第19話 迷宮のダンジョン

古代遺跡で出会った人工知能人間のドールを眷属にし、イリーナとイザベラに【次元ストレージ】を作ってあげたジンは翌朝冒険者ギルドに行ってドールの従魔登録を申し込んだ。


ジンを見つけたリリアンが慌ててやってきて「ジン君、昨日さっさと帰ってしまうのだもの、ギルドマスターが御礼のお金を渡そうにも、本人は居ないから・・・、はい、昨夜の依頼のお金」と言って金貨50枚をくれた。


「リリアンさん、カードに入れて!」


「わかったは、カードに白金55枚、金貨353枚、銀貨565枚、銅貨183枚になったわ!」


「ジン君、彼女を従魔登録?」


「ドールは人工の人形なんだよ、ゴーレムと同じなんだけど登録した方がいいだろう?」


「そうね、ゴーレムは魔物の部類だから人工でも登録が必要だわ」


「それじゃ、いつもの通りここに彼女の名前とジン君のサインをお願いね」


「はい、それじゃ、これをドールさんの首につけくれる?」


ジンは従魔の印をドールの首につけて、リリアンに王都の残りのダンジョンの場所と名前を聞いた。


「王都の北15キロほど行った山裾に入り口があって、”迷宮のダンジョン”と言われているわ。多分ここが一番ランクが高いダンジョンだからくれぐれも気をつけてね」


「わかった、それじゃ3人で行ってくる」


ジン達は外に出て裏に周り、人がいないのを見計らって<タブレット>を”迷宮のダンジョン”と入れてエンターキーを押した。

画面に【MAP】が出て、【転移】をした。


一瞬で”迷宮のダンジョン”の入り口に3人は立っていた。


警備している兵士に冒険者カードを見せて1階層に降りていく。


1階層はオークの群れがキングに率いられて30頭もいる。


「ひとり、10頭ずつ倒そう!ヒューイ炎は使わず、【ウィンドカッター】でできるだけ、首を切り落としてくれ、ドールもね」


二人は、【ウィンドカッター】を連発して、見事に首を切り落としていく。

一方ジンは『煌剣』を抜いて、一度に5匹ずつ2回の振りで殲滅させた。

残るキングをジンが【縮地】であっという間に間合いを詰め、キングが剣を振り上げる時には既に首が飛んでいた。


31頭を【次元ストレージ】に回収した。


2階層は平原ステージで、ワイバーンが3匹いる。

それぞれ1匹ずつ【ウィンドアロー】で飛べなくして、ヒューイは頭を握りつぶし、ドールは首を切り落とし、ジンも首を切り落とした。


3階層は砂漠ステージで、ヒューイがドールを載せて5メートル砂の上を飛び、ジンは【飛翔魔法】で1メートル程砂の上空を飛びながら【サーチ】をかけながら移動している。


5メートル前方にサンドワームが1匹いる。


ジンが簡単に4つ切りにして殺した。


更に先にはポイズンスコーピオンが1匹砂から毒針の尾を出している。


ヒューイが尾を掴んで、ドールが一瞬で毒針を切り落とし、更にヒューイが砂から引っ張り出して、頭の陽側のハサミを食いちぎり、ドールが頭を切り落としてすべての部位をジンは拾い上げて、回収した。


