第92話 魔族との戦い(デイマール編2)

ジン達一行はトロピアの魔族2体を葬って次の目的地ルルカに向かって『空飛ぶ車』で移動して居た。


トロピアを出て2時間半ほどでルルカの街並みが前方に見えて来て、商隊や旅人が居ない場所で『空飛ぶ車』を街道に着陸させてルルカの街の門に着いた。


門では冒険者ギルドや王様からの連絡が入っており、衛兵はジンの冒険者カードを

チェックしてすんなり丁寧な応対で通してくれる。


「ジン殿、お噂はかねがね聞き及んでおりますが、この魔導車は凄いですなぁ!これで空も飛べるのですね?」と『空飛ぶ車』を触ってみて、皆が驚きをもって通してくれた。


ジン達はルルカの冒険者ギルドに行き、ギルドマスターのポンセという人物に2階のギルマスの部屋で会った。


「私はルルカのギルドマスターをしておりますポンセです。ギルド会議でお目にかかっておりますがご挨拶の機会がなく、今回が”初めまして”ですがこの度の依頼、宜しくお願い申し上げます」


「ジンファミリーです、こちらがイリーナ、イザベラ、イリア、ヒューイとドールです」


「昼食を食べたら魔族の潜んでいる所を【サーチ】して、討伐し終えたら又ポンセさんにご報告に上がります」と言って階下に降りて行き、冒険者ギルドを出た。


「ヒューイ、いつもの通り定食屋の美味しい所を見つけてくれ、ヒューイの鼻が一番頼りになるからね」


暫くギルド近辺を歩き、1軒の定食屋でヒューイが止まった!


「パパ、ここがいいわ!イリーナさん達も魚類のムニエルが有るし、パパと私用にマナバイソンとファングボアや煮込みが有るわ」


「お前、そこまで分かるの?俺の【サーチ】よる性能が上だな」


「えへへへ、匂いで何が有るか分かるわ」と言って、その定食屋に入った。


定食屋は昼少し前なので未だ若干の席が空いて居たので6人でそこに座り、3魔女達は白身ざかなのバター焼きに野菜サラダと野菜スープ、ジンとヒューイがマナバイソンのガーリックステーキにご飯とスープを頼んで待った。


待つ間にジンが<タブレット>をステータス画面と同様に表示させて、『ルルカの魔族の潜んでいる場所は?』と打ち込んでenterキーをポチった。


『魔族2体は闇ギルドの本部、商店街の外れに有る朽ち落ちた教会跡にいます。ただ魔族以外に闇ギルドのメンバー数人いると思われます』


「皆んな、町外れの教会跡の闇ギルドに人族に紛れて潜んでいる様だ。ついでなんで闇ギルドの奴らも生け捕りにして冒険者ギルドに突き出すつもりだけど、相手は魔族と裏ギルドの連中だから油断しないで向かうよ」


昼食を食べ終え、6人は町外れの朽ち落ちた教会跡の前に着いた。

<タブレット>に表示されて教会の図面を見ると祭壇の裏側に隠し扉が有り、地下室に繋がる扉が存在していた。


その地下室に裏ギルドの冒険者4名と魔族2名が点滅しており、全部で6名いることがわかった。


ジンは【鑑定】をして、6名のスキルを洗い出す。

人族の裏ギルド4名の内、一人が【察知】のスキルに長けている人間が居ることがわかり、先ずは祭壇の手前から<タブレット>と【闇魔法】の【呪縛】で6人の身柄を確保すべく魔法を遠隔で放った。


4名の裏ギルドの人間はジンの【呪縛】の縄に抗しきれずに身動きが取れずに意識を奪われてしまった。


しかし、闇魔法には元々スキルをもって居る魔族二人は【呪縛】の縄をやすやすと解除して剣を構えた。


ジンは呪縛を放つ前に魔族二人の魔法特性とスキルを確認しており、一人が【インビジブル】のスキルを持ち、もう一人が【再生】のスキルを持って居ることを確認していた。


「イリーナさん達、ここは俺が魔族二人を【結界】で逃げれない様にして【グラビティー】でぺちゃんこに体と心臓、魔石を破壊するから見て居て、一人は透明化して逃げる恐れが有るから」と叫び2体の魔族を【結界】で囲いその中の圧をこの世界の10倍の圧にして2体の魔族を押し潰した。


