第21話 久しぶりのキースの街

キースの"魔女の道楽"に魔道具の商品を本店から運ぶイザベラについてジンもドワーフのデロスのオヤジさんの武道具屋に行く為に一緒に馬車でやって来た。


「叔母さん、居る?イザベラよ」


「そんな大声出さなくても聞こえているわよ!随分早かったね、夕方辺りに着くかと思っていたわ」


「あら、彼氏が出来たの?いい男前じゃない?イリーナ姉さんも喜んでるでしょ!」


「何に言ってるのよ、王都の我が家に下宿している冒険者のジン君とヒューイちゃんよ」


「こちら母の妹のイリア叔母さん」


「イリーナさんに似て、綺麗な叔母さんだね」


「あら、ジン君とやら、嬉しい事言ってくれるじゃない!もっと言うと、イリーナ姉さんより綺麗だって言って欲しかったわ」


「イリア叔母さん、今回の補填の魔道具よ、それと母から」


「何?これ、こんな大金どうしたの?」


「ジンが王都のダンジョンを全部踏破して、お宝をオークションに出したら最高額で落札されたから」


「ええ?あの未踏破のダンジョン全部を?」


ジンは話が自分の話題になりそうだったので、慌てて話を変えて出て行こうとする。


「イザベラ、俺、デロスのオヤジさんの所に行って来るよ」


ジンはヒューイとすぐ近くの武道具屋のオヤジさんの所に行った。


「デロスのオヤジさん、ジンです、ご無沙汰してます」


「おお、ジンの坊主か!どうした?」


「『煌剣』を随分使い込んだので研いで貰おうと思って・・・、それと最高級の砥石を買いたいのでお願いします」


「まず刀を見せてみろ!流石Sランク以上のレベルだな、見事な使いっぷりだな!」


「明日、朝迄には砥石と一緒に用意しておくぞ」


「それで充分です、金貨1枚で良いですか?」


「そんなに掛からねぇよ」


「いやぁー、いい刀を安くしてくれたし、色々お世話になってるから。それでオヤジさん、とぎ始めの時少し見学さしてもらってもいいかな?」


「ああ、構わんぞ!」


「それじゃ、ちょっとイザベラに言ってくるわ」


「何だ、お前イザベラと知り合いか?」


「ああ、あいつの本店に下宿しているんだ」


ジンはイザベラの所に行って、お昼ご飯を4人で食べようと言って、またデロスのところに戻ってきた。


「お待たせ!オヤジさん、研ぎをやって見せて」


「おう、やり方をよーく見てろよ!」


それから2時間程『煌剣』をデロスが研ぐのをじっくり観察するジンだった。


昼近くになり、「オヤジさん、すげ〜勉強になりました!ありがとうございます」


「明日朝には仕上がっているからな」


ジンはヒューイと"魔女の道楽"に戻りイリア叔母さんとイザベラに昼飯を作ってあげようと準備を始めた。


イリアとイザベラは店の方で二人で暇なのかずっと話し込んでいる。


ジンはスパゲティーのカルボナーラを大盛りで4人前作って、紅茶を用意して二人を呼んだ。


「ジン君、姉が言うように、食堂を経営したら大繁盛間違いないわ!」


「ジン、これはなんて言う食べ物?」


「スパゲティーのカルボナーラというやつだよ、結構濃厚なクリームとチーズが絡みあって女性には人気が有る食べ物何だけどね」


「ええ、とても美味しいわ!ベーコンという肉が効いていて今まで味わった事が無い食べ物よ!」とイリアも絶賛してくれた。


ヒューイは足りないらしく後2人前を出して平らげていた。


「イザベラ、俺らは宿をおさえて、冒険者ギルドに行って来るよ」


「晩ご飯は宿の食堂で私達も一緒に食べるわ」とイザベラが言った。


「それじゃぁ夕方宿でな」とジンが出ていった。


ジン達が居なくなった店ではイリアがイザベラに進言していた。


「貴女ね!早く捕まえないと誰かに取られてしまうわよ!あのタイプは姉の好みのタイプだわ!」


「やだぁー叔母さん、母とジンでは歳が違い過ぎるじゃない!」


「愛に歳何て関係ないわ、ましてあのジン君は実際は前世でもっと歳くっていたのでしょ?」


「それだって、母はもう50近いのよ!」

ジンは二人がそんな話をしているなどとは知らず"とまり木"に行き、ツインを取った。


「ジン君久しぶり、王都での活躍、ここ迄聞こえて来てるわよ」と、ローリーが言った。


「ええ?冒険者ギルドでもないのになんでー?」


「うちわ冒険者がよく泊まるから、王都の未踏破のダンジョン3箇所が新人の冒険者によって踏破されたって、そりゃ凄く話題になってたわ」


「へー、そうなんだぁー!」


「ローリー、夕食は宿泊代と一緒に定食をキャンセルして4人分適当に見繕って、飲み物はエールを1人前、果実ジュースを3人前で銀貨3枚でお願い出来る?」


「充分よ!」


「それじゃカードから引いて」


と言って、ジンは冒険者カードを出した。


カードの金額が『煌剣』と砥石の分で金貨1枚と宿代と夕食だいで銀貨3枚無くなり、白金90枚、金貨522枚、銀貨1057まい、銅貨211枚になった!