4階層は今度は海のステージでここもヒューイがドールを載せて、ジンが【飛翔魔法】で2メートル海上を飛んでいく。

ケートスが【サーチ】にかかった。


ドールがヒューイの上から【氷の槍(アイススピア)】を放ってケートスを一撃で殺した。浮いてくるところをジンが回収し、更に進むとクラーケンがいる。

今度はジンが【ダークアロー】を3発放ち殺し、回収した。

陸地が見えてきて、降りて5階層に向かった。


5階層はボス部屋だ。

ドールが静かに開けると、岩のゴーレムがいた。


3メートルの巨体だ。

ドールに前で気をそちらに受けている間にジンが裏に回って、魔石を破壊

すると伝えて、ドールが【ファイアボール】で顔にぶつけるが岩のゴーレムには効いていない。

一瞬で後ろに回ったジンが魔石の位置に掌底破を打つと、岩も砕いて魔石が粉々にはかいされ、ゴーレムは動かなくなった。


宝箱に罠が無い事を確認して、開けると、『ミスリル製雷剣』・切れ味が抜群で雷を纏うことができ、相手を雷で即死させる魔剣。


これをドールが持っている剣と入れ替えて、ドールに持たせた。



6階層は複雑に入り組んだ迷宮都市のフィールドだ。

ジンは<タブレット>をステータスのように表示させて【MAP】を表示させながら迷路の様な入り組んだ道を進んで行く。

2階建ての建物が見えてくる。この中を突き抜けるように<タブレット>が指示を示している。


1階の入り口に向かうと、キラービーが5000匹襲いかかってくる。

3人にシールドをかけつつキラービーを【結界】ですべて囲い込み一気に【グラビティー】をかけて押しつぶしてぺちゃんこにして殺した。


更に通り抜けようとしたところに、メデューサがいる。

目を合わせると石になる、魔物だ。


ジンは『煌剣』を一閃し、メデューサの目を切り落とした。

あとは眉間に【アイスニードル】を打ち込み回収する。


2階建てを通り抜けると更に複雑に入り組んだ4階建ての建物にぶつかった。

<タブレット>がここを4階まで制覇するように表示されていたので、1階から上がっていく。

1階にはレイスがいる。

ジンが【聖魔法】で浄化して、霧となって消し去り、2階にはスケルトンエンペラーがいた。


心臓が2つありそのどちらも通常の位置にはなく2つの心臓を討ち取らないと死なない。


【サーチ】すると一つは喉に、もう一つはへその部分に有ることがわかった。


ヒューイとドールが二人同時にヒューイが喉の心臓、ドールがへその心臓に

【アースアロー】を放ち一気に葬った。

3階にはヒュドラがいる。

ここはこの前同様に、ジンが【結界】で9個の首を囲い【結界】野中の空気を抜いて20分ほどして9個の首は死んだ。


4階にはトロールが1体いる。

ドールが【縮地】で一瞬にしてバックを取り『ミスリル製魔剣』で斬り殺した。


5階には黒竜がいる。

ジンが『煌剣』で首を一刀のもとに切り落として瞬殺してしまう。

そこのすぐそばに何とダンジョンコアがあり、宝箱もあった。


宝箱を開けると『エリクサー』がまたも入っていた。


宝箱を開けた途端、迷宮の迷路は消え失せて、普通のダンジョンの10階層の様に姿を変えた。

<タブレット>が示したとおり5階建ての建物がこのダンジョンのコアになっていたようだ。


転移版に乗って1階層の入り口に戻ってきて、【転移】で冒険者ギルドの素材置き場に戻って納品をする。


ただし、黒竜とエリクサーはまたオークションに出そうと思い、素材置き場には納品しなかった。


納品書を待つ間、ギルドの食堂でヒューイとドールと3人で果実ジュースを飲む。

もちろんドールは飲まないで一緒に座っているだけだ。

20分ほど待って納品書ができたので受付のリリアンの所にカードと一緒にダンジョンコアを提出した。


「ジン君、精算金額は白金35枚、金貨50枚銀貨35枚銅貨28枚ですがいつもの通りカードに入れますか?」


「お願いします」


「カード金額が白金90枚、金貨403枚、銀貨600枚、銅貨211枚になりました」


「ありがとう」と言って、ジンは”魔女の道楽”に帰っていった。


「イザベラ、『エリクサー』を又手に入れたぞ、それと今度は黒竜を持ってきた。今から、台所に置いとく【次元ストレージ】を作るよ。


ジンは、50センチ程のボックスに蓋をつけてその中側に亜空間の次元スト

レージを作り込んだ。

黒竜の頭と胴体を全部いれてみると収納されて、巨体の黒竜が箱の中に消えて行った。ついでにエリクサーも入れた。


時間がまだありそうなので、『美食の皿』でピロシキを8個作り出して、『魔法の鍋』いっぱいにボルシチをつくった。


あとはマナバイソンのステーキをニンニクを薄くスライスして一緒にステーキと焼いて、先程作った【次元収納ボックス】にいれた。


イザベラが店を締めて、キースに行く荷物をジンが作ってくれたマジックリングに収納した。

イリーナが帰って来て、ジンがイリーナさん早くシャワーを浴びて着替えて来て、もう食事の用意が出来てるから」


イリーナが着替えて降りてくると食卓にはマナバイソンの美味しそうなステーキに野菜サラダが有り、ジンが作ったイタリアン風のドレッシングがかかっている。熱々のボルシチに焼きたてのピロシキ。


イリーナが初めて目にする食べ物だ。


ステーキもほんのりニンニクの香りがしてとても美味しい!

