第15話 密林のダンジョン
ジンは”茫漠のダンジョン”で手に入れた『マジックアイテム』を使って、イザベラとヒューイに昼食を作って好評をだったので気を良くして、夕食もチャレンジすると言い出した。
夕食まで、刈り取って来た魔物たちを解体し【解体スキル】のレベルもあがり、岩竜と赤龍も城門の外の野原で解体して、部位ごとに分けてイザベラに渡した。
イザベラは赤龍の牙や鱗、岩竜の甲羅など魔道具の素材としてとても貴重で高価なものを綺麗に解体して持って来たジンに驚いていた。
「ジン、あなた解体も出来たの?すごい上手よ」
「そうかなぁ?スキルのおかげで俺の実力では無いがな・・・」
「何言ってるの、スキル=実力なのよ!」
「とりあえず、お店を戸締りして、締めてくるわ」とイザベラ。
ジンはその間、まず『美食の皿』に茶碗を4つ載せ、ご飯を思い念じると温かい出来たてのご飯が4人分出てきた。
次にパンの人もいるだろうとクロワッサンを思い念じると更に2人分4個のクロワッサンがで出て来た。
後はしゃぶしゃぶのタレのポン酢が欲しい!ビンが無いのでコップを2個『美食の皿』に乗せてポン酢を思いながら念じるとコップに並々とポン酢が入った。
後は『豊饒の鍋料』を出し、下に鍋敷きを置いて、しゃぶしゃぶを思い念じると熱々の薄めのコンソメスープに牛肉のスライスされた肉が入った状態で、そのほか、エノキ、モヤシ、ウドン、などが入っていた。
「イリーナさん、準備が出来たよ、イザベラも早く来て!」とジンが皆を呼んだ。
「コップの中のつゆをこの器に少し入れて、肉はをそのつゆに付けて食べるんだよ、野菜も同じ。肉はサッと鍋の中に入れ直ぐに出してこのポン酢というたれに浸して食べて下さい。ご飯の人とパンがいい人は好きな方を取って下さい。パンがもっと欲しい人、ご飯をもっと欲しい人は俺に言って下さいね!」
「ジン君、このポン酢というタレに付けると美味しいわね!野菜ももっと欲しいわ!」
ジンは野菜も肉も『美食の皿』でどんどん出していく。
「ジン、この白い長い奴はなあに?」
「それはウドンと言って俺のいた国の食べ物だ、味があまりしないけど、ポン酢に付けてツルツルと食べるんだよ」
「パパ、お肉が美味しいよ!サッとスープに浸してポン酢に付けて食べると幾らでも食べれるね」
「ジン君このパンは 、君の国のパンかい?とても美味しい!」
「そうです、これはクロワッサンと言うパンで普通のパンより高級なんですよ!」
「お母様、お昼に食べたピザと言う物もすごく好き、美味しかったわ。時々はジンに食事を作って貰いましょうよ!」
「ジン君、ドラゴンや岩竜を納品してくれたら半年、いや1年間は下宿代要らないわ!赤龍だけでも白金で買取ですもの」とイリーナがジンに言った。
「でもイリーナさん、時々は食材として持ってきますよ」
「それに魔道具にする工程も勉強したいしね!」
「イザベラはキースの支店は月に何回か行って居るの?」
「月一の割合かな?品物の補充が無ければ叔母に任せているわ!」
「叔母さんって?」
「母の妹よ!叔母も魔法師なの」
「魔法一家なんだな!今度キースに行く時声掛けて、俺が護衛して行ってあげるから!」
「大丈夫よ、こう見えても私もCクラスの冒険者よ」
「へぇー、イザベラも冒険者登録していたんだ!」
「実はキースに俺も用事が有るからついでだよ」
「それじゃ、今月の末に魔道具が足りなくなりそうなので、補充しに行く時に一緒に行きましょ」
「分かった!今月の末だな」
「それじゃ、俺達は冒険者ギルドに行って今日のクエストをこなしてくるわ、ヒューイ行こう!」
ジン達が下宿している”魔女の道楽”はギルドのすぐ近くで、歩いても1分もかからない程度で入り口につく。
きょうも少し成長したヒューイとジンがクエストの有る掲示板の方に向かって行く。
しかし、きょうのギルドでの人の動きを皆が注視しているのを二人は何故なのかわからない。
昨日の”茫漠のダンジョン”を半日で踏破した若い男女の事はここ、王都のギルドでは1日で話が広まってどんな奴なのかと、見に来ている冒険者達が二人を見つめていたのだ。
