第82話 帝都スカイヨーク

ジン達一行は異界の魔物の潜むダンジョンを制覇して、新たな冒険の旅に繰り出した。

彼らはまだあまりなじみのないシルコレア帝国のダンジョン”暴食のダンジョン”を踏破してもう一つの”望郷のダンジョン”はのんびり帝都を散策してから潜ることになった。


6人がぞろぞろ歩いても目立つのでジン、イリーナ、イリア、のグループとヒューイ、ドール、イザベラのグループに午前中は別れ、午後はジンが入れ替わることになった。


ジンとイリーナが先頭になって宿を出て皆んなが興味を抱いている魔道具屋や武具が軒を連ねている冒険者ギルドの近辺を先ず散策していた。


ジン達が最初に入った魔道具屋には”魔女の道楽”で発売した『マジックテント』が倍の値段で売られているのを、ジンとイリア達が笑いながら眺めて、色々な品物を

あさっていた。


ジン達は『マジックアイテム創造』のレアな魔道具を持っているので、特にこれといって欲しい魔道具はなかったが、魔道具の防具系にジンは興味を持って調べている。


そこで見つけたのが、サイズフリーのミスリルとアダマンタイト合金の耐物、耐熱、耐湿、耐魔法の鎧で3人の魔女達にちょうどいいかもしれないと感じてイリーナに目配せで聞いてみると「ジン、私たちは既に【シールド】の指輪を全員が嵌めているから、防護服の鎧は不必要よ」と却下されてしまう。


それもそうだとジンも同感。  

今や全員が【シールド】を掛けて戦いが出来るし一瞬で転移もできる【簡易転移盤】を夫々が身につけて持っている。


攻撃の『マジックアイテム』もイリーナが『滅亡の弓』、イリアが『魔法のダガー』、イザベラが『魔法の槍』を持っているので特にこれ以上は必要なかった。


結局魔道具屋では見るだけで特に買いたいものもなく、次の武具屋に入ってみた。

ジンは自分で武具を作るのでその参考になるものでもと思い見ていた。

武具屋でも、魔法を剣に纏わせて剣先から火や水を放つものとか、ジン達が持っているものばかりだった。


ジンは自分たちが踏破するたびに得る高価な『マジックアイテム』が他の人間達も持っているのだと勘違いしているところが有るのをイリーナに指摘され、結局魔道具とか武具を見ずに、女性陣の洋服ばかり見るショッピングに付き合わされる羽目になっていた。


10時半頃、喫茶店に入って、休憩していると外が何やら騒がしい。


ジンがお茶屋さんから道路を除いていると、高価な馬車が2台、騎士団が50人程護衛して貴族街に向かう隊列がジン達のお店の前を通るようだ。


どんな御仁が馬車に乗っているのか皆も興味を持ち、お茶代を払って隊列を見ることにした。


街の人の中には跪いてお辞儀している人達もいる。

すると、人影から3人程の中年の男性が短剣を持って、先頭の1台目の馬車に襲いかかって行った。


側にいた騎士数人が直ぐに対応して、二人の首を直ぐさまはねたが一人は人混みの中に紛れて逃げた。


馬車に居たのはどうやら皇帝の奥さんと王子だったようで、何事もなく通り過ぎようとして居たが、ジンは咄嗟に逃げたもう一人の男が周りを巻き込む【ファイアランス】を放って馬車を再度襲う瞬間を馬車に【シールド】を掛けて防ぎ、周りの市民が二人ほど刺されて炎の槍で重症を負ってしまったのを【ハイヒール】を掛けて

助け、魔法を放った男を【呪縛の縄】で束縛して、騎士団に渡した。


皇帝夫人がジン達の前に降りてきて、「そなたが私たちを守ってくれたことに感謝します。また市民のお二方の命を助けていただき誠にありがとう。できたら感謝とお礼をしたく午後にでも私を訪ねて城に来てくれぬか」と皇帝夫人がジンに言った。


