第85話 魔族との戦い(1)

ジン達はシルコレア帝国のダンジョンを踏破すべく馴染みがあまりない帝国に行って”暴食のダンジョン”を踏破してもう一つの”望郷のダンジョン”をのんびり踏破しようとしていたところ、偶然、皇帝皇后さんと王子達を暴漢から助けたことが縁で

この世界に魔族が人間族や獣人族の国に潜り込んで来ていることが分かり、急いで

レンブラント王国に戻ってハリス侯爵に連絡を入れた。


ジンが<タブレット>の助けを借りてレンブラント国内に潜んでいる魔族を調べると王都ダルゼ、ケーベル、ブルーノ、キースの4箇所に潜んで居ることが判明した。


ハリス侯爵に緊急に呼ばれ『空飛ぶ車』で6人はまずキースのハリス侯爵邸に【転移】した。


「そうそうジン君達、すまない。キースにも魔族が潜んでいるということだが何人キースには潜んでいるか探れるかな?」


「お時間頂ければ、キース、ブルーノ、ケーベル、王都のダルゼの4都市の夫々の

潜んでいる場所、人数を【サーチ】で調べ上げますので部屋をお借りできませんか?」


「おお、勿論じゃ!すぐに用意させる」


侯爵は侍従長に言って、6人がのんびりできる部屋を用意させ、皆と昼食を共にできるように手配させた。


ジンは侯爵の前では余り<タブレット>を見せないようにしたいため部屋を借りたのだが、実際【サーチ】だけでは相手の魔族が【隠蔽(ハイド)】を施していると効かない為にやはり<タブレット>の力を借りなければならなかったのだ。


6人は侍従長に案内されて部屋に入り、侍女達がお茶と菓子を持って来て引き下がったのを確認し、ジンが改めて4人の女性陣にケーキを出して、ジンは魔族達の検索にかかった。


ジンは<タブレット>の【GOD】】に『キースに潜んでいる魔族の人数と夫々の場所は?』と打ち込んでenterキーをポチった。


『キースの街の市街地の1軒屋に夫婦に化けた魔族二人が潜んでいる、場所はこのポイント』と地図が表示された。


次に同様にブルーノ、ケーベル、ダルゼと<タブレット>の【GOD】に打ち込んだ結果、ブルーノは森の洞窟内に一人、ケーベルは肉屋に化けて三人、ダルゼは二箇所に分かれて四人もの魔族が潜んでいるのがわかった。


ジン達はハリス侯爵の執務室に向かい、侯爵に調べ上げた場所と各都市に潜む魔族の人数を伝えた。


「我が国に10人もの魔族が潜入しておったか!早々儂は王様と連絡を取り合って

今後の対応を協議するのでジン殿達は家内や娘と昼食を取って少しのんびりしていてくれ」


侍従長に連れられてジン達六人は久しぶりにフェリシア達に会って一緒に食事を楽しんで、先ほどの部屋に戻ってのんびりしているジン。


イザベラ達はフェリシアと侯爵夫人とお茶を飲みながら、冒険の旅の話をしている。


「ジン君、王様と打ち合わせを終えたところだ。今回キースの魔族二人はAクラス冒険者五人とBクラス冒険者10人で魔族が潜む家を包囲して殲滅することにした。その相手方の戦力によって後の3都市に関して冒険者で対応できるか精査し、難しい場合はジンくん達の手を借りざる得ないかもしれぬ」


「分かりました。冒険者の中に必ず一人は【鑑定】のスキル持ちを入れて編成してください。相手の魔法特性や、特別のスキルを持っている奴らなので正面から戦っても二人とは言え冒険者の方に多数の犠牲者が出るかもしれませんから」


「すまんが今晩は我が家に泊まり明日冒険者達の戦い方を後ろで見守ってくれまいか?回復魔法師にフェリシアも同行させて儂も一緒に向かうので」


「分かりました、明日ご同行いたします」


ジン達は夕食を侯爵の家族と一緒に和やかに食べて侯爵から娘フェリシアも回復魔法師として冒険者達に同行する旨伝えた。


ジン達は夕食を食べ終えて、各自の部屋に入ったが、直ぐにジンの部屋に皆が集まり明日のことを相談しあった。


「冒険者ギルドの方でAランクの冒険者5ん名、Bランクの冒険者10名、その中には【鑑定】のスキル保持者を最低でも1名入れてもらっているので【鑑定】で相手の魔法、スキルを知ってから15名がかかれば簡単にやられることは無いと思うのだけど」とジンがみんなにいう。


