第74話 タブレットを駆使して
セモアのジバルサバル男爵からの指名依頼の”海賊討伐依頼”をこなして、ジンはのんびり自室に篭って古代人の残した資料を整理したり、古代魔法の研究をしていた。
古代人の残した資料を読み解いて行くと、未だ未だジン達が知らない、未知のダンジョンや古代人の遺跡が残って居ることがわかった。
ジンは<タブレット>の【GOD】に『レンブラント王国の未踏は及び未知のダンジョンは?』と打ち込みenterキーをポチッた。
未踏破のダンジョンがヘーベルの"流れ星のダンジョン"、タウンベルの"激流のダンジョン"、キャニングレードの"古代人の隠れ里"、王都の"異界の魔物の檻"があり、未知のダンジョンはキースの街から3きろ北に1箇所、5キロ東に1箇所、ルーバレーの南17キロに1箇所がある。と表示された。
ジンは朝食を終えた皆に「キースの街に行き、未知のダンジョン2箇所をイザベラの【察知】スキルとイリア叔母さんに渡した『土精霊の杖』の実戦経験を積んで貰う為に行こうと思うけどどうだろう」と提案した。
イリーナも賛成して『空飛ぶ車』に全員が乗り込み【転移】した。
「キャシー、お久しぶりです!きょうはキースの未だ知られていないダンジョンが有るのを【サーチ】で見つけたからそこに潜ります。3キロ北にあるそうで見つかりにくいのか隠蔽されているのか、取り敢えず行ってきます」と言って全員のカードを出した。
『空飛ぶ車』で走り、10分弱で着いたが岩場の丘しか無い。
【サーチ】すると岩場の壁が扉になっていて、右にスライドですぐ誰でもあけれるようになっていた。
今迄岩山の一部と思い、まさか扉だとは気がつかなかったようだ。
先頭にイザベラ次にドール、イリア、ヒューイ、イリーナとジンの順番で入っていく。
「イザベラ【シールド】をして【察知】スキルを最大に活用して魔物の殺気を事前に感知する様にね」とジンが丁寧に伝えた。
「ええ、わかってるわ!その為に私を先頭にしたのよね、いつもならドールちゃんが先頭で露払いをしてくれていたから」
「イザベラさんが危険なときは必ず私が対処しますから」とドール。
1階層はでだしからオークの群が15匹襲って来る。
「皆んな、オークが来るわよ」とイザベラ。
イザベラが【エアカッター】を連発して討ち取って行く。
ドールもイザベラの手伝いで『雷剣』で3、4匹を刈り取る。
しかし、数が多いのでイザベラは【多連層エアカッター】を放って一度に5、6匹を殺して行く。
やっと15匹を討ち取って、回収した。
「イザベラ【エアカッター】だけでは対処出来ない時は【ファイアボム 】を一度に10発位打って良いからね」と後ろからジンが言う。
「でもそれだと、ドールちゃんに影響が出てしまうと思って、やめたのよ!」
「仮にドールの近くで破裂しても、ドールに影響は与えないから大丈夫だよ、彼女はシールドを掛けながら戦っているから」
「わかったわ!数が多い場合は多用するわね」とイザベラ。
2階層にはアースドラゴンが2匹いる。
「前方にアースドラゴンが2匹居るわ」
1匹をドールが【ファイアボム】でイザベラも同じ【フィアボム】でアースド
ラゴンを爆裂させて葬った。
「二人とも、火炎系を使って殺すなら【ファイアアロー】の方が納品をするとき魔物の損傷が少なくていいよ」とジンが同じ打ち取るのも納品を考えながらしていることを説明した。
「単に魔物に襲われてそれを殺すなら、破壊力のすごい【ファイアスプラッシュ】やそれこそ【インフェルノ】を放てば簡単だが、納品するのに魔物が灰になってしまったら納品もできないからね」と補足して説明した。
3階層は海のステージでジンが【次元ストレージ】から『潜水艇』を浮かせ、タラップから全員が乗り込んだ。