ジンはめんどくさいことに巻き込まれたと内心後悔したが、「お礼など必要ございません、旅のものなのでお気にせずに・・・」と断るが、騎士団長と皇帝夫人に再度言われ、断りきれず午後に伺うことで、手紙を授かった。


「あらあら、ジンはわざわざ揉め事を背負い込むタチなのね!」とイリーナに呆れられてしまった。


そんな騒ぎがあり、お昼も近くなったので一旦宿に戻り、みんなと合流して近くの定食屋で昼食を食べるのだった。


定食屋で食べながらの会話はもっぱらジンが揉め事を抱え込んだ話で、午後からの散策はジン抜きで行くことになった。


ジンとしては一人で行くのは嫌だとごねて、ヒューイを同行させることになった。


昼ごはんを終えて一旦宿で少しいい洋服に着替えて2人で城の前に【転移】し、手紙を見せて、宮殿の中に案内され待って居た。


昼前に助けた夫人と王子二人が現れて、「よく来てくれた、先ほどは危ないところを本当に感謝する、王子二人を救ってくれて主人もあとで礼を言いたいと、くると思うが先ずは其方達の紹介を頼む」


「あっ、これは大変失礼をいたしました。私はレンブラント王国冒険者のジン、こちらは家族のヒューイでございます」とジンが丁重に答えた。


「私はシルコレア帝国皇帝アグレバルの妻ディアーナとこちらは息子のデビットとトミーです。あのジン殿は冒険者として名高いSSSランクのしかも貴族の称号をさずかった?」