「でも相手に【隠蔽(ハイド)、で【鑑定】を阻害されて全員が幻惑、幻想などに惑わされたら、私たちみたいに状態異常耐性が無い人はやばいわよ」とイリーナ。


「一番手っ取り早いのはヒューイちゃんが『神龍剣』で相手の魔法とスキルを奪い取って無効化できれば早いと思うわ」


「一応、冒険者ギルドで手配している【鑑定】スキルの人が鑑定できない場合も考え俺が同時に【鑑定】をして、やばければヒューイに出てもらって魔族の魔法とスキルを奪い取ってから冒険者に突撃させるようにするよ」


「そうね、その方が無難ね!私たちも後方からいざとなったら魔法で後方支援をするわ」とイリア叔母さんも言ってくれているので大丈夫だろう。


「一応俺たちは個々に【シールド】は掛けて向かいましょう」


皆で一応の方針を決めて明日に備えて早めに休むことにした。



翌朝ジンとヒューイとドールは侯爵邸の訓練場で朝練の素振りを終えてから部屋でシャワーを浴びて着替えて、皆で食堂に向かった。

ハリス侯爵と夫人それとフェリシアはもう席についてジン達が来るのを待っていた。


「お待たせしてすみません」とジン。


「いやいや、儂らも席についたばかりだから大丈夫じゃよ」


「これからの予定ですが、まずはキースのギルドに行きそこで冒険者達と合流して

魔族が潜んでいる一軒家に向かう予定でいいですか?」


「ああ、それで良い!儂と家内と娘も今後の魔族の力を見るために同行するのでそちらの警護も出来たら頼む。余り騎士達を連れて大人数で行くと気づかれる恐れもあるのでな」


「分かりました、最悪は我々が対処できるようにしておきます」


朝食を終えて、ジンの『空飛ぶ車』でハリス侯爵邸から冒険者ギルドにむかった。

冒険者ギルドでは既にAランクの冒険者5名とBランク冒険者10名にギルド長のギルバートが出て出迎えてくれた。


冒険者達は馬車3台に乗り、ジン達はその後ろに乗ってギルバートギルド長もAランクの馬車に同席して向かった。


キースの町外れの一軒家の手前500メートルほどに馬車を止めて、ジン達も車から降りた。


冒険者で【鑑定】ができる人間が魔族の能力を鑑定する。


【魔族A】男性

【HP】2700/3000 

【MP】2000/4000 

【INT】250/500 (知力) 

【ATK】850/1000 (攻撃力)   

【剣技】Lv80 【体術】Lv55

【VIT】300/400 (生命力)

【DEF】450/500 

【無属性魔法】Lv30

【スキル】影縛り、幻覚




【魔族B】男性

【HP】2300/3000

【MP】2500/4000

【INT】300/500 (知力) 

【ATK】850/1000 (攻撃力)   

【剣技】Lv70 【体術】Lv55

【VIT】300/400 (生命力)

【DEF】350/500 

【無属性魔法】Lv40

【スキル】化身、幻聴、隠蔽


冒険者が鑑定したところ二人とも男性で女性に化けているのがわかった。

ジンの鑑定とも一致して冒険者の鑑定力はなかなかだった。


魔族Aの影縛りと幻覚それと魔族Bの隠蔽に気をつければ冒険者達で対応可能と判断したギルバートは突撃を敢行させた。


Bランクの魔法師が大きなファイアボールを数発家に向け放ち、外に出てきた魔族を撃つ算段だ。


ヒューイが影縛りなどの特別なスキルを全て『神龍剣』で奪い取り、スキル発動ができなくして相手を取り囲んだ。


相手の剣技Lv70〜80なので、A、Bランクで十分対応できる。


女性に化けていた魔族Bも男性に戻り、本来の姿で二人の魔族は剣を構えた。

魔族Aが冒険者の影を踏んで動きを止めたはずが問題無く動いているので訝しがっている。


「魔族ども、君らのスキルは全て奪い取ったので使えないぞ!」とジンが言う。


「うぬら、我らがスキル無しでも人間に負けるわけがなかろう」と剣を構えてBランクの一人に向かうが、Bランクの魔法師の【ファイアスピリット】で後退させられ、隙が出来たところでAランクの魔法剣士が袈裟懸けで切りおろし殺した。


魔族Bの方は【ハイド】で逃げようとするがヒューイから既にスキルを奪われて降り、使えない。


Bランクの一人が斬りかかるが躱され手傷をおうが直ぐにフェリシアによって回復してもらう。

Aランクの剣士が斬りかかりその攻撃をかわすが、その躱した剣をはじき返して、首を切り落として撃ち落とした。


無事キースに潜んでいた魔族二人を討伐した冒険者達はギルド長のギルバートとともに冒険者ギルドに戻り、ジン達もそれについて『空飛ぶ車』でギルドまで同行した。


ギルバートから冒険者達に依頼金を支払い終えて、ハリス侯爵達と2階のギルド長の部屋で国として冒険者ギルドの方針を打ち合わせをして一旦ジン達ファミリーはハリス侯爵邸に戻った。

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