ボルシチとピロシキが絶妙なバランスの味だ。


サラダは今まで食べていた野菜サラダでは無い!


「何?この野菜にかかっている物は?とても美味しいわ」


「どう?イリーナさん、コックとして合格かな?」


「ジン君私が後20歳若ければ結婚申し込んでいたわ!」


「何言ってるのよ、お母さん!」


「そんな事より、ほら、これ見て!ジンが【次元収納ボックス】を作ってくれたの、しかもこの中には黒龍と『エリクサー』が入ってるのよ」


「ジン君またダンジョンを踏破したの?」


「きりが良いので、王都のダンジョンはこれで全部踏破しました」


「またオークションに出さないと駄目ね!」


「ジン君とイザベラがキースから帰って来たら申し込むわ、あまり王立魔法学院の教頭が『エリクサー』や黒龍をオークションに出して居るとまずいものね」


「それにしても、この野菜サラダの上にかけて居るもの、ドレッシングっていうの?野菜がとても美味しく食べれるわね」


「ジンはこんな料理どこで覚えたの?ジンの居た世界の人は皆料理好き?」


「もともと俺はこの世界に落ちた時歳が少しだけ若返ったけど、本当はイザベラよりは少しだけ年上なんだ、それだけ人生経験があり、イザベラより大人だと言うことさ!」



「何言ってるのよ、ジンが私より大人?笑っちゃうわ!人生の甘いも苦いもわからないジンに言われたくないわ」


「あっ、イザベラより俺は大人だと思うぞ、分別もお前より持ち合わせて居るしな」


「いやいや私の方が大人でしょ!」


「あのねぇ、二人とも私から見たら未だ未だ幼いわね!いい勝負よ」


「熟女に言われたくない!」とジン。


「お母さんに言われたくないわ」とイザベラ。


「ジン君、キースには特別な用事があるの?」


「冒険者ギルドに登録した初日、”魔女の道楽”に魔法特性を聞きに行く前

に、武器を取り敢えず買おうと思い、直ぐそばのドワーフの親父さんがやっている店に行ってこの『煌剣』を安く手に入れたんだけど、時々顔見せて剣を研ぎに来いと言われてね・・・」


「だいぶ『煌剣』を使い込んだので刃こぼれは無いけど、研いでもらうのと、ついでに研ぎ方を習って、少し高級な砥石を買って来たいんだ!」


「ふ〜ん、ジン君デロスさんの親父に気に入られたんだ」


「うん、最初は”朝っぱらから初心者が俺のところ何ぞくるな”ってどやされたけど、俺の剣さばきを見て、好きなものが有ったら持って行けと言うのでこの『煌剣』をぼろきれから見つけたんだ!」


「へぇー、あの親父さんがジンのこと認めたんだ・・・」


「俺のこと、初心者だって言っても、Sランクの実力だって勝手に思いこん

で、気に入られたんだ!」


「イザベラ、もし準備ができたならお母さんの方はちょうど学校が今忙しいから、明日にでもイリアの所に魔道具の補充に行ったら?」


「ジン君も大丈夫でしょ?」


「ああ、俺はいつだって大丈夫だぜ」


「そう?それじゃジン、明日朝ごはん食べたらいこうかぁ!」


その晩は、イリーナ、イザベラ母娘はジンの夕食にえらく感動してかんしょくして、お代わりまで要求してくるほどだった。


ジンも、イザベラたちに気に入ってもらってえらくご機嫌でヒューイとふたりで翌日のことを考えて、少し早めに2階に上がった。

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