「はい、確かに私はレンブラント王国で先日王様より名誉貴族の称号を授かりましたが名ばかりの冒険者でございます」


そんなところに皇帝アグレバルがジン達のところに来た。


「こちらが妻と息子二人を助けた御仁かな?」


「レンブラント王国の冒険者ジンです、こちらは家族のヒューイでございます」


「ヒューイです」


「おお、お二人ともSSSクラスのあのジン殿達か?」


「そうかぁ!ジン殿この度は我妻ディアーナと息子二人の窮地をお救いいただき誠にかたじけない」と頭を下げられた。


「いやいや、皇帝様頭をお上げください。たまたま通りかかったところだったので」


皇帝は奥方達が狙われた事件の背景を簡単に説明してくれてたが、ジンは帝国内の政治的な内情に首を突っ込みたくないので聞き流して居た。


「ところでジン殿、ここで知り合ったのも何かの縁、是非しばらくこの国で遊んで行かれよ。きょうはこのあと予定が無ければそなた達を夕食に招きたいが如何かな?」


「お招きは大変嬉しゅうございますが、私達ファミリーはまだ他に総勢6名の大

所帯なのでご遠慮申し上げたく・・・」


「それなら、みなさんをお連れしていらっしゃいませ!是非今までの冒険の旅の話など主人が飛びついて喜びますわ」


「そうだジン殿、皆今日はこちらに泊まって色々話を聞かせてくれぬか」


結局ジン達は一旦宿に戻り、全員を連れて宮殿に泊まることになってしまった。


幸いアグレバル皇帝はとても気さくな人で、昔冒険者をしていたというだけあってジン達の今までの冒険の数々を嬉々として聞き入ってくれた。


夕食は皇帝一家とジン一家だけで打ち解けた楽しい夕食になった。


「すると、ジン殿達は古代人が滅亡させられた異界の魔物を殲滅したと?」


「ええ、何とか二日がかりでどうにか倒すことが出来ました」


「我が帝国にはSクラスの冒険者はいないのだがダンジョンがこの帝都にも2箇所あるが、行かれたのかな?」


「はい、昨日”暴食のダンジョン”を踏破して、今度は”望郷のダンジョン”を潜ろうと思っております」


「そうかぁ、儂も若かったら是非一緒に行きたかったが・・・」


「ところでジン殿、一つ相談なのだが妻達が襲われた時に市民を平気で傷つけた魔法師がいたじゃろ?彼のレベルは高いのか?」


「いえ、それほどでもありません。『ファイアランス』という魔法は火系の魔法で

は中級ですが、彼のは未だ未だ槍がちゃんとした形をなすまでに至ってなかったので大したことはないですよ」


「そうか、ジン殿お主達の力量を知って一つ指名依頼をお願いしたい」


「我が国は未だ未熟な国で貴族同士が自分たちの利益を優先させて争いが絶えないので儂が自領以外は国有地として国が管理するという法律を作り帝国が管理することになったのだがそれに反対する一部の貴族が午前中のように家内達を襲って儂に挑戦状を出して来たのじゃ、ついてはその貴族の殲滅をお願いしたい」


「皇帝に反逆する輩は騎士団達で討伐するのが筋では?」


「本来はそうなのだが、現状帝都の民を平和に暮らしていけるように我々の騎士団、魔法師が動いて民衆を守らないと彼らは平気で帝都の市民を殺戮する連中だ。

証拠を突きつけても知らぬ存ぜぬとしらを切るばかりでほとほと困っている。

本来、内乱を一冒険者に依頼すること自体おかしいのだが儂はこの帝都の市民が犠牲になるのだけは防ぎたいのじゃ、どうだろう?頼まれてくれんか?」


「相手の貴族は大勢いるのですか?」


「潰して欲しいのは一人の侯爵の裏の軍隊だ、何せ魔法師を多数抱えて裏ギルドの殺し屋を多数抱えて総勢200人ほどだが、実力が有り軍隊としては3000人程度の力と同じだ」


「そうですか、ファミリーとも相談して決めたいと思います」


「もし受けていただけたら、白金95枚とこの国の自由に行き来できる品物を差し上げるので何とか検討してくれ」


「明日の朝食時には決めさせていただきます」と言ってジンと皇帝は皆の話の輪に

戻って行った。


夕食も楽しく終わり、ジン達一行と皇帝家族でお茶を飲みながら冒険の旅を話していた。


ディアーナ夫人がジンファミリーに皇帝がジンに話したのと同じことをイリーナ達に話し始めた。


「イリーナさん、ジンファミリーに是非お願いしたいことがあるの、この国の民を救っていただきたいの・・・」と皇帝がまさにジンに依頼したことをファミリーの

主がイリーナと思い皇帝夫人は皆がいる前で依頼した。


「ディアーナ、先程ジン殿にお願いしていたところだ、明日朝食までに皆で相談して返事をもらうことになっているぞ」


「あらそうでしたの?でも私からも是非お願いしたいわ」


「イリーナさん、この国は未だ若く貴族同士が領地を争って自国の民をないがしろに争いばかりしていたので、夫が今の自領以外は全て帝国国有地としてしばらく国が管理するとおふれを出したらある貴族だけが反対して裏ギルドの魔法師や殺し屋集団を抱えて帝都に反抗的な態度を示すようになったの、今日の事件もその連中の仕業で、市民を巻き添えにすることを厭わないひどいやり方が続いているのよ」


