第71話 デイマール王国王都にて
ジン達一行はシルコレア帝国最難関のダンジョンを踏破してジンがSSSランクに、ヒューイ、ドール、イリーナ達3魔女もSSランクにランクアップして、デイマール王国の王都シューベルに向かって馬車を走らせていた。
ディマール王国のキロッケンからルルカの街に向かってフジに馬車を引かせて走っていく。
途中グリーンウルフの群れ25、6匹が後ろから追いかけてくる。
ドールが馬車を止めて、フジを馬車から自由にしてあげてドールは『雷剣』で片っ端から切り捨てていく。
フジも負けずと蹴り殺して、ドールとフジで26匹のグリーンウルフを討伐して回収した。
もう直ぐでルルカの街に着くという辺りで今度はオークの群れ13頭に襲われる。
ここはヒューイが馬車から降りて『神龍剣』でドールと二人でドールが5匹のオークを倒し、ヒューイが8匹のオークの首を落とした。
ルルかの街に4時ごろ着いて、ギルドにグリーンウルフ26匹とオーク13匹を納品して其々銀貨@15枚なので金貨5枚と銀貨85枚を受け取り宿に向かった。
宿ではイリーナが部屋割りを仕切って「ジンとヒューイちゃんがツインの部屋私とイザベラがツインでイリアとドールちゃんがツインの部屋ね」
宿の人がツインそれぞれ三部屋の鍵をくれた。
ジンが『遠距離通話器』で王女オレリアにもう直ぐ王都シューベルに行くのでギルマスのアリシアにもその旨伝えてくれないかと言付けを頼んだ。
ジン達一行ルルカで1泊してソルン迄何事もなく馬車を走らせてソルンでもう1泊して王都シューベルに午後一番で着いた。
以前宿泊した”流れ星”という宿に”王家のダガー”を提示してツインを3部屋3泊抑えて、冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドではいつもと雰囲気が違うと思っていたら、2階から騎士に守られて王女オレリアとギルドマスターのアリシアが降りてきた。
いつもと違うのは王女が冒険者ギルドに来ていたからかと察したジン達だった。
「ジン殿、お久しぶりです。待ちわびておりました」とアリシアから声を掛けられた。
「ジン君約束より一週間も遅いわよ、せっかく教わった魔法も忘れてしまうじゃない」とオレリア王女にもお小言を頂戴した。
「ジン、私達は掲示板のクエストを見て適当に受けているから、貴方とヒューイちゃんは訓練場でアリシアさんと王女様に指導をしてあげて」とイリーナがドールを連れてクエストの有る掲示板に向かった。
「それじゃ、オレリア、ギルドの訓練場を借りてヒューイはアリシアと模擬戦をして俺達は魔法の訓練を始めようか」とジンが俺リアに言って、訓練所に向かった。
警護の騎士達も訓練所の客席で見物する様だ。
アリシアとヒューイは最初は模擬刀で立ち会っている様だ。
アリシアが【縮地】で一瞬にして間合いを詰めて斬りかかるが軽くヒューイがそれを躱し、模擬刀を弾いてアリシアの小手を狙って撃ってくる。
アリシアもさすがSクラスだ!剣を右手から持ち替えて左手にして小手を防ぐが、ヒューイがその持ち替えた左手を狙い撃ちして更に模擬刀で打ち返してアリシアの左手から模擬刀を落とした。
「さすがヒューイさんね!持つ手を切り替えることさえも見越して左手の小手を狙ってくるとは・・・」
「まだまだよ、今度は私から攻めるわね」とヒューイ。
ヒューイは一瞬でアリシアの裏を撮る瞬間横胴を抜いてアリシアが膝を折った。
「ヒューさんの動きが見えないわ」
「私は未だ【身体強化】を掛けずに動いているのだからアリシアさんはこれに付いてこれないとダメよ」
「ええ?未だ【ブースト】も掛けてないの?」とアリシア。
それから3時間みっちりアリシアはヒューイに絞られて、競技場の地面に大の字になって倒れていた。
一方ジンとオレリア王女は1ヶ月前のおさらいから初めて次第に魔力を増やしていき火の魔法、水の魔法、土の魔法、風の魔法と4属性の全てを撃ち放つ練習をみっちりとしていた。
流石にオレリアも競技場に膝をついてハアハア肩で呼吸をしていた。
「今日はこれぐらいにして、明日は魔法の模擬戦をオレとしましょう!」
