第72話 久しぶりのセモアの自宅

ジンは月一でデイマール王国のオレリア王女と王都の冒険者ギルドマスターのSランクのアリシアに魔法技術と剣技を教える為王都シューベルに向かい2日ほど彼女らに訓練をして、久しぶりに6人は『空飛ぶ車』に『フジ』を乗せ、シューベルから一気に【転移】で自宅のあるセモアに転移した。


まずは全員リビングに集まって、紅茶とケーキで小腹を満たすことにした。


イリーナ、イザベラ達がケーキを食べている間に、ジンはダンジョンで得た『天使の靴』と『転移石』の【複製(コピー)】をして、『天使の靴』を3足をイリーナ、イリア、イザベラに渡し、『転移石』をヒューイ、ドール、イリーナ、イリア、イザベラ5人に作って渡した。


またイリア叔母さんには魔道具屋で購入した『土精霊の杖』を渡して、これは土魔法の属性を持っている魔法師の力を10倍に引き上げる杖なので、イリア叔母さんが持っている『魔力増幅器』と併用すると、3000と云う途方も無い魔力量で土魔法が放てるのだ。


お昼前にイリア叔母さんと外で試しに使ってどの程度か調べようと云うことになった。


あとは付与魔法で【察知】を3人に施したので昼食後は地下の訓練所3人に特訓で【察知】を完全に自分のものにしてもらおうと考えている。


ケーキを食べ終わったので、イリア叔母さんとジンが外に出て庭の端にダマスカス鋼の人形を置いてそれに向かってイリア叔母さんに【アースランス】を放ってもらう。

『魔力増幅器』でまずは3倍に、そして『土の精霊杖』で10倍にした【アースランス】はすごい勢いで硬いダマスカス鋼を貫いた。


撃ち放った本人自体が驚くほどの威力で、やはりジンの【鑑定】は正しかった!


ジンは『魔力増幅器』を携帯しやすい様に【モデリング】で加工をして指輪にした。


庭でイリアの威力を見ていたイリーナ達にも『魔力増幅器』を『魔力増幅リング』にして渡した。


次に『天使の靴』を常に履いてもらう様にして、飛ぶ実験をする。

この靴はサイズが自然に履く人に合わせてサイズフリーの魔法がかけられている。


イリーナが履いて、庭からスーッと浮き上がり500メートルほど上空から横移動して空中で止まったり、回転をしたりスピードをあげたり、と色々な動きをして降りて来た。


同様に、イザベラとイリアも庭から上昇して横移動したり、空中で止まったり、スピードを変えたりして降りて来た。

3人とも『天使の靴』の動きを自分のものにできたので、昼を食べたら【察知】のスキルの訓練をする予定だ。


皆でリビングに戻りドールが昼食を準備しだした。


今日は天ぷらうどんにする様だ。

天ぷらはかき揚げ、ちくわ、イカを用意してヒューイには肉うどんを特別に用意した様だ。


ジンは<タブレット>の【GOD】に『察知スキルを上達させる効果的な方法は?』と打ち込んでenterキーをクリックした。


『効果的方法は討伐系クエストを受けるか、ダンジョンに潜って魔物をいち早く【察知】スキルで見つけるのが一番効果的です』


”うーん、やはり実戦で魔物の動向を【察知】するのが一番てっとり早いか”


「イリーナさん、セモアの様なのどこな街では察知スキルをあげるのは少々難しいのでブルーノの街まで行って、敢えてそこのスラム街に入りましょう、幸いイリーナさんとイリアさんはそこそこ既にスキルを付与する前から察知を感覚的に身につけているので、更にその感覚が鋭くなっていると思うので、まず心配なイザベラを中心に全員がシールドをしてスラム街に飛び込んで見ましょう!」


「そうね、私とイリアはどこでもその感覚を先鋭化することができると思うからイザベラを鍛えながら、わ私とイリアも【察知】スキルを発動して感覚を鋭くしていくわ」


「全員『転移石』を持っているのでブルーノのギルド前に集合と云うことで【転移】願います」


まず最初にジンがギルド前に現れ、続いてヒューイ、次にイリーナ、イザベラ、イリア、ドールが転移した。


【Map】でスラム街を表示させ、ギルドから全員で移動し始める。


メイン通りの真ん中辺を右に折れ突き当たりまで行って左の路地を右にと・・・スラム街に6人で入った。


イザベラが先頭で勿論シールドをして後ろにドールが控えて、イリーナ、ヒューイそしてイリアにジンが続く。


イザベラの【察知】スキルに明確な憎悪と悪意が頭の中になだれ込んでくる。

路地の角に3人の冒険者崩れのホームレスがダガーを構えて待ち伏せしているのをイザベラは感じ取った。


敢えてそこを避けて手前の角を左に曲がり、更に前進する。


子供達が屯(たむろ)して遊んでいる様だが、全員が6人を襲って何やら持ち物を盗もうとしているのがイザベラの頭の中に殺意と憎悪として入り込んだ。


「イザベラも感じ取った様だね、あいつら子供だからといって我々が油断していると手前の石ころの所に1メートル程の落とし穴が有り、落ちると一斉に子供らが竹槍を投げてくる筈だよ、だから飛び越えて子供達の頭の上を超えて先に行きましょう」


ジンは3人に『天使の靴』の検証の意味も込めて子供達を超えて先に行くことを洗濯した。


イザベラは落とし穴がある3メートルほど手前から子供らが屯している所を飛び越えて10メートル先に着地した。

イリーナ、イリアも同様に飛び越えて着地した。


ヒューイ達は【転移】でイザベラのいる所に一瞬で移った。


驚いているのは子供達8人程だ。


せっかく落とし穴に落として、竹槍で殺してお金を盗もうとしたのに、落とし穴があるのを知っているかの様に飛び跳ねてしかもはるか先の10メートルのところに飛んでしまったのだから!


イリアが振り返り【土魔法】で落とし穴を完全に埋めてしまい、最後は子供達の足を泥で膝まで両足を埋めてしまった。


勿論子供の力でも容易に土から両足を抜き出せる程度にしてあげていたが・・・。


「今の剣は3人とも【察知】できてた様ですね、それでは更に進みますよ」


今度は剣を抜いて待ち伏せしている野盗が10人程、イザベラは【察知】した。


『天使の靴』で上空から【ファイアボール】を数発落として脅かしてやる。


空から火のボールが落ちてきて、慌てて剣を抜いてジン達に襲いかかってきた。

ジンが【イレージング】で全員を一瞬で消し去った。

兵士たちに出してもスラムの連中を兵士たちは連行しようとはしない。

なぜなら報復が恐ろしいからで、今ではスラム街と街は完全にすみ分けができているのだ。


「それでは今度はセモアの自宅まで全員飛んで帰りましょう」とジンが言って、ジンは【飛翔魔法】でセモアの方に飛んで行く。


ヒューイも神龍になって飛んであっという間に自宅に着いた。

イリーナたちも慣れた様子で直ぐにセモアの自宅に降りてきた。


ほぼスキルの検証ができたので夕方までのんびりとリビングで過ごす6人だった。



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