「何とか彼の裏の軍隊をあなた達に殲滅していただきたく指名依頼を出そうと」


「ディアーナ、全く同じことを先ほどジン君に話したところだよ」


「皇帝様、その話受けますわ!市民を巻き添えにして平気で自分の主張を通す輩は私は許せないわ」とイリーナが即決めしてしまった。


「ええ、イリーナさん良いのかい?」とジン。


「午前中のやり方を見たでしょ?市民が居ても平気で【ファイアランス】を放ってくる魔法師達を集めて一気に逆らう輩は成敗が必要よ!」


「みんなはどうなの?」とジンが聞いた。


「私も、良いわ、自分の領土をを広げるために市民の命を何とも思わない輩は私たちで殲滅しましょう!」とイザベラとイリア叔母さんが賛同してしまう。


「皇帝様には申し訳ないが、一方的な意見だけを聞いて即決めるのはもんだいじゃないか?」とジンが言い出した。


「一応相手のことも確認して探ってからと思ったのだけど・・・」


「明日の朝食までに決めようよ、それまでオレがその問題の貴族の周りを今から探るから」とジンは即答をやはり避けて明日朝結論を出すことにした。


ジンは皇帝から一応問題の貴族の名前を聞き、エリオット侯爵ということを確認して『地獄耳の拡声器』を耳につけてエリオット侯爵と念じた。


侯爵の声が彼の耳に聞こえてくる。


『襲撃に失敗しおって、全く役立たずの連中だ、次回は夫婦で街を視察するときを狙って屋台に魔法師達を潜り込ませて”ファイアボム”で周辺を爆発でもさせて周りもろとも殺せば間違いなく殺せるだろう』と聞こえて来た。


まぁこれで決まりだが、もう少し背景を知りたいと思い、そのまま耳につけて過ごすことにした。


夕食後のお茶会も終えて、皇帝が用意してくれた部屋に分散して個室に入ったがジンの部屋にイリーナが入って来た。


「この件はやはり受けようと思う、どうやらとんでもない貴族のようですね。次回は皇帝夫妻が街を視察する際に市民ごと爆破させて殺す気でいますよ」


宮殿の中庭でヒューイ、ドールと朝練をして、部屋に戻ってシャワーを浴び朝食に皆で向かった。


皇帝夫妻と王子二人が既に来ていてジンファミリーを待って居た。


「アグレバル皇帝、早々ですが昨夜の依頼お受けいたします」


「ついては食事が終わりましたら宮廷から一番近くの宿に5泊程度泊まり対応と作戦を行います」


「おお、そうしてもらえるか、宿の宿代はこちらで負担するので解決するまでいつまででも居てくれて構わんよ、宿はそうしたら”ホタルの里”というところに、ツインを3部屋予約しておくように手配する」


「それでは皆で朝食を頂こう!」と野菜サラダが豊富な朝食をいただいて、その後皇帝が言っていた”ホタルの里”に向かった。


チェックインには早かったがさすが皇帝からの予約が効いて、10時から入れるよ

うになっていた。


ここでの泊まりはいつもの通りジンとヒューイ、イリーナとイザベラ、イリアとドールで常に一緒に寝泊まりすることになった。


皆がジンのところに集まりコーヒーを飲みながらショートケーキ、ティラミス、チョコレートケーキ、サバランを食べながら昨夜ジンが聞いた貴族の話をジンが皆に伝えた。


取り敢えず、エリオット侯爵の領地である、パラメーラにはいずれ行くとして、

帝都に潜むエリオット侯爵の雇った影の軍団を全員潰しにかかることにした。


魔女3人達がケーキを楽しんでいる間にジンは<タブレット>の【GOD】をクリックして、『帝都に潜んでいるエリオット侯爵の手配した人達』と打ち込んでポチった。


帝都郊外も含めて表示させると、いるわ、いるわ、おそらく帝都の闇ギルドを侯爵が仕切っているかのごとく総勢2000名近くいる。


「3人様聞いてくれる?今敵貴族の軍勢を調べたところ闇ギルドの魔法師や冒険者達が総勢2000名近くいる。この中で魔法師に絞って先ずは倒して行く」


実はジンは総勢2000名の侯爵の関係者を調べた時に魔法師がその中にどれだけいるかチェック済みだった。


魔法師は204人の魔法師がいる。 今日だけでも100人程減らしておこうと

考え、<タブレット>と【イレージング】を併用して<タブレット>に表示されている魔法師の赤点を、どんどん消していった。


「ジン、さっきから何してるのよ?」と呑気にイリーナが聞いてくる。


「イリーナさん達がケーキにうつつを抜かしている間大量の魔法師達を消し去っているんじゃん!」


「全員消したら私たちがお役御免になってしまうじゃない」とイリーナ。


「それでも100人以上がまだ残っているからせいぜい3人で相手するなら50人程度には減らさないと相手も魔法師だからね」


「ついでに剣士のスキル持ちも消していこう」とジンは今度は<タブレット>の【GOD】に『剣士、スキル持ちの敵』と打ち込み同様に消していく。


結局ケーキタイムの間に消した敵は魔法師150名、剣士300名を消した。

<タブレット>様様だ!