心臓と魔石を破壊されたため【再生】スキルを持っている魔族も再生は叶わず干からびた死体を晒していた。


結界を解いて、干からびた魔族の死体と闇ギルドの人間を捕縛したまま冒険者ギルドに戻り、ギルマスのポンセさんを呼んでもらった。


降りてきたポンセさんに【次元ストレージ】から干からびた黒い魔族の死体2体と闇ギルド4名を渡した。

4名の闇ギルドの連中は指名手配されて居たため、魔族討伐の報奨金、白金10枚以外に金貨40枚を受け取って次の目的地シューベルに向かった。


『空飛ぶ車』で暫く走り街を出るとジンは<タブレット>にシューベル迄の地図を表示させ、『空飛ぶ車』と同期させて自動運転で時速800キロで空を飛びのんびり車の中で昼食を食べながら4時ごろにシューベルの城門をくぐった。


宿を探すとギルドから50メートル程先に”宿キツツキ亭”と書かれた看板が目に入り、そこに泊まることにした。


幸いダブル二部屋にシングル一部屋とれて、いつも通りの部屋割りでジンとヒューイ、イリーナとイザベラ、イリアとドールに分かれてシャワーを浴びた後ジン達の部屋に集まることにする。


ジン達の部屋に6人が集まり、<タブレット>に『シューベルに潜む魔族4体の居る場所を示せ』と打ち込みenterキーをポチった。


『シューベルの街を出て1キロ西に向かった岩穴に4体の魔族が居るが、そのうち2体は魔王の直属の護衛をして居た武将で非常に戦闘能力が高い。今までの戦い方では厳しいので注意を要します』と表示された。


「作戦は夕食を食べてからゆっくり考えるとして先ずは下に降りて夕食を食べましょう」とイリーナが言って、皆で食堂に降りてきた。


「ジンとヒューイちゃんはいつものジュース?私たちはエールにポテトフライを頼むわ」


「俺もポテトフライも食べるからそれじゃ、ふた皿頼んで」


イリーナが「すみませーん、ここ、エール3杯と果実ジュース2杯にポテトフライ2皿、その後夕定食5個お願い」


「わかりました!夕定食は魚系と肉系どちらにしますか?」


「そうねぇ、魚を3個、肉の方を2個お願い」とイリーナが頼み、追加で野菜サラダを大盛りで1皿頼んだ。


イリーナとイザベラ、イリアがエールを飲みながらジンがポテトを口に入れて明日の討伐作戦を語り合った。


「2体の魔王直属の護衛兵士でかなり戦闘能力が高いということだから、俺とヒューイとドールが相手して、後の2体の魔族はイリーナさんとイリアさん、それにイザベラで相手してもらえるかな?」


「魔王直属の兵士は今までの戦い方では難しいといっていたけど、ヒューイちゃんの『神龍剣』でスキルと魔法を奪えばそれ程でもないのじゃない?」とイザベラ。


「いや、『神龍剣』で奪える相手の力が大きければその力を跳ね返せると思うのでおそらくは<タブレット>が教えてくれた様に今まで通りの戦い方では通用しないのだと思うな」


「その時はどうするの?」とジンにイリアが聞いてくる。


「先ずは2体の魔族のスキルと魔法を、いつも通りヒューイに奪い取ってもらい、その後戦闘能力の強い奴2体も一応奪えるか試みて、ダメな時は直ぐに俺が【亜空間魔法】を掛けてこの次元と違う場所で戦って最終的には【ブラックホール】で吸い取るか、【イレージング】で消し去るよ。一応戦う前に先ずは4体の【鑑定】をして、ヒューイの剣で対応できるかやるのが先決だね」