「瞬時でどの魔法特性を放つかの練習と威力を引き上げるコツみたいなことを少しお教えしますから」とジンが言って、4人で冒険者ギルドの食堂に行った。
お茶を飲みながらジンはこれまでの冒険の話をしていたらイリーナたちも戻って来て話に加わってきた。
「イリーナさん、何か面白いクエストでも有りましたか?」とジンが聞くと
「それ程目新しいクエストは無かったけど、フォレストウルフの討伐依頼で農家に行ったらマナバイソンを家畜として放牧し育てていたわ」
「あとは魔物の討伐ではホーンラビット10匹とワイバーン1匹を受けてそこそこ小金を受け取って来たわよ」とイリーナが答えた。
久しぶりにあったオレリア王女もご機嫌で夕方5時ごろまでギルドにいて、騎士団と共に王宮に帰って行った。
ジン達もアリシアに「又明日訓練場で!」と言って、宿に戻った。
ジン達はそれぞれお風呂に入りさっぱりして着替えてから階下の食堂で夕食をとる。
「ジン、オレリア王女はどう?」とイザベラが聞いた。
「まぁ、魔法の覚えは良いけど未だコンビネーションは実戦経験がないからね」
「明日模擬戦の相手をしてやれば少しは良くなると思うよ」
「ヒューイちゃんの方はどうだった?」とイザベラ。
「うん、アリシアさんは【ブースト】の速度をもう少し上げないと動きが未だ遅くて直ぐ躱されてしまうわ」
「剣術よりも走り込みとか、して俊敏性を高めれば良いと思うけど・・・」とヒューイ。
夕食を終えて、6人で王都の街を歩いてみる。
シューベルの街はレンブラント王国の王都ダルゼ程大きくはないがその分落ち着いて趣がある。
メイン通りを宿屋と反対方向に歩いていると、キャーッと悲鳴が聞こえ、エルフの女性がジン達の方に向かって走って来た。
「すみません、男達に絡まれて逃げて来たんです、助けてください!」と言ってイリーナの後ろに身を潜めた。
彼女が走って来た方向を見ると男性が6人ほど走ってくるのが見える。
ジンは一応彼女に【シールド】を掛けて上げて、更に【隠蔽(ハイド)】を施し見えなくしてやり過ごそうとした。
「おい、貴様らこちらにエルフの女性が逃げて来ただろう?どこ行ったか知らねぇか?」
ジンは彼らの素性を咄嗟に【鑑定】すると奴隷売買の用心棒達と出ていた。
「ああ、美人のエルフさんはあちらの角を右に曲がったぞ」とジンがデタラメを教えた。
6人の男性は言われた方向に走り去って消えた。
「もう、暫くは大丈夫ですよ」と【隠蔽】を解除してイリーナが事情を聞きたく、側のお茶屋に入った。
ジンが皆んなに、「彼らは全員奴隷商人の用心棒の連中だよ」と教えた。
「貴女はその奴隷商人の所から逃げて来たの?」とイリーナが聞いた。
「助けていただいてありがとうございます。私の名はヘレナと申します」
「私はイリーナ、こちらが妹のイリアで娘のイザベラ、そしてヒューイちゃんとドールちゃんに私の彼氏のジンよ」
「なななんという紹介の仕方をするの、お母さん」とイザベラ。
「ヘレナさん、今の母の紹介は冗談でジンは単なる仲間のジンくんですから」
「ところでヘレナさんは捕まって奴隷にされるところを逃げて来た?」とジンが聞く。
「実は私とあと二人のエルフが彼らに道の途中で襲われて、私だけ逃げれたのですが未だ友人二人が彼らのアジトに捕まっているのです」
「それは大変じゃない!あいつらが戻る前に助けに行きましょう」とイリーナ。
「でも、その場所には他に魔法師と剣がとても強い男が居残ってます」
「大丈夫よ、こちらには魔法師3人と世界一の剣士が3人いるからね」とイザベラ。
早速ヘレナが案内して、彼女の仲間が捕まっている奴隷商の用心棒のアジトに向かった。
ジンが【鑑定】すると魔法師が火系の魔法を得意として、スキルとして幻聴を聞かせるスキルがあることがわかった。更に剣士の方は幻惑スキルでもう3体の自分を的に見せることができると鑑定された。
「とりあえず乗り込むぞ、ヘレナさんは【シールド】の中で見ていてください、イザベラ少し見ていて上げて」と言って、ジンはドアを蹴破って魔法師はイリーナさんに、剣士はドールに任せて、ヒューイが二人の魔力とスキルを『神龍剣』で奪い取り、ほとんど相手に何もさせずにジンが【呪術の縄】で束縛して他3名も意識を奪って【ダークジェル】に閉じ込めた。