「ヒューイ、このワイバーンの群れの討伐依頼、金貨120枚とかなりお得感が有るぞ、これにしようぜ」
「パパ、群れって何匹かしら?沢山居たらお得感が有るのかわからないよ!」
「おっ、お前鋭いツッコミするじゃねぇか!確かにワイバーン1匹@金貨40枚辺りだから5、6匹居たらお得どころか残りを後で出したほうが良いかもな」
「取り敢えずこれを受付に持って行こうや」とジンは受付のリリアンの所に出した。
「リリアン、このワイバーンの群れって何匹ぐらいなんだ?」
「あら、ジン君これ恐らく2、3匹が目撃されていたわ」
「それじゃ、3匹以上は後日出してきょうはこの討伐と、もう一つのダンジョンに潜ってくるよ。場所と名前を教えて?」
「昨日踏破したばかりで、又今日も潜るの?大丈夫?場所は王都を出て5キロ北の方角に小高い岩山があり、そこに入り口の洞穴が有るわ。兵士が2名で警備しているから分かると思うわ」そう言って、カードにクエストを打ち込んで依頼書とジンに返した。
「ヒューイ5キロだったら、たまには『フジ』を連れ出してやって一緒にいくか?」
「そうね、いつも厩舎につないでいたら『フジ』も可愛そうだから」そう言って、二人は”魔女の道楽”に戻り、イザベラに馬車で行く旨伝えて、裏から『フジ』と馬車を出して、先ずはワイバーンのいる場所に向かった。
ワイバーンのいる場所は城門をでて3、4キロ南西に行った平原の辺りにちょうど3匹がいた。
「ヒューイ、討伐依頼金通り3匹だったな!サーチしても他のワイバーンはいないからコイツラをさっさと討伐して、ダンジョンの方に向かおうや」
”『フジ』この野原を適当に駆け回って、腹空いたら狩りをしていてもいいぞ”
”わかった、主が戻るまでこの辺を運動しておるぞ”
「ヒューイ、先ずワイバーンが空に逃げれないように俺が2匹の羽をお前が1匹の羽に穴を開けてから行こうぜ」
「分かったパパ、私手前のワイバーンやる」
ヒューイが【アイスアロー】で手前のワイバーンの羽を2枚ともぶち抜いて飛べなくさせた。
すぐさまジンが【エアカッター】を2連発動時に発動させて2匹の4枚の羽を切り落とした。
ふたりとも草むらのために【火炎】系の魔法を使わないで3匹のワイバーンの翼を破壊した。
一瞬でヒューイが手前のワイバーンの頭をなぐり潰して頭蓋骨を砕いた。
ジンは『煌剣』を抜きざま1匹目の首を横に薙いで切り落とし、2匹目は頭と首の繋ぎ目の頚椎を蹴り飛ばして砕き一瞬で3匹を瞬殺して【次元ストレージ】に回収した。
ピューと口笛を吹いてフジを呼び戻して、ヒューイと馬車の御者台に乗って今度は”密林のダンジョン”に向かった。
ワイバーンを討伐した所からは10キロ近く離れており、途中でグリーンウルフの群れに遭遇した。
馬車からフジを解き放してあげて、ヒューイと二人と1匹で急遽グリーンウルフ討伐をする。25匹を討伐するが1匹をフジがむしゃむしゃ食べ始めて全部で24匹を【次元ストレージ】に入れた。
1時間程道草をしたがダンジョンの入口にやっと着き、フジと馬車を入り口脇に留置、兵士に冒険者カードを見せて、入っていく。
”密林のダンジョン”というだけあって、入り口の階段から既に蔦が伸びて結構歩きにくい。
ヒューイが【ファイアボール】を放って、階段の下まで蔦を焼き切り灰にした。
降りきった1階が既にジャングルもどきの密林のステージだ。
ゴブリンが5匹隠れているが、【サーチ】には丸見えだ。
ジンが『煌剣』で首を切り落として、耳だけ収納した。
更に行くとウォーターモンキーの30匹ほどの群れが上から硬い木のみを投げつけてくる。
ジンは<タブレット>を目の前に浮かび上がらせウォーターモンキーの場所を【MAP】で表示させて、【ダークアロー】と闇魔法を連発して32匹のウォーターモンキーを殲滅して、落ちてきた躯を回収した。
「パパ、闇魔法って何となくエグいね!わたしは【アイスアロー】とかのほうが良いわ」
「たまには闇魔法を使ってみようと思っただけで、本来は暗い洞穴とか夜に効果があるよね、この魔法は」などと二人で会話しながら2階層に進む。
2階層は密林が両サイドに有り、大きな川が流れている。
ケルピーが2匹【サーチ】に引っかかった!
