第68話 クラフトの街での1泊 

ジン達一行はシルコレア帝国のダンジョンを踏破すべく、マルゲートを皮切りに、セビーラのダンジョンも踏破し今度はクラフトという街の街中にあるダンジョンに挑もうとクラフトの街を目指していた。


ジン達はドールに馬車を任せて、セビーラから未だ昼食を食べていなかったので、皆でカツカレーを食べることにした。


皆も既にカツカレーに慣れて、しかも全員が好きなようだ!


初めはイザベラ達は目をつぶってスプーンを口に入れていたが、今やおかわりをくださいというほどになっていた。


ジンは昼食を食べながら<タブレット>の【GOD】をクリックして『クラフトの街のダンジョンについて』と打ち込み、enterキーをポチった。


『クラフトの街の中にある”迷宮の都市ダンジョン”は未だ6階層迄しか踏破されておらず、シルコレア帝国内最大のダンジョンで最下層は20階層を超えている。帝都のダンジョンの中で最難関のダンジョンと思われる』と表示された。


「今度行くところの”迷宮の都市ダンジョン”は帝国最大のダンジョンで20階層以上あるようです。ついたら今日は潜らず街で宿を取って明日の早朝潜りますか?」


「そうしましょう!色々な街の違った宿を体験できるのもいいわね」とイザベラ。


クラフトに午後3時ごろに着いて、宿屋を<タブレット>に表示させると緑の点滅が一番大きい点滅の”新緑の里”と云う宿がオススメらしい。


そこに馬車を乗り付け、ツイン3部屋を取った。


馬車は宿の裏の厩舎に止めてフジはそこで夜を明かす。


ヒューイとジン、イリーナとイザベラ親娘が、イリアとドールがツインに入った。

ドールは基本、寝ることはないのだが、イリア叔母さんの話し相手と3部屋の警戒を任せられるので最近は一緒にイリア叔母さんと同室にしていた。


それぞれが部屋に上がって、休んだら5時半に食堂に集合するということで別れた。


ジンとヒューイはシャワーを浴びて5時過ぎまで昼寝をした。


夕方食堂に皆が集まり、定食を5人で食べていると、ジンひとりが男性で街の中にダンジョンが有るためか、周りの宿泊の客も男性の冒険者がほとんどだ。

勿論ちらほらと女性冒険者の人も食事をしているが・・・。


しかも、5人の美女に男一人で目立ち過ぎだ!(ドールも美人のアンドロイドだ)


案の定、ジンが思っていた通りのラノベ展開で髭面の強面の男性二人が6人のテーブルに近づいて来た。


既にエールで酔っているのか、おぼつかない足取りだ。


「にいちゃん、ひとりで女を独占はいけねえよ!みんなに平等に分けてくれなきゃな」


「悪いが、食事中だから後にしてくれ」とジンがぶっきらぼうにいうが、二人は後に引かない。


仕方なく【殺気】を放つと、二人は失神して泡を吹いて倒れた。


周りの冒険者がびっくりするが、宿のご主人に言って失神した男をどけてもらった。


食事を終えて、2階に上がろうとしたら気が付いたのか、失神していた男二人がわめきながら詰め寄ってくるので、「おっさん、汚したズボンを換えてから出直しなよ」とわざと素っ気なくにいうと、殴りかかって来るので腕をへし折り、階段から落とした。


余りうるさいので冒険者カードを見せて、「これ以上絡むなら心臓を止めるぞ!」と凄んで見せた。


流石の男達二人はSSカードを見てしまうと何も言えなくなって宿をでて行った。


未だ早いので皆で街を歩いてみようと、ドールも入れて6人で街を見て歩く。


ついでに、街にあるといわれているダンジョンの入り口も見てみる。


兵士が二人で24時間交代制で立哨しているようだ。


入り口はギルドからも近く、レンガの建物の中にあるらしい。


この国の最難関のダンジョンらしいということで期待して、明日は頑張ろうと皆に伝えて、宿に戻って来た。


ジンとヒューイは部屋に戻って、紅茶とチョコレートケーキを食べていると、匂いを嗅ぎつけて来たのか、イザベラとイリーナが部屋の扉をノックして入って来た。


「お二人さん、すごい鼻が効きますね魔物討伐の時もそのぐらい鼻を効かせてください!」と冗談をいうジン。


「ずるいわよ、二人だけ美味しいケーキタイムをするなんて」とイザベラ。


結局二人にもチョコレートケーキを2個出して紅茶を出してあげる。


「ジン、ここの20階層以上のダンジョンがこの国では最難関のダンジョンであるなら、ここを踏破したら、アリシアとオレリアに訓練してあげる約束でしょ?そろそろデイマール王国の王都に行かない?」とイリーナ。


