第90話 アゼルでの戦い
ジン達がロデスの冒険者ギルドの裏に転移してギルドに入るとバリルのギルドと同様に冒険者数人が瀕死の重傷を負って横たえ、ギルドマスターが残りの冒険者と共に魔族と戦って街の外れで攻防戦をしていると云う。
直ぐにヒューイ達と転移してドールが魔族に【縮地】で一瞬にして間合いを詰め、今にも冒険者の首を切り落とそうとする魔族の首を切り落とした。
しかし魔族は切られた首から新たな顔が生え出した。
「ヒューイ、アイツらのスキルと魔法を奪い取れ」
「わかったわ!パパ」
ヒューイは『神龍剣』を鞘から抜いて彼らのスキル、魔力を吸い取ってしまう。
「パパ、全て吸い取ったわ!ドールもう一度切れば首は再生できないわよ」
「わかりました、もう一人の魔族の対応をイリーナ様達でお願いします」
「任せて!」イリーナは【ファイアランス】を4発一度に放ち冒険者と対峙して
いた魔族に対して撃ち放った。
魔族は剣で1発を防いで見せるが時間差なく同時に放たれたのころ3発の火の槍をモロに胸に受けて黒い霧となって消えてしまった。
ドールの方も再生された首を再び切り落として、袈裟懸けに肩から堂にかけて切り落とし、葬った。
ロデスの冒険者に戻り、負傷者はフェリシアの回復魔法で全員が完治して、冒険者側の犠牲者は3名だけですんだ。
ロデスのギルマスから丁重なお礼を言われ、ジン達はトロンのギルドに戻って来た。
「ジン殿この度は本当に助かった、まさか魔族があれ程強いとは思わなかったがジン殿達のおかげで何とかバリルの街も壊滅までは行かずに助かった。この報酬は公国のギルドから改めてジン殿のカードに振り込ませて頂くので2、3日お待ちください」とグラシアが丁重に挨拶をして来た。
「報酬など考えないでいいよ、それよりバリルの街が早く復興する様頑張ってくれ」そう云うとジン達は『空飛ぶ車』でダルゼの侯爵邸に【転移】で戻って行った。
2日程経って、ベルギア公国のギルドからジンのカードに白金10枚が振り込まれたのでフェリシアに白金2枚を渡してお礼を言った。
その日の午後今度はプロレジア帝国の皇帝から直接ジンに応援の要請の緊急通話が入った。
プロレジア帝国は対岸にブラックアイランドとノースアイランドという魔族の国が
有るため魔族の人数も10人ほどが潜り込んで居るのだ。
「ジン殿、我々の軍隊と冒険者達だけではとても魔族10名に対抗しきれない!お主の力が必要だ、頼む、早急に来てくれないか」
「わかりました、直ぐに【転移】で回復術師のフェリシアさんも連れて向かいます」
「フェリシアさん、再三申し訳ないがプロレジア帝国の皇帝からの援助要請が来たので一緒に行ってください」
「わかりました」
「イリーナさん達もお願いします」
ジン達は『空飛ぶ車』に乗り込み一瞬で【転移】してカルセイの街に転移した。
カルセイの街の冒険者ギルドでは高ランクのBランク冒険者3人とAランク2人の冒険者が担ぎ込まれて医務室に横たわっていた。
Bランクの一人は既に息絶えていたが後の4人はかなりの重症だが未だ生きている。
ジンが【エクストラハイヒール】を掛けてあげ、4人を回復させてあげる。
「皆さん、傷口と止血はしましたが失った血は戻らないので栄養ある物を食べて暫くは安静にしておいてください。3、4日で回復すると思います」
「「「「感謝します!ありがとうございます」」」」と皆がハモって返事を返す。
ジン達は魔族と戦っている前線に皆で【転移】し、帝国騎士団と冒険者達を後方に
移動させ、魔族3名と向かい合った。
「ほう、新たな冒険者達が来たか、お主らも命が惜しくないと見えるな!劣等種の人間族が何人来ようが結果は見えているのに馬鹿な連中だ」
「馬鹿な連中はどちらかな?時間が無いからとりあえずまとめて3人を俺が処理する」とジンはいきなり【イレージング】で一瞬にして3人の魔族を消し去った。
「ジン、私たちにも少しは戦わせて欲しかったわ!」イリーナさんが口を尖らして文句を言って居るのをスルーして、
「3人の魔女さまがたにはローレルとローズタウンの2名ずつを対処してもらい、俺とヒューイとドールでアゼルの3人の魔族を対処しますから機嫌なおしてさぁ、生きましょう」
ジン達はローレルの街にすぐさま転移してジン達は郊外の海岸に転移した。
<タブレット>を取り出し【GOD】に”魔族の居所”と打ち込み潜んで居る森に向かう。【サーチ】を掛けて潜んで居る二人を見つけた。
イリーナ、イリア、イザベラは自分達に『シールド』を掛けて、イザベラが強烈な【エアカッター】を二人に見舞う。