潜水し、100メートル程潜行すると、<タブレット>を【サーチモニター】として使っている画面にクラーケンが1匹映し出された。
『潜水艇』から距離にして70メートル、ジンは『魔道砲』で【ウォーターアロー】2発を放ち、顳顬と胴体に撃ちはなって殺した。
さらに進むとシールワームの群れが120匹が泳ぎ回っている。
『魔道砲』で闇魔法の【闇檻(ダークジェイル)】で囲い、イリーナが【アイスロック】で全て凍らせ回収する。
陸地が見えて来て、『潜水艇』を【次元ストレージ】にしまって、4階層に向かった。
4階層は岩場のステージだった。
「イザベラがみんなにアウルベアが向かって来るわ!気をつけて」と叫ぶ。
アウルベアが2匹がすごい勢いでせまってくる。
通常この階層になどいる魔物ではない。
フクロウににた大きな嘴を持った熊のようなモンスターで、非常に攻撃的で鋭い
爪で襲ってくる。
イリアが【土精霊の杖】で土魔法の威力を10倍にし、なおかつ『魔力増幅リング』でそのまた3倍にあげて、【アースランス】を4本同時に作り出して放った。相手の勢いも利用して2匹の首と胴を狙い、見事2匹とも葬った。
イリア叔母さんの土魔法は彼女の基本魔力100×30になったので他の魔法ももちろん使えるがこの【土系魔法】を極めた方がより効率がいい様だ。
それをもちろんイリア叔母さんは承知で、今後さらに色々な土系の魔法を工夫して自分の物にして行くつもりでいた。
5階層はボス部屋で皆が入り終わると扉は自動で締まり固く閉ざされてしまう。
ボスを倒さない限りここの部屋からは出ることはできない。
ボス部屋には、リッチが剣と盾を持って王冠を被って座っていた。
ジンファミリーが入ってくると、薄笑いを浮かべてゆっくり立ち上がった。
直ぐにジンとイリーナが【鑑定】すると不死の王で剣や魔法では死なない。
【聖魔法】の上位の魔法で消し去るかスキルで倒すことを考えて攻めること。
と表示された。
イザベラが『浄化の杖』で【聖魔法】を放つも盾で簡単に防がれてしまった。
ジンがリッチを【結界】で囲みそれを【亜空間魔法(サブスペースマジック)】で次元の違う彼方に一瞬にして消し去った。
宝箱は開けるとボス部屋の天井が崩れ落ちるような罠になっているので、【ディス
ペル】で解除して開けると、『インビジブルリング(透明化)』が入っている。
あとで【複製(コピー)】でファミリーに作ってあげようとジンは考えた。
イザベラの【察知】スキルとイリア叔母さんの『土精霊の杖』の実戦経験も確認できと彼女たちをできるだけ攻撃に参加させたために通常より時間もかかり、その上普通のダンジョンより少しランクが高いので5階層で昼ごはんの休憩にした。
『空飛ぶ車』をボス部屋で出して、車の中のキッチンテーブルの前に座って皆でナポリタンの大盛りと野菜スープを食べながらイリーナがイザベラに感想を聞いた。
イザベラは「【察知】の感覚がなんとなくから、更に具体的に脳の中に情報が直接入って来る様になり、今までただドールちゃんの後ろにくっついて歩いていた時とは全く違った景色を見て居る感覚よ」と言った。
海賊団との戦いもあったのでそれ程緊張はしていないつもりが、人間より魔物の方が強力で俊敏なためにやはり後ろの連中に状況を伝えることの大切さが身にしみてわかったわ」と神妙に答えた。
イリアは「自分が一番得意な【アース系魔法】のバリエーションをもう少し増やしたいわ」とジンに伝えた。
「でもお二人とも総評としては上々の出来でしたよ」ジンが言った。
イザベラが「6階層からは更に強い魔物が出てくるから今度は私とイリア叔母さま、ヒューイちゃんが前衛で戦うのをよく見て魔法や剣の戦い方を学習したいわ」と伝えた。
そんな会話を聴きながらジンは何とかチームワークとしては大丈夫だなと思って安心して、6階層に向かおうとボス部屋を出るのだった。
