔族を打ち取ってきて素材置き場に死体と魔石を置いておきました」と伝えた。


「ええ、もう討伐されたのですか?それはありがとうございます、3体も居るのでさぞ大変だろうと冒険者を集めてサポートするつもりで居たのですが・・・」


「早朝、相手が油断して居るところをいきなり襲いそのおかげで思ったよりスムーズに倒せましたのでラッキーでした」


「それでは、素材置き場に確認して清算しますので少々お待ちください」


6人は食堂で待って居るとギルドマスターのハロルドが来て、「ジン殿清算金白金10枚です。この街が滅びるかもしれなかったのにお救いいただきありがとうございます」


「これでグラバド王国の魔族は全て討伐したのでご安心ください。今後は入り込んでこないよう時々はサーチのスキルのある冒険者に依頼を出すことをお勧めします」と言ってギルドを後にした。




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