「イリーナさん、魔法師はヒューイ、と3人の魔女様で当たり、剣士は俺とドールで当たって討伐しましょう」


「先方に特別な我々が既知ではない魔法を放つ相手がいた時はヒューイの『神龍剣』で魔法、スキルを奪い取ってイリーナさん達が対処できるから」


「そうね、相手がこれだけの人数だとどんな魔法を持っているか分からないからね、その時はヒューイちゃんにお願いするわ。【鑑定】を掛けて相手を知ってから攻めることに徹するわ。イザベラ、イリア、ヒューイちゃんそれじゃ【サーチ】を掛けて全員【シールド】をしていざ出陣!」


昼前なのでお昼にギルド集合でイリーナ達が出て行った。


ジンとドールは<タブレット>で更に『敵対する剣士の居所』を表示させて更に消しにかかった。


「ドール、午前中はこの作業で1000人程散らばっている剣士達を消して午後いっきに攻めに出ような」


そう言って、ひたすら<タブレット>相手に赤点をポチるジン。


一方、イリアとヒューイ達はイザベラが【サーチ】を掛けて魔法師をあぶり出していた。


だいたい3、4人でたむろしている状態でまず最初に根城にしている1軒の家を見つけ、中をイザベラが【サーチ】をかけると4人が居て、一般の市民は誰も居ない。


イリーナとイザベラが二人で同時に家に向かって【ファイアボム】を放ち、いっきに燃え広がった家から飛び出してきた魔法師4人にイリアが【アースランス】を放った。


家は幸い郊外で周りに延焼はなく瞬く間に灰となって崩れ4人のうち3人はイリアの土の槍で葬り、の頃魔法師一人がイリーナに【アイスニードル】を放つがイリーナの【シールド】がそれを防ぎ、イザベラの【エアカッター】で首を落とされ4人は死んだ。


