第86話 魔族との戦い(2)

ジン達一行はキースに潜む魔族2体を冒険者達の後衛を手伝い無事に2体の魔族を葬り、ハリス侯爵邸に帰還した。


「ジン殿、今回はヒューイ殿がスキルを奪ったので問題なく魔族を打ち取れたがスキルを奪わなかれれば【影縛り】などで我が方にもそれなりに被害が出ていたところなのでかたじけなかった、今後はまずはレンブラント王国の他都市に潜む魔族を打ち取る戦略を各ギルドと話し合わなくてはならないな」


「王様のお膝元である王都に潜んでいる魔族を次に倒さないとダメですね」とジン。


「そうだな、儂とフェリシアも同行してジン殿の車に同行させてくれんか?」


「分かりました、キースから【転移】でハリス侯爵様の王都の屋敷に転移しましょう」


「そうしてくれるか、儂は『遠距離通話器』で王都の屋敷に昼食の準備と泊まる部屋の準備をさせたら向かうことにしよう」


王都ダルゼには魔族四人が二手に分かれていたので王都のハリス侯爵邸に着いたら詳細を今一度<タブレット>で調べてみようと思っているジン達だった。


昼食はハリス侯爵の食堂でヒューイとジンの好きなマナバイソンのガーリックステーキとパンにケルピーのスープに野菜サラダで腹ごしらえをして『空飛ぶ車』に侯爵、フェリシアを乗せて、一瞬で王都の侯爵邸に転移した。


ハリス侯爵は直ぐに王宮に向かい、王様と宰相、騎士団長達と四人の魔族討伐に関して打ち合わせをしてくると、王宮に向かった。


ジンは<タブレット>の【GOD】に『王都に潜んでいる魔族の場所』と打ち込むと、二人は街の肉屋を開いて主人と従業員の二人になりすましている。

また、あと二人は町外れの飲み屋を経営していた。


ジンは侯爵が王宮で打ち合わせしている間にヒューイと街に出て、<タブレット>に表示されていた肉屋の前に行き【鑑定】すると魔族Aは剣のLv90、魔力スキルは

火魔法、土魔法が共にLv80、スキルは幻影、影使い、ネクロマンサーのスキル持ちだ。


魔族Bの方の剣のLvは60と低いが魔力がかなり有り、4属性全て使え、スキルに透明化と転移、を持っているのが分かった。


「ヒューイ、二人のスキルは冒険者とここを攻めるときには先に奪っておかないと特に魔族Bの奴の透明化と転移は脅威になるぞ」


次にジンとヒューイは帝都の外れ近くの酒場に向かった。

勿論まだ店は開いていなかったが中からそれなりの魔力を感じ、少し離れたところから【鑑定】をする。


魔族Cの剣技がかなり高く、Lv98で魔力はそこそこあるが使える魔法は水魔法だけのようだ。

スキルが転移と透明化、霧状になれる、と厄介なスキル持ちのようだ。

魔族Dは剣技Lv60、無属性魔法の時間制御、転移、影操作を持ち、こちらもスキルが癖のある奴だ。


「ヒューイこの二人も冒険者が攻撃に入る前に『神龍剣』でスキルだけ無効化して後は冒険者達の頑張りに期待しよう」


ジンとヒューイはとりあえず二箇所の魔族の潜む場所を確認して四人の魔族の力量も確かめてハリス侯爵邸に戻ってきた。


戻ると、イザベラ達はフェリシアとお茶を飲んでのんびりしていたが、ジン達の姿を見ると二人にもお茶を用意させてクッキーを出してくれた。


「イリーナさん、王都の四人の魔族はそれぞれスキルが少々こちらにとってやりにくいスキルなので冒険者が攻める前にヒューイがスキルを全て無効化してから攻めるようにします」


「やはり結構手強いの?」


「ええ、剣とか魔法はそれほどではないのですが四人の内二人までが【転移】を使えて【透明化】出来得ることも考えると逃げられる前にヒューイに無効化してもらってからじっくり相手した方が間違いはないです」


「最悪俺が大きな【結界】で囲い込んで仮に透明化しても逃げれないようにしておきます」とジン。


ハリス侯爵が王宮から打ち合わせを終えて帰って来た。


「ジン殿、王様が一般市民を巻き込んでの戦いは極力避けてくれとの要望だが今回も王都の冒険者ギルドから7名のAクラスの冒険者と3名のBクラス冒険者計10名で最初は肉屋に向かい、直ぐに酒場に向かうつもりでいてくれるかな?」