「彼女達が首を長くして、いまかいまかと待っているわよ」とイザベラが脅かすようにいう。


「一月に一回という約束だけど、忙しい時は向こうも分かっているし、いざとなれば『遠距離通話器』で問い合わせしてくるよ」と簡単にいうジン。


「ジン、エルフの女性は情が深いというわよ!ジンの事気に入って旦那様にしたいと思っているかもしれなくてよ」とイリーナまでもが脅かす。


「冗談でしょ?だいたい彼女の剣技を高めるために行ってあげるのであって愛情がどうのという問題ではないのですから・・・」とジンが真面目になって反論する。


「いやいや、約束したぐらいだから逃げれんわ!」とイザベラ。


二人は散々お茶とケーキを楽しんだらジンを脅かして気分をよくして部屋に戻った。


ジンとヒューイもベッドにダイブして意識を投げ出した。


翌朝全員が早めに食事を済ませて、ギルドに向かい6人のカードを渡して打ち込みをして貰い、直ぐに”迷宮の都市ダンジョン”に行ってカードを見せて1階層に向かった。


1階層は定番のゴブリンの群れで12匹がでて来て、ドールが全て剣で首を落として耳だけを回収した。


2階層はオークの群れ10匹がオークジェネラルに従がって移動中だった。


ヒューイとイザベラが『神龍剣』と【エアカッター】で瞬殺し、オークジェネラルはドールが【縮地】で一瞬にして間合いを詰めて首を切り落としにかかるが、そこは流石にオークジェネラルだ。


ドールの剣をはじき返して、ドールの胴を狙って横に剣を薙いでくる。


ドールは『雷剣』でジェネラルの頭に雷を1発落として、最後は殺した。



3階層は平原ステージでトロール2体が剣と盾を持って構えていた。


ジンが『煌剣』で1体を盾ごと真っ二つに切り裂いて、瞬殺し、イリーナが【アイスロック】で足の動きを止めて【ファイアボム】と【エアカッター】を同時に放って盾に【ファイアボム】を当て防いだところを、【エアカッター】で首を切り落とした。


ジンも魔法の使い方の旨さに感心しながら見ていた!


