第80話 異界の魔物の檻を踏破

20階層で一夜を過ごして体力を再び全員が回復して、21階層に降りていく。

21階層にはアウカザウルスが3匹いる。

アウカザウルスは他の魔物の卵を食べて生きている魔物なので、ある意味ジン達には助かる魔物だ。


異界の魔物を増やさないで卵の段階で食べてくれるアウカザウルスは好都合だ。

後ろ足が前脚より異常に発達して2足歩行でものすごく早い。


イリーナが狙いすましてアウカザウルスの後ろ足に【アイスロック】を掛けて3匹の動きを止めた。


ドールとヒューイが素早く『雷剣』と『神龍剣』であっという間に首を切り落としてくれた。


22階層は同じアウカザウルスだが前脚と後ろ足が同じほど大きく4足歩行もでき

2足歩行も出来、口から【ファイアボム】を放てる上位種の様だ。


「ヒューイ、『神龍剣』で相手の魔法を奪い取ってくれ」


「ドールはそのタイミングで直ぐに2匹の首を切り落としてくれ!」


「はいご主人様」


ヒューイが魔法を奪った瞬間、ドールは既に1匹の首を切り落とし、2匹目に向かって【縮地】で肉薄していた。

アウカザウルスがドールに向かって火を吐こうとするがそれをヒューイが既に奪って放てない。

ドールはやすやすとその隙をついて首を切り落とした。


23階層にはヴェラキラドンが1匹いる。

ここは1匹なのでジンが【イレージング】を掛けて一瞬で消した。


24階層の階段を降りて行きタルボザウルス2匹と対峙する。

この魔物は噛み付く力が恐ろしく強く相手の骨もやすやすと砕き粉々にする力がある魔物だ。

しかも素早い動きで後ろ足がとても大きく強いため【アイスロック】で動きを止められない。


ジンは2体のタルボザウルスを【結界】で取り囲み【重力魔法(グラビティ)】で潰しにかかった。

相手もかなり力が強く時間が掛かったが、結界の中の空気を抜く作業も並行して行い頭をぐしゃっと潰して強敵を葬った。


25階層ものタルボザウルスが今度は5頭もいる。


ヒューイが【火炎咆哮】を放ち5匹が苦しんで抵抗力が弱まったところをジンの【イレージング】魔法で5匹を消し去った。


遂に後、数階層頑張れば・・・!

26階層にはシアッツ竜が2匹身構えている。

強力な下顎の力で捕食すると骨も噛み砕いて食べてしまう強力な魔物だ。


ジンは迷わず『魔拳銃』からバレット弾を連発して内臓から破壊して殺した。


27階層に向かって坑道の階段を降りて行くジン達6人、彼らの耳に聴こえて来る悍ましい叫び声が皆を緊張させる。


声の主はプラキオドンという最も異界の魔物の中で巨体で全長が約30メートル、高さが20メートルと巨体を揺るがして坑道の天井に頭が当たる程の大きさだ。


ここはジンが背中に納めていた『剛力』を取り出し、40キロの重量の剣を軽々と長いプラキオドンの首めがけて打ち下ろした。

『グシャ!』と首が切れて、骨が潰される音が皆に聞こえるほどの斬撃だった。


首が坑道の床に落ちても巨体の胴体は未だ立って倒れないで彼らの行く手を邪魔している。


ジンが再び『剛力』を胴体に上段から物凄い速度で振り下ろすと、胴体が二つに別れて倒れた。


28階層に向かって歩き出すジン達。

カルカロドントが2匹いる。


古代人の資料によると、歯の淵には細かいギザギザが付いていて、捕食した獲物を容易に切り裂いて食べる肉食魔物と説明が有った。


体長は15メートルで重さが10トンも有る大型の魔物だ。


ここは1体をジンの『魔拳銃』でレーザー砲を、残り1体をヒューイの『神龍剣』

とドールの『雷剣』で向かった!


ジンの方は『魔拳銃』からレーザー砲を放つと、カルカロドントは一瞬にして首から頭が肉片になって坑道の壁にへばりついてあっというまに葬った。


もう1体は『神龍剣』でヒューイが胴体の真ん中を上段から高速で打ち下ろし、ドールの『雷剣』がカルカロドントの頭蓋骨に雷を直撃させて失神させたところにヒューイの剣が胴体を真っふたつに切り分けて殺した。


いよいよ29階層だ!

