第91話 魔族との戦い(デイマール編)

プロレシア帝国にいた10人の魔族を打ち倒してジン達はその報告をギルドマスターのギルモアに任せて、デイマール王国のトロピアの街に【転移】した。


街の門の手前で人の居ない所に転移したジン達一行は冒険者カードを見せて街に入り先ずは冒険者ギルドに向かった。


受付に冒険者カードを見せてギルドマスターに面会を依頼した。

2階から直ぐにギルドマスターが降りて来て『全ギルド統括会議』からの連絡を受けており、トロピアに潜む魔族2名の討伐を改めてジン達に依頼をして来た。


トロピアの宿を取って場所を確認してから討伐に向かおうと、先ずはギルドを出たジン達は宿を抑えることにした。


「そういえば未だ昼ごはんも食べて居なかったよね」とヒューイが鼻をピクピク動かして「パパ、あの定食屋で食事してから宿の予約しようよ」


「おお、そういえば昼飯も食べてなかったな!」


ジン達6人は定食屋に入り昼定食のオーク照焼定食とケルピーのスープにパンで腹ごしらえをしてから宿を探しに外に出た。


【サーチ】を発動してジンが調べると数店が表示されギルドから一番近くの宿に向かった。

”憩いの宿”の看板が見えて、入った。


「すみません1泊ダブルふた部屋、シングル一部屋空いてます?」


「大丈夫ですよダブルが1泊銀貨1枚シングルが銅貨50枚です」


ジンは銀貨2枚と銅貨50枚を払い205号室、206号室、202号室の鍵をもらい205号室にジンとヒューイ、206号室にイリーナ、イザベラ202号室にイリアとドールが入った。


本来ドールは部屋を必要として居ないがイリアが話し相手が居ないと寂しいとイリアの部屋の椅子に腰掛けて寝ずの番をすることになった。


「一旦皆んなシャワーを浴びたら205号室に集まってくれる?魔族の潜んでいる場所と作戦を打ち合わせするから」


「了解よ!」とイリーナが返事してそれぞれの部屋に入った。


しばらくして皆が205号室に集まってジンが<タブレット>の【GOD】に『トロピアに潜む魔族2名の場所は?』と打ち込みenterキーをポチった。


『魔族はトロピア郊外の森の中の洞窟に潜んでいます』と表示された。


「2名だけどどんなスキルと魔法を使えるか明日、洞窟に近づいたら俺が【鑑定】して危険だったらヒューイのの『神龍剣』で奪い取ってからイリーナさん達にバトンタッチするよ」


「そうね、先ず相手の魔族の力を把握してから撃ち取りましょう」


「それじゃ、ジン、コーヒーとケーキで別腹を満たしてくれる?」とイザベラ。


「イザベラ、ケーキばかり食べると太るぞ」


「まだまだお母さんやイリアおばさんの胸に負けてるから大丈夫よ」


「あら、イザベラ、いくらケーキを食べても私たちみたいな豊満なバストは無理だわ、ジンのことは諦めて他の冒険者を当たりなさい」とイザベラを煽る様にイリーナが話す。


ジンは話を逸らすために「イリーナさんは何がいい?」と聞いてチョコレートケーキを出し、イザベラにはクリームたっぷりのショートケーキ、イリアにはテラミス、ヒューイと自分には定番のサバランにして出した。


久しぶりに夕食までの時間をのんびり過ごし、夕食になって食堂におりて来た。

食堂にはかなりの人数の冒険者が居て、エールを飲みながら談笑している。


「ジン、結構皆お気楽モードよね!近くに魔族が潜んでいるというのに」


「俺たちの世界にそれだけ人知れず溶け込んでいるということ自体が怖いけどギルドももう少し危機意識を共有して欲しいよな!」とイザベラに応えた。


「ジンとヒューイちゃんは果実ジュースで良いわね?それじゃ先ずはエール3人前と果実ジュースを2人前の後、定食を5人前頼むわ」


「果実ジュースも食事前で宜しいですか?」


「ええ、皆で乾杯するから食事前で、お願い!」とイリーナ。


エールをジンがギンギンに冷やしてあげて5人で「かんぱ〜い!」と言って飲み始めると、ジンだけ男性で4人の美女達がいる席はどうしても見た目目立つ。

案の定数人の冒険者が寄って来て・・・、


「兄ちゃん、美女を4人も独り占めは頂けねえなぁ!俺たちが相手してやるから兄ちゃんはジュースを一人で飲んでろや」と絡んでくる。


ジンは普段なら適当に躱すのだが、この所魔族との戦いを謂わば他の人のために戦っているのにも関わらずノーテンキな冒険者達に腹に据えかねていきなり3人の冒険者の片足を消し去って、「首を消されたくなかったら、さっさとお前達の席に戻れ!」と言い放った。