イリアが【土魔法】で穴を掘り、そこに4人の死体を入れてイリアが【ファイアスプラッシュ】でいっきに焼いてイリアが土をかぶせて平地にして葬った。


再びイザベラが【サーチ】をすると2人が街を歩いている。

イリーナが二人を【鑑定】をすると一人は【ファイア系】でもう一人は【風系】の魔法でスキルは二人とも特に持ってはいない。


二人のあとを4人の女性がついていく。

あからさまに付いていき、わざとわかるようにすると、次第に町のはずれに二人が向かい、誰も居なくなったところでイリーナ達に振り返った。


「お前達、俺たちに何か用事が有るようだが事と次第によっては聞いてあげてもいいぞ!お前らのようにいい女が4人もいるからな」


「あら、嬉しいわ!ヒューイちゃん先に面倒だから奪ってくれる?」


「わかった」と言ってヒューイが『神龍剣』で2人の魔法を奪い取ってからイリーナが、「それじゃ、お二人さんはこの世から消えてくださらない?」


「ははは、俺たち相手に消えてくれと?先ずはお前達を味わってから考えてやるよ」


「【ファイアボム】!なな何だ?魔法が発動しないぞ」


「【ウィンドアロー】・・・、俺もダメだ」


「貴様ら俺たちに何かしたな?」


「あらあら、悠長な魔法師さんね!」


「魔法はこういう風に出すのよ、【ファイアボム】」と言ってイリーナが二人に巨大な火を放った。


「うわぁぁぁー」火だるまになって転げ回る魔法師二人。


人肉が焦げる匂いをイリアが霧散させて死んだところで【土魔法】で穴を掘り二人を埋めて更にイザベラが灰になるまで焼き尽くして埋め戻した。


「3人とも結構えげつない!」とヒューイが言う。


「ヒューイちゃん、こんな輩はこのぐらいえげつなく殺してちょうどいいのよ」とイリーナがさらっと言った。


「お昼だからそろそろ、冒険者ギルドでジン達と合流しましょ!」


冒険者ギルドにいくとジンとドールは食堂で果実ジュースを飲んでいる。


「ジン達は午前中の作業は終わったの?」


「俺たちは<タブレット>でぼんぼん消す作業をして、剣士のそこそこスキル持ちや強いやつを消して残りは午後昼食を食べてからにするよ」


「私たちは6人の魔法師を消したわ、全て焼き払って埋めておいた」とイリーナ。


「どこか定食屋に行きましょ?」とイザベラが冒険者ギルドを出てヒューイの方にちらっと顔を向けるとヒューイはクンクンと鼻をひくつかせて、一軒の定食屋に入った。


みんなもヒューイの後にぞろぞろと付いて行き、定食を頼んだ。


「今日はファングボアの生姜焼き定食だけどいいかね?」


「ええ、それを5人前頼みます」とジン。


定食はすぐ出てきた。

醤油はこの世界には無いが似た味付けになっている。


パンと米のどちらかを選べるので、ジンは迷わずご飯、ヒューイも「パパがご飯なら私も」と二人がご飯で3人の魔女はパンをオーダーした。

スープはケルピーのスープで美味しい。


さすが、ヒューイの鼻検索のスキル?は性能が抜群だ!


「ねぇジン、ジンの<タブレット>と【イレージング】を併用すればわざわざ街を出歩いて一人ずつ倒さなくてももう少し効率上がるのじゃ無い?」とイリーナがジンに聞いてくる。


「それはそちらの方が楽にできるのですが、皆さんの戦いの訓練になるかなと・・・」


「それにしては相手が余り強く無いのに人数だけ多いからもう少し残り10人程度までジンのスキルで減らしてからにしましょうよ」


「それじゃ、宿に戻って戻ってケーキでも食べながらひたすら消して行きますか?」とジン。


結局昼食を食べ終えてジンたちの部屋に戻り、アメリカンコーヒーとチョコレートケーキにサバランで女性3人とヒューイはのんびりとジンの作業を見ながら雑談し始める。


ジンはというと、ひたすら<タブレット>の赤い点をポチっては【イレージング】をして、結局夕方近くになって魔法師はほぼ12人迄消し去り、剣士は30人まで消し去った。


「イリーナさん、一人【イレージング】を掛けても消えない魔法師が一人いますね

。何か特別なスキル持ちと思われます」


「近くに行って【鑑定】してから攻撃をかけないとまずいかも」


「そうね、ジンが持っているような特別の魔法だったら面倒だからその時はヒューイちゃんに頼んで魔法とスキルを先に奪ってから対処するわ」


ドールはイリアの部屋に行き、5人は夕食のために1階の食堂に向かった。


その時ジン達は強烈な殺気を感じ5人は身構える。


見ると食堂の入り口に3人の魔法師が立っている。


どうやらジンが放っていた<タブレット>と【イレージング】の魔力の流れを察知して此処までたどり着いたようだ。


ジンが一瞬で3人の魔法師のスキルを【鑑定】をする。

相手もジン達5人の魔法やスキルを鑑定をかけているようだが5人は全員が【ハイド】をかけているので鑑定はされない。


一方3人の魔法師のスキルは夫々【察知】、【鑑定】、【眷属】のスキル持ちでヒューイがいち早く『神龍剣』で一瞬にしてスキルと魔力を抜き取っていた。


踵をかえして逃げ出す魔法師、【呪縛の縄】で道路の半ばあたりで3人を束縛して直ぐ様【イレージング】で消し去った。


気が付いた人間は暗がりというのもあり、町の人には感づかれなかった。


ジン達は取りあえず、夕食を頼んで食べることにした。

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