第75話 貴族派のたくらみ

ジンたちファミリーがキースの未知のダンジョンを踏破してハリス公爵邸で楽しい夕食を食べている頃、ベルヘアの貴族派の筆頭アーネスト公爵やリーマン伯爵達貴族派は古代人が封印した”異界の魔物の檻”ダンジョンの封印を解くべく密談をしていた。


「リーマン、すぐにそのルブロンという魔法と騎士団1000人程を王都のお主の館に密かに移動させておけ!皆のものもよく聞け、それぞれ、自陣の筆頭魔法師以下2、3名と騎士団500名ほどを密かに王都の屋敷に移動させておけ。儂も魔法師数名と1000名の兵士を王都の屋敷に移動させておく」


「公爵様、ルブロンを連れてくるのは良いのですが、【ディスペル】しか使えない奴ですよ」


「その【ディスペル】が必要なのじゃ!まだ分からぬか?王都の何処かに異界の魔物を封印したダンジョンの入り口が有るが、おそらくハリスと王様がその入り口を魔法で封印を更に強くかけていると思われる。そこで、ルブロンというやつに少しづつでも解除をかけさせて完全に封印を解かせ、強力な異界の魔物を王都に出現させ大混乱を起こさせる。その混乱の乗じて我らが蜂起して王を亡き者にし、この国を我らのものとするのじゃ」


「しかし公爵様、異界の魔物は噂によりますと古代人の世界を滅ぼしたほどの魔物で、我々も対応できないのではないですか?」


「いくら異界の魔物でも、数千の我が騎士団と魔法師で当たれば大したことはないであろう?」


「取り敢えず私はブルーノに立ち戻りルブロンと500の兵士を連れて王都の屋敷

にいどうします」


「皆も、それぞれ自分の領地に戻り密かに王都に魔法師、兵士を連れて集まるように!儂も今後は王都の屋敷に移動しておく、それでは皆のものくれぐれも王族派に

悟られないように行動いたせ」とアーネスト公爵が配下に告げた。


一方ハリス侯爵邸でジン達ファミリーは2日ほどハリス邸に滞在して、”魔女の道楽”のドロシーの所にイザベラ、イリア、イリーナが向かい、店の様子を見てくるようだ。


ジンはキースの街をヒューイとドールを連れて散策していた。


キースの街が久しぶりのジンは屋台を覗きながらオークの串焼きをヒューイと二人でほお張りながらニコニコしながら食べ歩きをしていた。


ジンとヒューイとドールは”魔女の道楽”に寄ってイリーナ、イザベラ、イリア叔母さんと合流した。


「そろそろ侯爵邸に戻りませんか?ヒューイ、ドールそろそろ侯爵邸に戻るぞ」

6人は侯爵邸に戻ってきた。


2日ほどゆっくり体を休めたので明日はキースのもう一つの知られていない未発見のダンジョンに潜ることにして、みんなで夕食を食べていた所に侯爵宛に伝書鳩の伝言が舞い込んだ。


ベルヘアに忍ばせていた斥候から、『先日公爵が貴族派全員を集合をかけ、何やら相談ししたのち、それぞれが自国領地に戻り、王都に再集結する模様です』


「侯爵様、何か緊急事態ですか?」とジン。


「いやまだ分からんが、貴族派の連中がベルヘアのアーネスト公爵邸に集まりその後自分の領地に戻り、魔法師と兵士を連れて王都に集まりだしているようだ」


「そうですか、アーネスト公爵が何を企んでいるのか『地獄耳の拡声器』で探って

見ましょう」とジンがハリス侯爵に言って、【次元ストレージ】から”傲慢のダンジョン”のお宝『地獄耳の拡声器』を取り出しアーネスト公爵を思い浮かべてジンは彼のしゃべりを聴き始めた。


どうやら騎士団長と王都にいく打ち合わせの話のようだ。


『王都にはすでにリーマン伯爵と例の【ディスペル】専門の魔法師ルブロンとかいう奴と兵士1000人が王都の屋敷に到着したようだ。儂らも明日早朝に立つから準備を怠りなくしろ。異界の魔物が出てきても手は出すなよ、王族派を蹴散らす道具だからな」などと聞こえてきた。


「ハリス侯爵様、どうやらアーネスト公爵は貴族派を王都に魔法師と騎士団を集め謀反を企んでいるようですね、しかもその引き金をあの異界の魔物を封じ込めている入り口の【結界】と【シールド】を魔法師が解除して魔物が王都に出て暴れる騒ぎに乗じて謀反を起こすようです」


「そうか、ジン君、儂と騎士団長、家内と載せれるだけ騎士団を載せて王都に急ぎ転移してくれぬか?」


「わかりました、イリーナさん『簡易転移盤』で他の騎士団を王都ののハリス侯爵邸迄ピストン輸送頼みます」


「わかったわ!」


ジンは『空飛ぶ車』で一瞬にして侯爵ご夫妻と騎士団、騎士団長を王都の侯爵邸に転移させ、侯爵は直ぐに王城に向かった。


ジンは再びキースのハリス侯爵邸に戻り『空飛ぶ車』にファミリーと数人の騎士たちを乗せ再び王都侯爵邸に【転移】し、フェリシアお嬢さんに言ってジン達の泊まるところを確保して貰うように頼んだ。