ヘレナさんの友達二人も無事解放して、他に3人の女性が捕まっていたが全員解放してあげた。
あとは先ほどヘレナを追いかけて来た6人の用心棒が帰るのを待って全員捕まえ奴隷商もとっ捕まえることにした。
6人がわいわい言いながら戻って来て、ヘレナが他の女性達と一緒にいるのを見た男達は「おお、良い女が5人も増えてるぜ」と喜んでいるが、イリーナの【アイスロック】で身動きできずにドールに意識を奪われ、全員が【ダークジェル(闇檻)】の檻に入れられた。
ジンがチーフらしき男のこめかみに手を添えて、奴隷商の場所を突き止めて向かうことにした。
【サーチ】をして直ぐ場所をあぶりだしたジンは更に【鑑定】をして、奴隷商が無許可の悪徳奴隷商だと分かり、全員を捕まえることにした。
「ジン、ここが奴隷商人の本拠地ね?」とイリーナ。
「ええ、無許可の上に違法な人攫いを繰り返している連中なので容赦無く捕まえて構わないですよ」
「わかったわ!中に奴隷として捕まっている人がいるかしら?」とイリア叔母さんが聞いてくる。
「はい、地下牢に3人の女性が奴隷リングをかけられています」先ずは俺が乗り込んで全員無効化してヒューイとドールに任せて地下の牢屋に捕まっている人たちを解放して上げて来ます」と言って、ジンは【転移】で地下牢に転移して看守を正拳で意識を奪い【呪術の縄】で束縛して、3人の女性達を牢屋から出して上げ、首の奴隷リングを【イレージング】で消し去り、手に施されていた奴隷紋も【ハイヒール】で解除して上げて上に上がった。
1階では既にドールとヒューイが奴隷商人3人と用心棒3人を束縛していたので
全員を【ダークジェイル(闇檻)】に閉じ込めて全員を冒険者ギルドに連れて行き
未だアリシアがいたので事情を話して闇奴隷商と用心棒を全員引き渡した。
ギルドの受付で調べると全員が指名手配犯になっており、一人金貨1枚と奴隷商人の二人には金貨5枚の懸賞が付いていて、全部で金貨23枚も受け取り、全員が兵士に引き渡されて、死ぬまで強制労働奴隷として連れて行かれた。
そしてエルフ3人は実はアリシアを訪ねて此の王都まで旅して来たようで再開を4人で喜んでいた。
3人はここの受付を手伝うためにアリシアが呼び寄せたそうで、本当に偶然だがジン達が助けて良かったと、ギルドの食堂で遅いがみんなでお茶を飲んだ。
ここのギルドの受付嬢が2人が結婚してやめることになり、3人程補充を考えて
いたところ昔の同郷の3人が是非働きたいということでくることになったそうだ。
「でも、ヘレナが偶然でもジンくん達に助けてもらったおかげで芋づる式に悪者を全員捕まえることができて良かったです」とアリシアが本当に喜んでくれていた。
ジン達は流石に遅くなったので宿に帰ってまた明日来ると約束して宿に戻った。
アリシアも3人のエルフの仲間を連れて家に帰るようだ。
翌日朝食を済ませてゆっくり10時ごろにギルドに行くと、受付には見習いとして3人のエルフの女性が動き回っていた。
3人の女性が増えたので受付も華やかな雰囲気で賑わっている。
受付にいうとアリシアとオレリア王女がおりて来て、ジンとヒューイはギルドの訓練場にむかい、イリーナ達はクエストを見に掲示板に向かった。
きょうは、冒険者のランクアップ試験もあって、ギルドの試験官と冒険者Cランクの3名が受けるようで、アリシアとヒューイが隅の方で模擬戦を始めた。
ジンとオレリアも逆の片隅の方で魔法の模擬戦を始める。
試験を受ける冒険者の3人がヒューイとアリシアの模擬戦に夢中になっていて試験官に怒られていた。
「オレリア、オレに向かって君の得意な魔法を畳み掛けて攻めて来なさい」
「大丈夫なの?ジンに本気で放つわよ」
「オレは『煌剣』で全て防いで見せるから大丈夫だ」
「それじゃ、行くわよ」とオレリア王女は最初に得意な【ファイアアロー】を放って来る。
それをジンは事も無げに『煌剣』で切ると霧散して魔法が消えた。
続けて【ファイアボム】を4個作り出して同時にジンに向けて放った!