トリケラトプス、このダンジョンの第二位のいちに君臨する強者だ。

頭部の角は全てを破壊する硬い角で、突進力はファングボアやマナバイソンの100倍の突進力だ。


魔法耐性が有り、あらゆる魔法が効かない。強靭な体で剣も通さない硬い表皮で覆われている。


そのトリケラトプスが2匹、頭を低くして角でジン達を打ち砕くつもりだ。

彼らのシールドもトリケラトプスの突進力と角では一瞬にして破壊されてしまうだ

ろう。

ジンは皆んなを後ろに退避させ、【シールド】を3重に重ねがけするように指示。


1匹をジンが『魔拳銃』でアンチマテリアル弾の50BMG弾を顳顬と胴体に3連射した。

凄い音と共に強力な弾丸がトリケラトプスの硬い表皮を打ち砕いて頭を吹き飛ばし

体に二つの風穴を開けた。


もう1匹はヒューイが【縮地】を使い、皆が追えない高速で『神龍剣』に魔力を宿して、首をめがけて斜め袈裟斬りに切り落とした。

更に念を入れて、胴体を二つに切り裂いて完全に殺した。


いよいよ最深部30階層だ。

古代人達が滅ぼされ、古代人の子供達がミイラとなって横たわった研究棟の景色を思い起こすジン。


ジンは『魔拳銃』に今度はレールガンの弾丸を5発装填した。


30階層の入り口に入ると、20メートル程先に、異世界の魔物達の死骸となった物が散乱してその奥に黒い霧に包まれて見える巨体、ヘルティラノドラゴンがいる。


全ての異界の魔物の頂点に君臨する最強の魔物、古代世界を滅ぼした魔物。

ジンは身震いした!古代人の意思を受け継ぎ今まで精進して、この魔物を倒すべく『アーティファクト』を得たジンは彼らの思いの丈をこのレールガンに込めて、狙いを定めて撃ち放った。


今までの銃声の音とは一線を画す音を残して弾丸がヘルティラノドラゴンに向かって放たれた。


1発、2発、3発と放たれたレールガンは超音速で黒い霧のシールドを物ともせず

通過して、剣では切れない超硬いヘルティラノドラゴンの顳顬、首、胴を打ち砕き

轟音が静まった時にはヘルティラノドラゴンの姿は異界の魔物の屍のその奥に同じように屍となって横たわっていた。


全てを回収して【次元ストレージ】に回収したジン達は坑道の中をイザベラ、イリア、イリーナに頼んで順番に【土魔法】で埋め戻して、崩落しないように、王都が崩れ落ちないようにしっかり固めて埋め戻した。


1階層迄順番に戻って来た6人はその足で、王都の冒険者ギルドに向かい素材置き場に異界の魔物の山を築いた。


地上は10時過ぎだが未だ素材置き場はガラガラで、剣が通る魔物は良いが上位種の異界の魔物は硬くてほとんど解体ができないのであっという間に魔物の山がうず高く積み上げられて行った。


ジン達が”異界の魔物の檻”ダンジョンを踏破した連絡は直ぐに王様達に連絡が入り、ハリス侯爵がギルドに直ぐに向かった。


ジン達は冒険者ギルドの食堂でサンドイッチと果実ジュースを飲みながら納品書ができるのを待っていた。


そこへハリス侯爵が来て「ジン君、遂に無敵の異界のヘルティラノドラゴンを倒したのか?」と興奮して聞いて来た。


そのれ同時に2階のギルドマスター室からギルマスのフェイトさんも降りて来て

ジンと3人で素材置き場に向かった。


素材置き場ではトリケラトプスとヘルティラノドラゴンが解体できずに巨体をさらしている。


ハリス侯爵がその魔物に剣を抜いて一閃するが剣が跳ね返されてしまった!

目の前に見える禍々しき巨体をフェイトと侯爵は見つめて、黒龍を瞬殺するこれらの魔物が王都を蹂躙してこの世界を滅ぼす姿を想像してぞっとしていた。


「ジン君、この巨体をもう少し小さく切れないか?これでは素材置き場がこの巨体だけで身動きがとれないくなるよ」とフェイトさんに言われ、ジンが『煌剣』を抜いて2体を細切れに処理した。


あと未だ解体ができない数種の魔物もジンが細かく切り分けて、巨大な魔物の山もなんとか人が作業できるところまでの広さを確保して、3人は改めて食堂に戻った。


食堂に戻り、皆とハリス侯爵とフェイトにダンジョンでの戦いを説明して、埋め戻した事を伝えた。


もちろんお宝もないし、ダンジョンコアもない。

しかし、今まで誰も見たことのない魔物達の姿をフェイトとハリス侯爵は確認してジン達に討伐達成依頼金の白金70枚と坑道の埋め戻し作業代金に魔物の代金を含めて全てトータルで白金120枚をジン達に支払い、ファミリ全員をSSSクラスの会員証に切り替えた。


ハリス侯爵が「一旦我が家でゆっくり休み、明日にでも王様に謁見してもらう手筈になると思う」とジンファミリーに伝えた。


ジン達は皆疲れ切ったようで、取り敢えず侯爵邸に行き皆でお風呂に入って昼食が出来るまで横になって休んだ。


ジン達5人は皆、やはり2日越しのダンジョンでの戦いが応こたえたのかハリス侯爵のお嬢さんのフェリシアさんに全員が【回復魔法】をかけてもらって1時間ほど仮眠した。


もっともジンもイリーナも回復魔法は使えるがフェリシアさんが元気なのでお願いして皆休んだ。


昼食は侯爵邸の大食堂で皆が集まり、侯爵夫妻も憂が無くなったことの喜びを満面の笑顔で皆を迎えていた。


侯爵邸での夕食も豪華で皆も疲れがすっかり回復して豪華な食事を楽しみ翌日の王様との謁見を迎えていた。


全員が礼服に着替えて侯爵夫妻と騎士団長以下20人程の騎士に守られて6人のジンファミリーは王宮に向かった。


大広間で王様夫妻、筆頭公爵、宰相が顔を揃えているて、フィンファミリーは国王に向かって全員が膝を折って礼を尽くし、ハリス侯爵から「魔物の確認をして坑道も完全に埋め戻しこれで王都は安泰です」と伝えられた。


王様からジン達6人に名誉貴族の称号を与えられ、ジン達はセモアの自宅にやっと帰って来た。


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