6階層は密林のステージが現れた。
全員が【シールド】を施しているので暑さや湿度で悩まされることはない。
大きな幹にグレートポイズンスネークが緑色の舌を出して、でかい体を絡ませている。
ときどき口から緑色の液を吐き出し、それが当たった樹木の葉や木が一気に腐れて木々は折れている。
イリアが【アースランス】でグレートポイズンスネークの首と胴を攻撃してイザベラが【エアカッター】で切り落とすと、切り口が二つに別れて新たな頭部が2個現れてしまった。
まるでヒュドラの再生のように切ったところが全て再生されて頭部が増えてくる魔物のようだ。
「イザベラ今一度【ウィンドカッター】で2個の頭部を切り落としてくれない?ドールは同時に切り口を【ファイアボール】で焼いてもらえる?」とイリアから指示が出る。
イザベラが言われた通り【ウィンドカッター】で2個の頭部を切り落とし、切り口をドールが焼いて再生を防ぐと、イザベラが胴体を【エアカッター】で4つ切りに切断した。
更に進むと、上空から硬い木のみを勢いよく投げつけてくるウォターモンキーの群れ20匹ほどがいる。
イリーナが『滅亡の弓』に魔力を通し矢を放った。
矢は10本に別れて正確にウォーターモンキーの頭を破壊してぼたぼたと死体が上から落ちてくる。
更にイリアが『魔法のダガー』を1匹のウォーターモンキーに投擲するとダガーはイリアの指示を受けて10匹のウォーターモンキーの首を切り落として、イリアの手元に戻ってきた。
更に進むと、大きな蓮の葉のような上にスフィア・フロッグがケロゲロ鳴いて毒液を飛ばして威嚇している。
イリアが【アースアロー】を放って串刺しにしてしとめた。
7階層にやってきた。
廃屋が3棟ほど建っているが殆ど2階も残っていない状態でかろうじて1棟だけ2階まで残っている。
手前の廃屋は、蔦がビッシリ覆い形そのものがどんな建物なのかも見当がつかないほど蔦が覆っていた。
イザベラが【ファイアボム】を建物に向かって放つと大量のバンパイアバットが廃屋から飛び出してきた。
イリアとイリーナが自身に【シールド】を掛けながらイリアが『魔法のダガー』、イリーナが『滅亡の弓』で悉く落としていくがラチがあかない。
イザベラが【ファイアスプラッシュ】を浴びせても未だ数百匹が廃屋の周りを飛び交っている。
ヒューイが『神龍剣』で30匹ほど切り落とし、ドールがレーザービームで40匹程を撃ち落とし、イリーナが【ファイアボム】で残りを撃ち落とした。
次の廃屋に入るとソルジャーアントが1万匹ほど湧いて出てくる。
ジンが結界で1万匹を全て絡め取って、まとめて【重力魔法(グラビティ)】で押し潰して一気に殺した。
中にゆっくりドールが入っていくと、ミイラが3体剣を持って襲ってくる。
すぐに、イザベラが『浄化の杖』で霧散させる。
更に悪霊が充満しているこの1階の廃屋を『浄化の杖』で全て浄化して霧散させ、2階に上がると、バンパイアキングが構えていた。
ドールが『雷剣』で斬りかかるもスルリと躱され、逆に鋭い爪でドールの肩を抉ってきた。
初めてドールの合金が削られた。
もちろんすぐに元に修復されるが、ドールが本体を少しでも傷つけられたのは初めてだ。
ヒューイが『神龍剣』で一瞬にして裏を取り右袈裟懸けに切り落とすが、霞を切ったように、手応えなくバンパイアキングは目の前でヒューイに爪を立てるがヒューイが【ブリザード】でバンパイアキングを氷漬けにして、回し蹴りで襲ってきた爪の手を蹴飛ばして砕いた。
その隙をドールが『雷剣』でもって、上段からアイスづけのバンパイアキングを頭から砕いた。
「ドール、大丈夫?かなり強敵だったわね!」とヒューイ。
「ありがとうございます、再生の合金なので問題ありませんが初めてでした」と本体の体に傷をつけられたのはドールとしては初体験だった!