二人の首が落ちるが直ぐに再生してしまった。
「ヒューイ、こいつらの魔法、スキルを奪ってくれ」と小声で伝えるとヒューイが『神龍剣』を鞘から抜き、魔力を込めると剣が白く光を帯びて魔族達の方から黒い靄の様なものが剣に吸い込まれて行った。
「イリーナさん、彼らの再生スキルや魔法は奪ったわ!」
「ありがとう、ヒューイちゃん。それじゃイザベラもう一度相手に【エアカッター】をお見舞いして。私とイリアが【ファイアランス】と【アースランス】で体本体を狙うから、首はイザベラに任すわ」
「了解よ、お母さん!」
3人は2人の魔族に向かって同時に魔法を放っていく。
魔族は剣で応戦するも複数の魔法を一度に放たれて、防ぎきれず一人はイザベラによって首を切り落とされ、もう一人は【ファイアランス】と【アースランス】の槍に胸を貫かれて黒い靄となって魔石だけを残して消滅した。
「なんだかヒューイちゃんが相手のスキルと魔法を奪っちゃうから拍子抜けするほど魔族も弱くなるわね!」
「でもお母様、魔族が再生スキルをあった場合はどう処理したらいいの」
「魔族は脳と心臓を同時に破壊すれば再生もできずに死ぬわ、少し面倒だけど正確に脳と心臓を破壊することが必要だけどね」
「それじゃ、今度ローズタウンの2人の魔族はヒューイちゃんに頼らずやってみましょうよ」とイザベラが言い出し、取り敢えずローズタウンに皆で【転移】した。
ローズタウンの街の門の前に【転移】した6人は冒険者カードを出して街の中に入り冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドでは丁度魔族の討伐メンバーを募って居る最中でジンは受付嬢にカードを見せてギルド長に面会を申し込んだ。
受付嬢が2階に行きギルドマスターのルドル氏が降りて来た。
「ここのギルドマスターをして居るルドルフです。ジンくん達のことは皇帝からもギルド統括からも連絡はもらっております」
「どうやら討伐の冒険者を募って居る様ですが、一旦注視していただき犠牲者が出る可能性が有るので我々が対処します」
「そうしていただけると助かります。この街には高ランクといってもBランクの冒険者が3人しかおらずどうしたものかと悩んでいたところなんです」
「それで魔族の居所はわかっていないのですよね?」
「はい、一応【索敵】のスキル持ちがBランクに一人いるのでこれから頼むところでした」
「わかりました、それを含めて我々が行いますので後ほどルドルフさんのところに作業を終えたら再度伺います」
そう言ってジンは1階に降り、待っていたイリーナ達のところに戻った。
<タブレット>で検索して魔族が町外れの農家に潜んでいることを突き止めそちらに向かった。
幸い農家は隣接する家とは距離があり、戦いで一般の街の人たちにも迷惑をかけずに戦えるのを確認して、ジンが家の入り口の扉を蹴破った。
魔族二人は人族に化けていて慌てたそぶりで「いきなり人の家のドアを壊してあなた達はなんなのですか?」とうそぶいている。
「随分うまく人間族に化けている様だが既に魔族だとはバレているよ」とジンがいうと直ぐに魔族は変装の魔法を解除して臨戦態勢をとった。
「イリーナさん達ヒューイはスキルを奪わないから頑張ってよ」とジン。
イリーナが【アイスロック】で二人の動きを抑えて、イザベラが【エアカッター】でイリアが【アースランス】でそれぞれ頭と心臓を狙い撃ちして魔法を放った。
しかし、相手は一人が直ぐに【ディスペル】でそれらの攻撃魔法を解除して逆に【ダークランス】、暗黒の槍を放ってきた。
3人は【リフレクションリング】でそれを魔族に打ち返し怯んだ隙に再度イザベラが魔族二人の脳を、イリアが心臓を【エアカッター】と【アースランス】で射抜いて黒い靄として消し去った。
残った魔族の魔石を回収して、再びギルドを訪れるジン達。
「ルドルフさん、魔族は打ち取ったので魔石を受け取ってください」
「ええ、もう魔族を討伐したのですか?報酬は皇帝がまとめると聞いて降りますがよろしいのでしょうか?」
「はい、まだ毛1箇所アイゼルに3人の魔族が潜んでいるのでそちらに向かって処理してから皇帝にご報告します」
「そうですか、この度は本当に助かりました!ありがとうございます」
ジン達はローズタウンの街からアイゼルの街に【転移】で一瞬にしてアイゼルの前に現れた。
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