「それと、鑑定したら<タブレット>で戦闘能力の高い2体の魔族を倒す方法でも検索するのも手だと思うな」とジンが皆に話した。


食事を終えて各自の部屋に戻った。


「パパ、『神龍剣』でスキルや魔法を奪えない事って有るの?」


「『神龍剣』の力はヒューイの持つ魔力と同期させて居るからお前の魔力以下なら奪えないことは無いけど魔王だとヒューイとほぼ同じ魔力量だと思うぞ、その相手からは奪うことは難しいと思うな」


「でも専属の護衛魔族ってそれほどじゃ無いと思うわ!魔王のそばにいる本当の意味での護衛魔族ならわかるけど数いる魔族の中で直属の魔王兵士ならパパや私ほどの魔力の持ち主はこの世界に居る筈は無いもの・・・」


「まぁ、明日先ずは奪ってみてからの対応だな!」そう言ってジンとヒューイは順番にシャワーを浴びてベッドに潜り込んだ。


翌朝宿の庭で朝練を終えたジンとヒューイはシャワーを浴びてから階下の食堂に向かった。

すでに3人の魔女達とドールは席を取ってくれており、朝食はバイキング形式の朝食で、ジンとヒューイはオークの照り焼きと卵フライにスープとパンに野菜サラダを取って皆と食べた。


「きょうは彼らが潜んで居るところに着いたら直ぐに『リフレクションリング』を発動させておいてね!それと各自【シールド】をして攻め込むよ」


「「「「了解よ」」」」と4人が一斉に答え、朝食を終えて一旦各自の部屋に戻ってから宿を出た。


ジン達はルルカの町外れにある朽ち落ちた教会の前まで来て、ジンが【鑑定】をした。


魔族4人の鑑定をすると・・・


魔族A: 再生スキルレベル2、幻惑スキルレベル3、剣技スキル3、魔力500


魔族B: 再生スキル2、毒耐性スキル3、透明スキル2、剣技スキル4、魔力40    0


護衛魔族A: 再生スキル5、透明スキル5、魔法耐性スキル5、剣技スキル5

      魔力1000


護衛魔族B: 再生スキル5、影スキル5、幻惑スキル5、魔法耐性スキル5

      剣技スキル5、魔力800


と出ていてヒューイの『神龍剣』で楽々スキルと魔力を奪取可能なレベルで心配は杞憂だった。


「ヒューイ、護衛魔族を含めて全てのスキルと魔力を奪い取ってくれ、撮り終えたらドールが護衛魔族のA、俺が護衛魔族Bを討伐して、後の2体の魔族は3魔女に任せても大丈夫だ!それじゃ彼奴らの結界を打ち砕いて突入するぞ」


ジンは『煌剣』で魔族の結界を切り裂いて祭壇の奥の地下に侵入した。


ヒューイが直ぐに『神龍剣』で4体の魔族のスキルと魔力を奪い取って、3魔女が2体の魔族にイザベラが【エアカッター】で2対の首を切り落とし、イリーナが【ファイアランス】で1体の魔族の心臓を打ち抜き、イリアが【アースランス】でもう1体の魔族の心臓を撃ち抜いて殺した。


護衛魔族はドールが【転移】で裏を取、背中から袈裟斬りに肩から胴を切り裂いてさらに心臓を突き殺し、ジンがもう1体の首と胴とを切り落として、心臓を刳り貫いて殺し、4体の魔石を回収した。


死体はしなびれていたが霧となって消えないで残ったので魔石とともに【次元ストレージ】に回収して教会をあとにした。


「ジン、思ったより楽に倒せたわね、いつもの様にヒューイちゃんがスキルと魔力を奪い取ったら普通の冒険者達より弱いぐらいだったわ」


「そうですね、<タブレット>に表記されていた魔王の護衛魔族も思ったほど強くはなくて『神龍剣』でスキルも魔力も奪えたので楽に討伐できて助かりました」とイリーナに言いながらギルドに向かって歩いて行った。


ギルドで受付嬢にギルマスのポンセを読んでもらい彼に4体の死体と魔石を渡して清算金、白金10枚を受け取り、次の目的地グラバド王国のカルバラに向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る