「はい、侯爵様。一応場所も確認しておりますし、相手のスキルも鑑定しておりますので大丈夫だと思います。ヒューイにスキルを奪い取って貰ってから10人の冒険者で攻撃して葬り去ることはできると思います」


「そうか、王様から王都の冒険者ギルド経由でジン殿のカードに白金20枚を振り込むようにしたそうなのでよろしく頼む」


「分かりました、昼食後に冒険者ギルドに行き冒険者達と合流して作戦を伝えます

。相手のスキルがなかなかのスキルなのでヒューイが無効化した後にくれぐれも攻め込むことを伝えます」


「そうしてくれるかな?それじゃお昼を食べてからギルドに向かおう」


王都の侯爵邸でお昼を食べてから徒歩でジン、ヒューイ、ドール、イリーナ、イリア、イザベラ、ハリス侯爵父と娘それに5人の王国騎士団の総勢13名で王都のギルドに向かった。


ギルドに着くと王都のギルドマスターのフェイト氏が討伐隊の10名の冒険者を従えて待っていた。


「フェイトさん、ご無沙汰しております。今回は相手が魔族なので先ずは彼らの特殊スキルを僕らの方で無力化してから冒険者達の皆さんに攻め込んでもらいます」


「ジン君、お久しぶり!スキルの無効化を頼む。あと最初の肉屋のに扮している魔族の得意はわかるかな?」


「ええ、一人は剣技が高くLv90で魔法は火と土魔法です。スキルは考えずに魔法はディスペルで魔法師が放てれば問題は無いと思います。もう一人は剣はさほどでも無いけど4属性を使えるのでAクラスの冒険者のディスペル魔法で無効化してから剣での戦いがいいと思います」


「色々、ありがとう!それじゃ早々に肉屋に向かおう」


ぞろぞろと街のメイン道路を歩いて500メートル手前で、王国騎士団が人払いをして、市民に被害がいかないようにして、ジンとヒューイがまず肉屋に入っていった。


「へーい、いらっしゃい。何の肉をご所望で?」


「そうだな、先ずはマナバイソンのステーキ用とファングボアのヒレの部分2キロもらおうか、ヒューイ頼むな」


「はい、もう大丈夫よパパ」


「そうか、それじゃそのほか追加注文で魔族の肉2体を頼むよ」


「はぁ?魔族の肉は置いてないけど・・・」


「ええ、そうなの?君たちの肉をくれればいいのだけど」


それを聞いた瞬間、二人の肉屋は瞬時に魔族に変わり、魔法を放とうとするが直ぐ後ろで客のそぶりをしていた魔法師3人が一斉に【ディスペル】を発動して魔法を解除した。


ジンとヒューイが冒険者達10と入れ替わって、店の中で魔族とAクラスの魔法剣士、Bクラスの魔法師と剣士が入り乱れて戦い始めた。


魔族の剣技レベルが高い方は流石に強くAクラスでも厳しく外に逃げられそうになるところをドールが足と首を切り落として殺し、もう一人の魔族はAクラスの冒険者にどうを切り分けられて死んだ。


