第77話 貴族派との激闘

ついに貴族派リーマン伯爵とアーネスト公爵の主力部隊が王宮目指して移動を開始した。


貴族派の軍隊4000名がリーマン伯爵とアーネスト公爵を筆頭に王宮に向かって進軍している。


他の貴族派の男爵たち3家に向かってアーネスト公爵から連絡騎士が伝令を持って馬を飛ばしていたが、王族派の斥候3人によって途中で捕まり、王宮に向かう時期を失っていた。


また、男爵3家が抱えて連れてきていた魔法師達数人はイザベラ、イリア、イリーナ達3人によって補足され、兵士達も王族派の騎士団の攻撃にあい、交戦して数十人が死亡し、残りの騎士団、兵士達は武器を放棄させられて降伏して居た。


勿論、アーネスト公爵にはその戦況は報告されていない。


王族派騎士団が全ての貴族派3名の男爵と騎士達を無力化していた頃アーネスト公爵とリーマン伯爵の4000名の軍隊がジンが搭乗している『空飛ぶ車』に向かって攻撃を開始していた。


魔法師が全てジンによって消された今、彼らの攻撃は弓矢による攻撃に頼っている。


ヒューイが火炎咆哮を商業地区に被害が及ばない程度に放ち、前衛の1200人程の兵士を灰にして殺し、更に向かってくる兵士達にドールが【エアカッター】を連発して葬っていく。


ジンもレーザービームで次から次へと倒していき、再びヒューイが火炎咆哮を放ち今度は少し威力をまして2000名を一度に灰にした。


リーマン伯爵とアーネスト公爵はヒューイの火炎咆哮の凄まじさに前進できずジリジリと後退していくところを王族派騎士団1000名が襲いかかり剣での戦いに変わった。


貴族派の軍勢は既に300名程度に激減して守勢一方だ。


リーマン伯爵とアーネスト公爵二人は騎士団長二人と数名の騎士に守られて馬に乗って公爵邸に逃げ込もうとするが『空飛ぶ車』に乗り込んだジン達に先回りされて逃げ道を塞がれてしまった。


「伯爵に公爵様4000人の兵士を無駄死にさせて自分達だけ逃げようなんて虫が良すぎますよ」とジンが言って、ジンが公爵達の騎士と騎士団長を剣で首を切り落として葬り、伯爵と公爵を【呪縛の縄】で捕獲して王宮の入り口に転移した。


戻ってみると、貴族派の兵士達は既に武装解除して降伏し、王宮に続く道には3000名の屍が横たわって居た。


ジンが【イレージング】を掛けて道を綺麗にして、王宮の【結界】を解いて貴族派の兵士達とリーマン伯爵、アーネスト公爵を王宮の地下牢に入れた。


一方イザベラ達も男爵3名と男爵毛の騎士達1500名を一気に捕まえて、王宮に連れてきて居た。


地下の牢獄が満杯状態になるのでジンが訓練場の片隅に【闇檻(ダークジェイル)】を設置して男爵3家の兵1500名と降伏した伯爵、公爵の兵士180名ほどを入れて収容した。


伯爵と公爵は地下牢に入れられ、厳重な警備が敷かれた。


フェリシアが数十名の怪我をした兵士を回復魔法で治していたが全員大した傷ではなく王族派は死者なく大勝で終わった。


商業地区と貴族街とは割と距離もあるので、商業地区には影響はなかったが、4000人もの軍隊が貴族街を進軍した影響は大きく、貴族街の街並みがヒューイの火炎咆哮の影響もあり、だいぶ破壊されていた。


早朝ということもあって、王都の商業地区の人たちは貴族派の武力蜂起を全員が知ったわけではないがそれでも街の一般人はかなりの人が知り、その結果を固唾を飲んで見守って居たのだ。


王族派の圧倒的な勝利で終わり、一般の市民も普通の日常に戻っていた。


王宮では王様以下王様の家族、ハリス侯爵夫妻、ジョゼフ公爵の家族、宰相夫妻たちが集まって居たが一様に安堵して、夫々の館に婦人達と騎士達は戻り、王広間には王様、ジョゼフ公爵、ハリス侯爵、宰相と騎士団長が残り、反乱後の後始末に移った。


まずアーネスト公爵、リーマン伯爵家は取り潰し、二人は死罪、兵士達は上級騎士達も死罪とし、ただ命令のまま動いた兵士達は5年間の監視下のもと強制労働を課し5年後は平民として解放する。


3名の男爵も死罪となり、領地も全て没収された。


死刑の執行は直ぐ行われて、捕まって居た魔法師も同時に行われた。


ジン達はその3日間ほど王都の”夕餉の里”に泊まりのんびり過ごしていたが、3日目の朝食を宿で食べていると王様達からお呼びがかかり、王宮に全員で向かった。


「ジン殿この度の貴族派武装蜂起を防いでくれた働き、本当にありがとう。君達の働きに対して白金20枚をお渡しする」と宰相から頂いた。


王様が「ところでジン君、君の【消滅魔法】で【サーチ】を併用して”異界の魔物の檻”の魔物達を消し去ることはできないのか?」と聞いてきた。


当然ジンも貴族派、中立派が騒ぐ前に王都の巨大な魔物達がいるダンジョンの消滅を試みて居たが、古代人の特殊なシールドで阻まれて魔法を通すことができないでいた。


「王様、残念ながら”異界の魔物の檻”ダンジョンの坑道のシールドは魔法無効化のシールドが施されていて魔物を遠隔で消し去ることはできません。坑道内に入れば多少消すことは可能かもしれませんが・・・」


「ジン君それで指名依頼という形で王都の冒険者ギルドと王家から”異界の魔物の檻”ダンジョン制覇の依頼を出すことにした。このままダンジョンを王都が抱えていつ綻びが生じて王都を魔物が徘徊するかわからない状態では将来も困るので非常に危険だがジンくん達に討伐依頼を出すことに決めたのだ。どうだろう受け入れても

らえぬか?討伐したあかつきには白金70枚を王都の冒険者ギルドと王家から出す。魔物買取をすればおそらく白金100枚近くにはなるがどうだろうか?」


「お金の問題はそれ程重要ではなくやはり私の仲間達の身の安全を私は真っ先に考えているのですが、みんなとも相談してお受けするか決めます」と言って、一旦王様達の前を辞した。


ジンとイリーナ達は王宮の一室を借りて、ジンがみんなに問いかけた。


「イリーナさん、イリア叔母さんはどうですか?」


「私はやはり今の状態ではいずれ綻びが出て王都の民、ひいてはこの世界が滅ぶのであれば先手必勝ではないけど、こちらからダンジョンに入って戦う方がいいと思うわ」とイリーナ。


「ジンも一応最強の魔物の対策は出来たと言っていたし、私達の魔法能力も防衛能力も上がったから戦いましょう!」とイザベラ、ヒューイが賛同する。


「みんなの気持ちはわかったけど、相手は通常のダンジョンの魔物とは全く異質の魔物だよ、ドラゴンを簡単に倒すの魔物がそこでは最弱の魔物だからね、それだけは覚悟してくださいね」


「私達の覚悟は出来ているわ」とイリーナ。


「よし、それじゃ、明日朝食を食べ次第王様にご返事して1日だけ作戦会議をしたのち討伐の為潜ろう」とジンは決意した。


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