いきなり片足を消された冒険者達は立っていることも叶わず、這って席に戻るが仲間の冒険者二人が剣を抜いてジンに詰め寄るとジンはその二人の片腕を剣もろとも消し去った。


「いいか!貴様ら、呑気に酔って俺たちに絡んで来ているがお前達の街に魔族が入り込んでいるのも知らずに馬鹿こいているな!冒険者なら冒険者ギルドの情報をもっとしっかり聞き込んで緊張感を持って行動しろ!それともお前達が俺たちに代わって魔族を討伐してくれるのか?」と言い放った。


周りに居た冒険者達は一部の連中は魔族のニーズを既にギルドから聞き及び、他国の情報も聞いて居たのでジンを含む女性4人のグループが魔族を討伐する高ランクの冒険者達だとその時初めて認識した様だ。


イリーナ達もジンの剣幕に少し驚いたが考えてみたらジンはこの世界を救うために孤軍奮闘して居て、少し気が立っていると思い定食が届くと、「ジン、美味しい食事が出て来たからさぁ、食べましょう」と言って食事を促した。


ジンは食べ始める前に5人の冒険者に【エクストラハイヒール】を掛けてやり消した足と手を再生して、食事を始めた。


周りの食堂に居た冒険者や客達はヒソヒソとジン達をみては、話し込んで居たがジンはその視線を無視して食事を始めるのだった。


その後は当然絡んでくる冒険者などは来ないで、5人は食事を終えて2階の部屋に戻った。


翌朝ジンとヒューイは宿の裏庭で素振りをして、いつもの朝練のルティーンをこなしシャワーを浴びて着替えてから、食堂でイリーナ達を待って居た。

数分してイリーナ、イザベラ、イリア、とドールがおりて来て、朝食を食べると早々に冒険者ギルドに行き、受付嬢に魔族2名を討伐する旨ギルマスに伝えてくれと言い残して、魔族が潜む郊外の森の奥の洞窟に向かった。


街の門を抜けて6人は【転移】で魔族が潜む洞窟の前に来て居た。


ジンが【鑑定】をして、二人の魔族を調べると一人は魔力4000、剣技4000、状態異常耐性スキルレベル5、魔法特性は火、風、闇と魔族の平均的力だ。


一方もう一人の魔族は魔力5000、剣技5000、魔法特性は4属性と闇魔法及びスキルに【透明化】、【再生】、【幻覚】を持ち少し手こずる感じだ。


「ヒューイ、二人の内左側の魔族は大したことないが右にいる魔族の魔力、スキルを『神龍剣』で奪い取ってくれないか?そのままだと3魔女さん達だと苦戦するから」


「わかったわパパ」と言って、【インビジブル】で洞窟に入り殺気も決して二人の魔族から6メートルほど近づいて『神龍剣』を鞘から抜き、右側にいる魔族の全ての力を奪い取った。


”パパじゅんびOKよ”と念話で伝えると、イリーナを筆頭に洞窟に【縮地】で持って魔族達に肉薄し、左の魔族にイリーナとイザベラが【ファイアランス】と【アースランス】を心臓と魔石目掛けて撃ち放った。


右側の魔族にはドールが一瞬にして近づき、首を切り落とし、心臓と魔石をヒューイの『神龍剣』で切り刻み打ち取ってしまう。


砕けた魔石を回収してジンが【次元ストレージ】に回収、周りを調査すると何やら

2箇所に魔法陣が描かれており、ジンが【鑑定】すると、魔物の召喚魔法陣だとわかった。

ジンはその魔法陣を破壊して魔物が召喚されない様に施してから、6人で冒険者ギルドの裏に【転移】して受付嬢にギルマスを呼んで貰う。


「ジン殿、昨日は自己紹介もせず失礼いたしました、私はここトロピアのギルドマスターをしているケーシーと申します。この度は本当に魔族2体の討伐、ありがとうございます」と言って砕けた魔族の魔石を受け取り清算金の白金10枚を手渡した。


「この後はシューベルとルルカに向かいますか?」


「そうですねここからはルルカの方が近いのでそちらの2体の魔族を討ち果たしてシューベルの4体を撃ち取ろうと思っております」


「そうですか、くれぐれもご注意ください、よろしくお願いいたします。ルルカとシューベルには私からも連絡しておきます」と言ってジン達と握手して別れた。

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