ケルピーは川馬と表記される水妖の魔物で、食材として重宝されている。
勿論<タブレット>からの受け売りだが・・・。
「ヒューイ、ドラゴンになって上空を飛んでくれ、俺が乗って【アイスアロー】で刈り取るから」
「分かったわパパ、はい、乗って!」ドラゴンに戻ったヒューイは20メートルほどに成長していた。
ケルピーに向かってジンが放った【アイスアロー】は見事に頭を砕き、浮き上がって来たところを回収して向こう岸へと渡った。
更に対岸を歩くこと5分程、ウォーターベアが1匹襲ってくるがヒューイが飛び蹴りで頭を砕いて殺した。
3階層は密林の蔦に絡まれた廃墟が2棟見える。
2棟とも2階部分が朽ち落ちて無くなっていた。
手前の廃屋に入ると死臭がする。
【サーチ】にはレイスがいると出ている。
「ヒューイ、悪霊のレイスがいるから気をつけろよ」
ジンは目の前に見える<タブレット>の【聖魔法】の【浄化】をポチった!
”【浄化】レベルが上がりました、Lv100になりました。今後は自動でたちあがります”と声が響いた。
ジンは【浄化】と叫んでレイスに向かって放った!
レイスは悲鳴を上げながら霧となって浄化されて霧散した。
更にバンパイアが2体物陰から襲ってくる。
二人は間合いを取り、再びジンが【浄化】と叫んで1体に放つ、更に同様に【浄化】をもう1体にはなった。
”【浄化】のレベルがLv10000、更にLv1000000になりました、後1回で限界値を越え測定不能になります”と声が響いた。
バンパイア2体とも霧となって浄化され消え去った。
隣の廃屋に向かった。
【サーチ】に吸血コウモリ(バンパイアバッド)が5匹、ミイラが3体、それとスケルトンが5体いる。
【鑑定(アプレイザル)】を同時にしてみると、スケルトンは再生能力があり、魔石を破壊しない限り際限なく再生をするとと出ている。
<タブレット>には夫々の魔物の弱点が表示されており、コウモリもミイラも火に弱い、スケルトンは砕いて再生するまでに魔石を破壊する。と親切に説明書きが表示されていた。
「ヒューイ、バンパイアとミイラは火に弱いから頼むな、俺はスケルトンを片付ける」
「分かったわ!パパ」
ヒューイは【ファイアスプラッシュ】を天井にいるバンパイアバッド5匹に放ち、燃やし尽くして魔石だけ回収、ミイラも同じく【ファイアボム】で消滅させた。
一方ジンは『煌剣』でスケルトンの魔石を狙い撃ちして、突きまくり砕いていく。
【身体強化(ブースト)】を途中からかけてスケルトンの攻撃を躱しながらも正確に魔石を『煌剣』で砕いて5体のスケルトンを再生不能にして葬った。
4階層は密林そのもので、蒸し暑く鬱蒼としたジャングルのステージだ。
ポイズンスネークが大きな幹に絡まって此方を見ている。
ジンは【氷の針(アイスニードル)】をスネークの頭に数十本放って、『煌剣』で4等分ほどに切断した。
更に【サーチ】にアースワームというミミズを大きくした魔物が2匹検知された。
ジンが『煌剣』で2体をあっという間に攻撃を躱して切断して殺した。
全てを【次元ストレージ】に回収する。
5階層はボス部屋のようだ。
扉を開けて、中にはいるとミノタウロスがハルバードと盾を持ってまちかまえている。
ジンが【瞬足】を使って一気にミノタウロスの懐に入り込みヒザ下を切り落とす。
ミノタウロスはハルバードをジンに向かって鋭い突きを放つが、ジンの目にはスローモーションのように見えている。
彼のスキル【100倍時計】が働いて1秒が100倍の長さになって見えているため、どんなに早いハルバードの突きも軽く躱して、盾を持つ左手も切り落とした。
最後は【縮地】で完全に裏を取り、馬庭念流壱の型の構えから上段に袈裟懸けで首筋から胸まで切り裂いて絶命させた。
宝箱が有り、その中には『遠距離通話器』一対が入っていた。
6階層に向かった。
6階層は岩だらけの山肌で時々岩のこぶし大の大きさの塊がすごい速度で飛んでくる。
飛んできた方向には岩竜が2匹もいる。
ジンがヒューイに「岩竜が岩をこちらに向かって吐き出す瞬間を狙って、頭を粉砕すればすぐ殺せるぞ、俺はもう1匹を掌底破で葬るわ!」
そういうと、ジンは華麗に岩礫を避けて、あっという間に岩竜の甲羅の上に乗っかり、掌底破を放ち、内臓を破壊して殺した。