ジンは『空飛ぶ車』で騎士団をピストン輸送してイリーナの『簡易転移盤』も加わり、ハリス侯爵騎士団がほぼ3000人程が王都を固める格好になった。


王様もハリス侯爵から聞いて、直ちに王宮の守りを固め王族はの筆頭公爵のジョゼフ公爵も王宮の守りについた。


ジン達は侯爵邸からではダンジョン入り口が離れているため、侯爵邸ではなく”夕餉の里”に6人で泊まることにした。


「フェリシアさん、申し訳ないが侯爵邸からだとダンジョンが離れているので私達は

宿を取りますのでせっかく用意して頂いたのをキャンセル願います」


「そうですわね、ダンジョンの守りが大事です。わかりました」とフェリシアが答えた。


ジンがヒューイとツインの部屋、イリーナ、イザベラ親娘でツイン、イリア、ドールでツインで共に過ごすことにした。


みんな急遽王都にきたためお昼を抜いていたので、”夕餉の里”で野菜サンドにオークの照り焼きと野菜スープを5人前ほど頼んで皆んなで食べた。


実際には貴族派が王都に集まるのは2日後なのでそれまではリーマン伯爵の動きを注視してみることにした。


『地獄耳の拡声器』を耳につけてリーマン伯爵の声を聞くと『ルブロン、図書館の地下1階の結界とシールドを解除できるか?お前はその魔法しかできないのだからな』


『はい、他の魔法は全くですが【ディスペル】だけは唯一の取り柄ですから、図書館の古代人のシールドと結界は2日ほどあれば解除できます、あと王都の魔法士達の魔法を無効にするのもお任せください』


ちょうど彼らが話ししている内容が聞き取れたのは幸いだった。


裏の駐車場に留めてある『空飛ぶ車』からフジをだして、厩舎に繋ぎ、ドールをイリアの部屋で『地獄耳の拡声器』をつけてもらい、今日1日はリーマン伯爵とルブロンという魔法師の会話を注意して聴き、明日以降公爵が王都に到着したらアーネスト公爵を中心に会話を聞くようにドールに指示した。


遅い昼食を食べ終えて、皆がそれぞれジンの部屋に集まり、今後の動きを確認することになった。


【サーチ】が出来るのがイリーナとジンなので、普段はイリーナが宮廷をサーチし、ジンが貴族派全員をカバーリングして、貴族派の兵士が蜂起した場合は、イザベラ、イリアが王宮入り口で相手をし、ヒューイが【ディスペル】を使える魔法師のルブロンの魔法を『神竜剣』で魔力を奪い取って【ディスペル】を無効にして、ファミリー達の魔法が放てるようにする作戦で決めた。


ジンが図書館のダンジョン入り口を守り、魔物が出てこないようにして、対応することになった。


そんな作戦を大雑把に立てていたら、『遠距離通話器』がなりハリス侯爵から王宮にきてくれと連絡が入り、全員で【転移】して王宮の王様達の会議室に現れた。


王様の方は騎士団は全て配置につけて、貴族派が蜂起しても対応できる兵力を王都に集結させていると伝えられたが、ジンが「それ程王宮に守りを強固にせず、貴族派のリーマン伯爵邸近くと、アーネスト公爵邸の近くにそれぞれ騎士団を配置させてくれ」と依頼した。


「王様、彼らが蜂起したら直ぐに王宮を全て【結界】で囲い、敵が一人も入ってこれなくしますので入り口にはイザベラ、イリアの2魔法師、王宮内には回復魔術師フェリシアさん、敵のリーマン伯爵、アーネスト公爵のところにはドールとヒューイ、それとイリーナがアーネスト公爵邸の各魔法師に対応しますから。

彼らが蜂起して館から出陣する所をそれぞれ王族派の騎士団が先制攻撃で全員を捕獲する方向でいいと思います」


「一番の問題はリーマン伯爵の所にいる魔法師が【ディスペル】を発動して図書館のシールドと結界を解除して異界の魔物達が王都に溢れてしまうことです。それさえ防げれば大丈夫なので、最悪はその魔法師を作業が入る前に消し去ってしまうこともできます」


「確証が得ない状況でその者を消し去るのも問題なので動き始めたらジンくんの方で動いてくれ」と王様。


「わかりました、一応おそらく2日後だと思うのでそれまでは彼らの会話と動きをおっておきます。何かありましたら”夕餉の里”に全員待機しておりますので『遠距離通話器』で何か変動があれば連絡します」と言ってジン達は王宮を辞した。


夕方になり”夕餉の里”で夕食を食べて皆ジンの部屋に集まり別腹のケーキタイムとなった。


ジンは<タブレット>で『貴族派のリーマン伯爵とルブロン魔法師の動き、それとアーネスト公爵の動き』と打ち込みenterキーをぽちった!


<タブレット>には2画面分割でリーマン伯爵とアーネスト公爵の動きがつぶさに解るように表示され、暫くジンは両陣営の様子を眺めていた。



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