ギルドマスターが持って来ていた【次元ストレージ(中)】の中に死体を入れて今度は酒場に向かっていった。


後処理は王国騎士団の連中が店の中を調べて、肉類も全て回収して、閉店の看板を出して処理した。


酒場に近づいて300メートル手前で、ジンとヒューイが客を装い入って行く。


「お客さん、まだ開店前で5時からです。すみません!」


「いや、客として来たのではなくオタクの酒場に今よりももっと安く仕入れられる美味しいお酒を仕入れしてもらおうと思って来たのですが?」


「これなんですが・・・」とジンがヒューイに合図して『神龍剣』を抜いて二人の魔族のスキルを奪い取ってしまった。


「お前、これは酒ではなく剣では無いか!高級酒はどこなんだ」


「今後ろに持って来てます、おい皆んな入ってくれ」


どやどやと剣を抜いた10人の冒険者達がなだれ込んで来た。


ハリス侯爵やフェリシアはイリーナ達のさらに後ろに控え、負傷者が出た時に対応するようにしている。


一人の魔族が時間制御を使おうとするが魔法が発動できないで焦っている。


「お前達のスキルは仲間の冒険者が無効化している、神妙にお縄につけ!」と冒険者が叫ぶが相手もそれなりの剣士だ。


弱いところを直ぐ見抜き、Bランクの冒険者に向かって剣を振り回しながら退路を作るが、そこにドールがいて足を切り落とされ冒険者の餌食となって首を落とされた。

もう一人の魔族もAランクと肉薄していたが3人がかりに次第に劣勢になり後ろから弓を入られて傷を負い、手前のAランクの冒険者に袈裟斬りで首から肩にかけて切り落とされ死んだ。


こちらの冒険者には被害が全く無く、フェリシアが出る場もなかった。


冒険者ギルドまで歩いてマスター室でフェイト氏とハリス侯爵様と今後の対応を少し打ち合わせをしてハリス邸に戻って来た。

侯爵様は王宮に行って王様に報告し、残りの2都市の魔族に対しても直ぐに対応することを報告してくると言って出かけた。


残りの都市はケーベルとブルーノで王都から近いブルーノにハリス侯爵フェリシアも一緒に向かうことになるだろう。


ケーベルはキースに帰る途中にある街なので先ずはブルーノの街にフェイトギルドマスターから連絡を入れてもらうか今日戦ったAランク7名とBランク3名の10名を連れてブルーノに向かうか『遠距離通話器』で打ち合わせをしたところ慣れているということでブルーノもケーベルも10名の体制で言ってもらうことになった。


ハリス侯爵が王様に報告して帰ってき、明日ブルーノに向かって王都を出て、向こうで1泊して、朝一で攻め込むことになった。


王都ダルゼからは馬車移動なのでジンはワーホースのフジを馬車につないでハリス邸の厩舎につないだ。


王都の冒険者ギルドを朝9時に出発して午後3時頃にブルーのに着く予定で動くことになった。


ブルーノの冒険者ギルドで部屋を予約してもらう事になったのでジン達は特に手配の必要はなくなった。

王都の騎士団6名を入れて、総勢24名の魔族討伐隊だ。


ジンはブルーノに着いたら直ぐに魔族の場所とスキルを確認しておく作業が残っているのでのんびりもしていられない。


ハリス邸で晩御飯と翌日朝食を食べて冒険者ギルドに馬車で向かった。


『フジ』も久しぶりに馬車を引くので張り切っているようだ。


馬車は冒険者10人を2台に分乗し、3台の馬車でブルーノに向かって動き出した。

途中の寒村で昼食休憩をし、そこで温かい野菜スープとマナバイソンのステーキに焼きたてのパンをハリス親子だけで無く、冒険者10人にも出してあげみなによろこばれた。


昼食を食べながら、昨日と同じ作戦で、前もってヒューイに魔族のスキルを奪い取ってもらってから、攻め入る事に一同同じ認識を持ってもらった。


ブルーノは街から離れた森の洞窟に一人いるという事だが、一人だからと甘く見ると大怪我を負うので慎重に行くことを皆と話し合った。


ブルーノの街に予定通り午後3時前に着き、ギルドが手配してくれていた宿に皆が分散して、夕食を6時から食堂で一同揃って食べる事にした。


ジンとヒューイだけ街から出て<タブレット>に表示されている森の洞窟の前に【転移】で来ている。


ジンもヒューイも魔力を隠蔽し、”殺気”も殺して近づくと物凄い魔力量が洞窟の奥から漏れ出している。


魔族の【MP】は6000剣技Lv100、体術Lv80、魔法特性は火、水、風、土、闇の5属性を扱い、スキルは影を使役し、100メートルの瞬間移動が出来、眷属のスキルを持っており、側にミノタウロスの変異種を従えていた。


今までの魔族の中で飛び抜けて強い相手だとわかった。


相手に察知されないために、500メートル先まで全員に”殺気”を殺し、魔法師達には魔力を隠蔽するようにさせないとダメだなと感じるジン。


離れてから【転移】で宿に戻り、イリーナ達とハリス侯爵そして冒険者のリーダーに魔族の力の程度とスキルを伝えて少し夕食まで休んだ。


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