「ジン、私に惚れ直した?(笑)」


「はい、いゃ熟女恐るべしって思って見てました!」


4階層は海のステージで『潜水艇』に乗り込み〈タブレット〉を設置して【サーチモニター】として使う。


モニターが海竜(バハムート)を検知した。


ドールが直ぐに『魔道砲』でレーザービームを発射して討ち取った。


更に進むと、クラーケンが1匹モニターに掛かった。


『魔道砲』で【ウォーターアロー】を2発こめかみと魔石の有る位置に放った。


クランケンはもがきながらも死んで、ジンが【引き寄せ魔法(アトラクト)】で『潜水艇』に引き寄せて回収した。


5階層の陸地に着いて、『潜水艇』を回収し、ボス部屋をドールが開ける。


中には土のゴーレムが居てジンが【鑑定】すると、斬っても再生するので、魔石を破壊しないと死なないと出た。


ジンが「ドール、魔石は人間の心臓の位置に有るからそれを破壊しないと再生するので死なないよ」と伝えた。


ドールはゴーレムの攻撃を躱しながら、隙を見てゴーレムの左肩口から袈裟懸けに切り、魔石諸共切り落とした。


宝箱には『遠距離通話器』が入っていた。


ジンが回収してこのボス部屋でお茶タイムにしてティラミスとチョコレートケーキ、シュークリームを出した。


「ジン、これは新しいお菓子だね?私これにするわ」とイザベラ。


「私も初めてのシュークリーム」とイリーナ。


「私はチョコレートケーキにする」とヒューイ。


「私はティラミスにするわ」とイリア叔母さん。


「俺は残ったチョコレートケーキを食べる」とジンが言った。


ドールが皆に紅茶を出してくれて、のんびりと休んだ。


しばらく休憩して、


「さぁ、そろそろ6階層に向かいましょう」とジンが言って、5階層のボス部屋を出て6階層に向かった。


6階層は目の前に広大な砂漠が広がっていた。


『空飛ぶ車』に全員が乗り込んで2メートル程砂の上を飛びながら〈タブレット〉の【サーチモニター】を見ながら500メートル程行くと、サンドワーム3匹をサーチした。


『魔道砲』で【サンドアロー】を6発連射して1匹に頭と胴体に当たるように放った。


3匹のサンドワームが一瞬で骸となった。


更に進むと200メートル先にサンドモールが1匹居る。


ここも、『魔道砲』で今度は【アースランス(土の槍)】を放ち討ち取った。


更に300メートル先にグランドスコーピオンが1匹居る。


『魔道砲』から【レーザービーム】を撃ち放ち仕留めた。


やっと7階層の陸地が見えて来た。


7階層は岩肌がごつごつしたフィールドで岩竜が3匹も居る。


ドールが岩を吐き出すタイミングで首を『雷剣』で切り落とし、もう1匹の岩竜をヒューイが『神龍剣』で硬い甲羅ごと胴体を二つに切り分けて殺し、最後の1匹をジンが掌底破で殺した。


「ヒューイちゃんの剣の斬れ味は凄いわね、ミスリル製の剣でも弾かれるのに、いとも簡単に斬って仕舞うのだもの」とイザベラが感心する。


「ヒューイちゃんも凄いけど、ジンの掌底破はいつ見ても凄いわ!惚れ直しちゃう」とイリーナ。


8階層は密林のステージで大蜘蛛が3匹白い糸を吹きかけて来る。


捕まえられた獲物は身動きできず毒液が出る牙で噛まれて殺される。


ドールが3匹にレーザービームを放って殺し、後ろに有る物凄い数の卵を【ファイアボム】で全て焼いた。


更に進むと、木の上にフォレストモンキーが30匹キングが1匹いる。


イザベラが【エアカッター】を連射して10匹を殺し、イリア叔母さんが【アースアロー】を連射して5匹を殺し、イリーナが『滅亡の弓』に魔力を込めて5匹を射抜いて殺し、ジンがダガー『幻影』に念を送り10匹を全て首を斬って殺した。


9階層にはメデューサが居る。


ドールが目を狙ってレーザービームを放ったが一瞬で首を曲げてレーザービームを避けてしまう。


「ドール、クルクル動く首はこんな風に首ごと切り落とすんだよ!」とジンが離れた所から『煌剣』を一閃すると、ぎゃあという悲鳴と共に、メデューサの首から上が胴体と離れて床に転がった。


それでも髪の毛の蛇は生きているし”石化の魔眼”は生きている。


イリーナが【ファイアボム】を最大出力で放つと、全ての蛇は灰になって死んだ。

勿論、魔眼も皮膚が焼けただれて潰されて無効化されていた。


10階層はボス部屋のようだ。


ドールが開けるとヒュドラが居る。


「イリーナさん、【アイスロック】で足を止めてくれ、後は俺が殺る」とジンが言って、9本の首を【結界】で覆い、空気を全て抜いた。


しばらくすると、血を吐いたり、毒液を吐きながら苦しみ出し、1匹死に、2匹死にと9個の全ての首が死に絶えて、本体がズドンと倒れた。


宝箱を慎重に開けると、小さなオカリナが入っていた。


【鑑定】すると『魔笛』と言われるこのオカリナは魔物にだけ対応し、この笛の音、それを聞いた魔物は全て、笛の奏者の意思に従う。


かなり魔物に対して有効で無益な殺生をしないで済むがダンジョン内では殆ど使うことはないだろう


ジンが【次元ストレージ】に回収して、皆に「此処で一旦昼食にしましょう」と言い出した。


「えぇ?ヒュドラが死んだ所だよ?気持ち悪いよ!」とイザベラが言うので【クリーン】魔法を掛け、更に中の空気を浄化して、爽やかにした。


『空飛ぶ車』を出して皆に入る様に促し、キッチンの座席に着かせて、ピザの4種類の大判を出して、エールとジンジャーエールを出して昼食を始めた。


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