もう1棟の廃屋にはスケルトンが2体いるがイザベラとイリアが簡単に首を落として対処できた。
8階層に行くと、砂漠のステージになっていて皆が『空飛ぶ車』に乗り込み、砂の2メートルほど上を走行し、<タブレット>の【サーチモニター】を見ながら進んで行く。
しばらくすると<タブレット>から警戒音がなりモニターにサンドスコーピオンが一匹こちらを睨んでいる。
『魔道砲』で【アースニードル】を撃ち放つも、硬い外皮に針では通らない。
更に【アースアロー】で頭と胴体に放って討ち取った。
未だ<タブレット>の警戒音が鳴り続けている。
サーチされたのはサンドワーム二匹だ。
上位種なのかかなり大きく全長が10メートル弱もある。
『魔道砲』で【サンドカッター】を6発放ち切断を試みる。
砂がカッターの威力を半減して傷は付けたが切断までには至らない。
ジンはドールにレーザー砲を撃つように指示して『魔道砲』からレーザー砲を放った。
二匹ともぐしゃぐしゃに内臓を撒き散らして死んだ。
やっと9階層の火山ステージにたどり着いた。
すぐそばにキマイラ二匹がいる。
イザベラが【エアカッター】を放つも二匹とも跳ね返してきた。
ドールとヒューイがそれぞれ剣で首を落としに行く。
かなりの硬さの首だがドールの『雷剣』とヒューイの『神龍剣』」は豆腐を切る感じで簡単に獅子の首を切り落とした。
更に奥には赤龍が火炎咆哮を吐いてくる。
イリーナが赤龍の足を【アイスロック】で固定するも、周りの高音が容易にアイスを溶かして、赤龍が簡単にロックを破壊してしまう。
ジンが【呪縛の縄】で前足、後ろ足を呪縛して動かなくなったところを、イリアの【ロックアロー】が赤龍の首と胴に2発突き抜けて殺した。
遂にラスボスの部屋のようだ。
厚い扉を開けると、不死鳥のフェニックスが物凄い高音で部屋にいる。
全員が【シールド】で囲っていなければ一瞬で灰になって骨も残らないで死んでしまっただろう。
ジンは此処で久しぶりに【イレージング】を使った。
フェニックスは次第に消えながら尚も炎を滾らせて襲ってくるが最後は消えてなくなった。
部屋の温度も通常の35度に戻るがそれでも人間には暑い!
宝箱があり、罠もないので開けると『防御の服』と出ていて、『全ての物理的攻撃、魔法攻撃を防ぐ服』とあり、今回出番の少なかったイリア叔母さんに着て貰うことにして、10階層から転移盤に乗って、出口にでた。
キースに皆んなで戻って、素材置き場に全ての魔物を納品して、納品書の上がりを食堂で待つことにした。
イリア叔母さんが「今日は私全く何もせず最後の貴重な防御服だけ頂いて心苦しいわ!」と言っていたが、「今日の目的はイザベラとイリア叔母さんの魔法訓練の成果を見定めるのが目的だったからそれで良いのですよ」とジンに慰められた。
キャシーが「未知のダンジョンは結構難易度が高かったのですね!名前を”岩壁のダンジョン”と名付けるそうです。清算金はダンジョンコアと地図、それと討伐した魔物と未知のダンジョン発見の功績も入れて、白金55枚、金貨68枚、銀貨95枚
銅貨77枚になります」と皆の冒険者カードをくれて、ジンのカードに入金した。
今日は久しぶりに、ハリス侯爵邸に連絡したら、ハリス侯爵が是非我が家に泊まってくれと言われ『空飛ぶ車』でゆっくり移動していた。
その頃、王都からかなり離れたベルヘアの貴族派筆頭公爵アーネスト以下リーマン伯爵や数人の貴族たちが集まり王都の地下に広がる”異界の魔物の檻”について話し合いをしていた。
「リーマン、お主の所には確か魔法師で『ディスペル』が得意な魔法師がいたよな?」
「はい、ルブロンという魔法師ですが『解除』魔法しか使えない奴ですが・・・」とリーマン伯爵がアーネスト公爵に答えていた。
そんな内緒の会議がベルヘアで開催されていることをジンファミリーは知らずハリス侯爵様とフェリシアお嬢様達と侯爵様の屋敷で美味しい夕食を奥様を交えて楽しんでいる最中だった。
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