第16話 ランクアップ

”魔女の道楽”の裏に『フジ』と馬車を厩舎にいれて、裏口から台所の方に入った。


「イザベラ、もう昼食べた?」


「あっ、ジンにヒューイちゃんお帰り。まだこれから食べようと思うけど」


「それなら、俺が簡単に作ってやるから待ってろよ」

そう言って、どんぶりを4個『美食の皿』に乗せて、天ぷらうどんを思い念じると、どんぶりの中にかき揚げの天ぷらうどんが現れた。


「イザベラ、できたぞ!」


「これって、昨夜食べたしゃぶしゃぶのうどんじゃない」


「全然違う料理だから食べてみろよ」


「あら、お汁も昨夜のポン酢と全く違って美味しいわ!このうどんの上のものも初めて食べる味だけどすごく美味しい」


「上に乗っているのは色々な野菜を天ぷらという料理のやり方で作って、添えたんだよ、どうだ美味いだろう?」


「お昼にはしつこくなくていいわね」


「ヒューイはどうだ?」


「私には少し物足りないわ、もう一つ此のどんぶりのうどんもたべていい?」


「ああ、『美食の皿』は念じた分だけできるので一度には四人前にもなるからお前が二人前食べればちょうどいい」


「それと、イザベラ、これは宝箱から得た2点。俺たちには不要だから店に出すなり、本店と支店とのやりとりに使ってくれ」と『遠距離通話器』と『高級ポーション・エリクサー』を渡した。


「なななに?またダンジョンを踏破したの?こんな高価な物、貰えないよ!」


「俺たちには不要ない物だからさ!」


「本店のここと支店のキースの店にこの『遠距離通話器』を置けば便利じゃん、使ってくれ。それと『エリクサー』っていうポーション、俺たちは【ハイヒール】が使えるし、持っていても宝の持ち腐れだから」


「わかった、母と相談してから結論だすわ、それにして普通にクエスト受ける感じで未踏破のダンジョンを連日半日で踏破するって、規格外もいいとこね!」


「ドラゴンやエリクサーなんかは王都のオークションにかければ白金が何枚も手に入るのよ」


「いやぁー、お金なんて有りすぎても碌なことにはなら無いからいいさ!」


「それじゃ、俺たちはギルドに行って、クエスト達成と納品をしてくるな」

とジンとヒューイは冒険者ギルドに向かった。


受付の前に、素材置き場に行って、ワイバーン3匹とグリーンウルフ24匹とダンジョンで刈り取った魔物をドバッと出して解体作業員が驚いていた。


「ジン君、ギルドの食堂ででも待っていてくれ、すぐに清算をして納品書を作るから」とチーフに言われジンとヒューイは食堂で果実ジュースを飲んで待った。


出来上がった納品書と、ダンジョンコアにダンジョンの地図それとカードと納品書をリリアンに出した。


「ジン君、またダンジョンを踏破したの?ちょっと待ってて!ギルドマスターが貴方と話がしたいと言っていたの」


「ジン君とヒューイちゃん、2階のギルドマスター室にご案内するわ」


「ギルドマスター、ジン君とヒューイちゃんが来ました。それとこれはきょう踏破した”密林のダンジョン”のコアです」


「いやぁー、昨日は留守をしていて会えなかったが私が王都のギルドマスターのフェイトだ初めまして、ジン君とヒューイさん」


「初めまして、Bランク冒険者のジンとヒューイです」


「ところで、昨日僕が居なかったのは実はハリス侯爵様の所に呼ばれていっていたのだがその間に”茫漠のダンジョン”を踏破して今日は”密林のダンジョン”踏破か、いや、侯爵様が言って居た通りになってしまった」


「侯爵様が俺たちの事を何か言ってたのですか?」


「なに、『ジン君たちはきっと近いうちに王都のダンジョンを全て踏破して更にこの国の全てのダンジョンに挑むよ』って言って居たんだよ。ジン君は侯爵と模擬戦で勝ったそうだね?そうなると、本当はSランクにしないとランクが合わなくなってしまうんだよ。ただ、幾ら何でもまだ1週間前後の冒険者になりたての人をSランクにするにはあまりにも前例がなくてね!」


「俺の冒険者のランクは今のままでいいですよ、これ以上国に縛られたりしたくないから・・・」


「いやぁー、かと言ってAクラスのパーティーでさえ踏破できて無いダンジョン二つをたった二人で踏破してしまった冒険者をBクラスのままというわけには行か無いんだ!本日をもってAランクに昇格させてもらう」


「君なら直ぐにでもSランクになるが王様あたりからも目をつけられるからそれはジン君のよしとしないかもしれ無いね」


「とりあえず話としてはAランクに昇格させるので今後ともよろしく」とフェイトが握手を求めて来たので、ジンも握手して受付に戻った。


ジンが居なくなったマスター室でフェイトは考え込んでいた。


”恐らく彼は侯爵様が言うように『迷い人』何だろう、それでなければ魔力、スキル、あの強さは説明でき無い。今後彼をめぐって綱引きが激しくなるな”と一人つぶやいていた。


受付に戻ったジンはリリアンからAランクのゴールドカードを受け取り、清算金、ワイバーンの金貨120枚、グリーンウルフ24匹の銀貨360枚、ダンジョン制覇に伴うコアと地図、魔物の清算金が白金30枚、金貨95枚、銀貨88枚、銅貨45枚を受け取りカードに入金してもらう。


カードには白金55枚、金貨303枚、銀貨485枚、銅貨183枚となった。


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