ジンはその足でヒューイとドールを伴ってギルドに向かった。


「あら、ジン君お久しぶりです」と受付のキャシーが声を掛けてくれた。


「ジン君の噂はここ迄聞こえて来てるわよ、王都の未踏破のダンジョンを全部踏破したって・・・」


「たまたまだよ、他に良いクエストが無かったからなんだ」


「たまたまで踏破出来るダンジョンじゃ無いわよ、きょうはイザベラさんとキースに?」


「ああ、魔道具の補充のついでに刀を研ぎに来たんだ」


「午後は暇なので何かクエスト有ればと思ってね!」


「オーガの討伐依頼が有るわ、受ける?あっ、刀が無いか」


「刀が無くても、ヒューイとドールが居るから大丈夫だよ」


「オーガ2匹よ!大丈夫?」


「それ受けるよ、掲示板に有る?ヒューイ、取ってきて」


ヒューイがオーガ2匹で銀貨130枚のクエストを持ってきた。


場所を聞いて3人で【転移】して、ドールとヒューイが2匹のオーガと対峙した。


ドールが【縮地】を使って一瞬で裏を取り、袈裟懸けに切り、瞬殺、ヒューイも【エアカッター】でオーガの首を切り落として2匹を【次元ストレージ】に収容した。


ギルドに戻って、素材置き場にオーガの骸を2体納品して、受付のキャシーに渡した。


余りの速さに声も出ないキャシー。


ジンは精算金、銀貨130枚をカードに入れてもらい、カード金額が白金90枚、金貨522枚、銀貨1187枚、銅貨211枚となり、履歴も打ち込んで貰った。


キャシーが履歴を見てびっくりしている。


「ジン君、何匹ドラゴンを倒したの?凄すぎるわ!」


「王都をベースにするのは良いけど、たまにはもっとキースにもいらして!」


「そうだね、最初に冒険者登録して貰ったとこだしね、毎月来るようにはするよ」


「待ってるわよ!」とキャシー。


ジン達は"とまり木"に戻って『フジ』に水と早目の食事を与えた。


ヒューイとシャワーを浴びて、着替えをして、イザベラとイリア叔母さんが来るまで仮眠した。


5時を回った頃二人が来て、4人で食事を始めた。


イリア叔母さんがエールを、3人は果実ジュースで乾杯して食べ始めた。


「イザベラ、叔母さんに『遠距離通話器』を渡した?」


「あっ、いけない、忘れていた。魔道具の補填とお金以外に未だあったんだ!」


「ジンに言われなければ忘れる所だったわ」


「これからは、何が足りないとか、連絡出来て楽ね!」


「今度は俺が運んでやろうか?その日に行って帰れるし!」


「ジン君どう言う事?」とイリアが聞いて来た。


「叔母さん、ジンは【転移】が出来るのよ」


「まったく、この世界で【転移】が出来る人間は数人いるか居ないかなのに本当にジン君は規格外ね!」


ジン達は夜が更けるのも忘れて遅くまで食べ、語り明かした。


翌朝、ジンとヒューイが起きたのは9時過ぎで、慌てて朝食を食べに食堂に

行って朝食を済ませ、ローリーにまた来月来ると言って”魔女の道楽”に向かった。


「イザベラ、昨夜は遅くまでお疲れ様」


「ジン、おはよう!私の方はいつでも帰れるわ」


「俺は武道具のデロスさんのところに『煌剣』lと砥石を受け取りに行って来るよ」


ジンはデロスの親父さんのところに行って、高級砥石と『煌剣』を手に取り構えて見た。


綺麗に研ぎ済まれた『煌剣』はジンに[ご主人様、スッキリしてとても気持ちがいいです]と語りかけてくれた。


「流石オヤジさんだ!素晴らしい出来上がりだよ。俺結構『煌剣』で魔物を倒して居るので、時々は研いでもらいに来るからよろしくね!」


「おお、ジンの坊主ならいつでも歓迎だ!また来てくれ」


ジンはデロスのところを辞して、”魔女の道楽”の裏に繋いだ『フジ』が引く馬車に乗り、イザベラとヒューイをのっけてドールと御者台に乗り込んでキースを後にした。


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