一方のヒューイは岩礫を吐く岩竜の一瞬を狙い撃ちして、【ファイアスプラッシュ】を顔に放ち、首から先を吹っ飛ばした。
2匹とも【次元ストレージ】に回収した。
7階層はかなり幹の太い木々が生え、鬱蒼と生えた草が行く手を阻むジャングルモードの場所だ。
ジンが【インフェルノ】を魔力を調整して放ち、歩くところの全てのものを焼きとかしてしまう。
歩きやすくなったが、周りに魔物の姿が消えてしまった。
「パパ、やり過ぎよ!こんな所でいくら抑えても【インフェルノ】はあんまりでしょ!」
ジンも頭をかいてばつが悪そうに【サーチ】を掛けて魔物の姿を探す。
【サーチ】にサウンドラー1匹とトロールが2体検知された。
ヒューイがサウンドラーが叫び鳴く前にジャンプして頭を正拳で砕いて殺した。
トロール2体は1体ずつジンが『煌剣』で簡単に首を落とし、ヒューイがやはり腹の辺りを正拳で殴って穴を開けて殺した。
8階層は真っ暗な洞窟に死臭が漂ったステージで【サーチ】にはアンデッド系のスケルトンキングが盾と剣を構えて笑って待ち構えている。
「儂は不死身のスケルトンの中の王だ、幾ら剣で切られようが不死身だ!」
とうそぶいている。
<タブレット>を見るとスケルトンキングは切っても再生が一瞬で早く、心臓近くの魔石ともう1箇所の魔石を潰さない限り死なない、と表示された。
もう一つの魔石が何処にあるかは表示されておらず、おそらく個体差がありそれぞれ違うのだろうとジンは想像した。
先ずは心臓近くの魔石を『煌剣』で突いて砕いた。
「ワハハハ、馬鹿者儂は魔石1個を砕いたぐらいでは倒れんぞ!」と剣を振り上げて攻めてくる。
ジンはとっさに【サーチ】を掛けて”スケルトンジェネラルの魔石位置”と念じると<タブレット>映像が浮かびそこにスケルトンの骸骨の図が表示されて頭蓋骨の前頭部が赤く点滅している。
ジンは【アイスアロー】を頭蓋骨の顳顬上部に狙いを定め放った!
【アイスアロー】は頭蓋骨を破壊しその中側にあった魔石をもうちくだき、同時に『煌剣』で上段から一気に腰骨迄をキリ砕いた。
頭から真っ二つにされたスケルトンキングは流石に魔石2個を砕かれ、もはや再生能力もなくなり、動かなくなった。
9階層は火山ステージで硫黄の匂いがすごい。
【サーチ】に大型の魔物赤龍の姿を検知していた。
「パパ、私がドラゴンの姿になって話をつけてくるわ」
ドラゴンになったヒューイが近づくといきなり強烈な『火炎咆哮』をヒューイに向かって吐いてきた!
ヒューイが何か竜語で話すが再び『火炎咆哮』を放ってきたのでヒューイが
怒った仕草を見せて、口から強烈な『火炎ブレス』を赤龍の顔に放つと、首の付け根から上を焼きとかして葬った。
「パパ、あの赤龍は最低な奴だわ!」とプリプリ怒って戻ってきた。
「ヒューイ何言われたか知らんが、おかげで牙まで溶かしてしまったじゃん!」
「あんな弱いドラゴンの牙なんていらないわよ」
というわけで頭部の部位はなく首から下を回収して10階層に行く。
ラスボスの部屋のようだ。
開けると、ヒュドラがいる。9本の首をこちらに向けて威嚇している。
「ヒューイ、ここは俺が思い立った魔法で討伐して見るから見ててくれ」
ジンは9本の首全部を包み込む【結界(バリア)】ですべての首から上を囲った。
火を吐いたり、毒ガスを吐いたりと【結界】の中で首を動かしているが、ジンが囲いの内部の空気を抜いて行くと次第に動作が緩慢になり、最後は逆にもがき苦しんで次第に首を全てダランとして、ついには体ごとひっくり返えった。
それから更にしばらく置いておいて、横のダンジョンコアと宝箱を開けて見る。
中には瓶に詰められた高級ポーションのエリクサーがあった。
ポーションの中でもエリクサーは神級のポーションでどんな重病重症でもたちどころに治す力がある。
ジンにとっては【エクストラハイヒール】が使えるのでそれほど必要でもないが一応【ストレージ】に収容した。
ヒュドラも完全に生体反応がなくなり、死んだようだ。【ストレージ】にかいしゅうして1階入り口に戻ってきた。
遊びまわっていたフジを呼び戻して、馬車を繋いで城門に向かった。
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