その4個の【ファイアボム】も『煌剣』の前に跡形もなく消し飛ばされてしまった。
「オレリア、魔法がいくら巨大でも単独魔法では相手は対処が楽だよ、【ファイアアロー】を放ったら直ぐに【ウィンドカッター】を放つとかあるいは【ファイアスプラッシュ】と【ウィンドランス(風の槍)】の合成を作り出して放ったりしないと単独は直ぐ対処されてしまうよ」
「はい、分かりました、合成を少し考えて放つようにします」
オレリアは言われて直ぐに【ファイアウィンドウ】を放った!
「そうそう、今見たく風系と火系を組み合わせれば脅威も倍に上がるからね、いいアイデアだよ、今のは」と言って『煌剣』で薙いだ。
一方ヒューイとアリシアの模擬戦はヒューイの動きをなんとか目視しようと必死に追うが光に近い速度には目が付いていけず、胴、面、小手とことごとく叩かれて競技場の地面に大の字になって倒されていた。
冒険者ランクアップのCクラスの連中の試験も試験官に簡単にのされて全員が地面に大の字で横たわっていた。
ヒューイ達とジン達は休憩の為ギルドの食堂に行って、果実ジュースを4人で頼んだ。
ランクアップの3人のCクラスの連中はどうやら全員保留でCランクのままのようだ。
「オレリア、最後にはなった魔法はすごく良かったぞ!あのような魔法を常日頃考えながら毎日訓練してごらん」
「今度ジン君が来るときまでに絶対3属性の魔法を同時に放ってジン君をギャフンと言わせるわ」とオレリアが元気に言って来た。
一方アリシアはやればやるほどヒューイとの力量差を思い知らされてがっかりしていた。
「アリシア、ヒューイとの差はスピードなんだから、朝練でスクワットを繰り返し行い基礎脚力をつけておきなよ、そうしないと【身体強化】だけではヒューイとの速度は埋められないよ」
「そうですわね、もう少し基礎的な脚力をつけて同じ【縮地】でもヒューイさんの1/3程しか無いのにはがっかりしてしまってます」と泣き顔だった。
そろそろお昼かなと思っていたら、クエストを終えてイリーナたちが戻って来て清算金金貨5枚と銀貨45枚銅貨30枚を受け取り4人が座っているところにやって来た。
「ジン達の訓練も一段落したの?」とイザベラ。
「ああ、来月は二人を連れてどこかのダンジョンに潜って実戦訓練をするつもりでよ」
「それじゃ、私たちは宿に泊まって明日は久しぶりにセモアの自宅にもどりましょうか?」とジンにセリーナが言う。
「そうですね、お昼をみんなで食べてから我々は宿に戻って明日朝レンブラントのセモアに戻るよ、来月はオレリアにまた来るとき『遠距離通話器』で連絡入れるから」と言って、ギルドの近くの定食屋に行って皆で打ち上げの昼食を食べた
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