第14話 マジックアイテムで食事を作る

ジンとヒューイは"茫漠のダンジョン"を初めて踏破して大金を手に入れ、下宿先である"魔女の道楽"へと帰って行った。


「ジン、えらく早い帰りじゃない?良いクエストが無かったの?」


「いや、ヒューイと二人で"茫漠のダンジョン"と言うやつを踏破したんで今月の下宿代を払おうと早目に戻ったんだ!」


「ええ?もうダンジョンを踏破したの?"茫漠のダンジョン"て未だ誰も踏破なし得てないはずよ!しかも未だ昼前よ!」


「ちょっと試したいことが有ってね、きょうの昼飯は俺が作ってご馳走するから期待してくれ」

「ジンが作ってくれるの?大丈夫?」


「ああ、俺が作るというか、ダンジョンで手に入れたマジックアイテムが作ってくれるのだけどね」


「それとイザベラ、魔物を解体するのに何処か場所を借りられないかな?」


「オークとかウルフ程度の大きさならうちの奥で解体出来るわ、物は何?」


「ドラゴンと岩竜後は小さいからこの裏で出来るけどな、昼飯食ったら教えてくれ、無かったら街の外でやっても良いや」


「じゃ飯を準備して来るな」


「パパ大丈夫なの?」


「大丈夫だまぁ見てろよ!」


ジンは『美食の皿』を【次元ストレージ】からだし、その皿の上に4枚の中皿をのせピザのマルゲリータを思い、念じた。


すると中皿の上にそれぞれ4枚のマルゲリータが出現する。

しかも暖かく出来たてだ。


次に又同じく中皿を2枚載せ今度は海鮮のピザを思いながら念じると、2枚の皿の上には海鮮ピザがアツアツ状態で載っている。


今度はコップを4個載せてジンジャーエールを思いながら念じるとコップに並々とジンジャーエールが入っていった。

ジンは食卓にピザとジンジャーエールを並べてイザベラを呼んだ。


「イザベラ、飯が出来たぞ!口に合うか分からんが食べようぜ!」


「何、これ?パンなの?」


「パンとは違うけど近いかな?俺が居た世界の食物だ、食べて見てくれ」


イザベラとヒューイは4つに切り分けたマルゲリータを一切れ食べて見る。


二人の表情をじーと見ていたジンが「どうだ?」と聞くと、無言で首をたてに振り、何も言わずに食べきり、2つ目に手を出す二人。


「おい、二人とも何か言えよ、喰えないとか不味いとか!」


「「美味しい!」」


「二人でハモるな!」


「で、どうなんだ?食えるか?」


「食べれるなんてもんじゃ無いよパパ、美味しくて1枚2枚じゃ足りないよ!」


「そうかぁ、美味いか!良かった。俺のいた世界の食べ物もこの世界で通用するな!」


「通用する何てもんじゃ無いわ、ジンこれは病みつきになるわ!これを毎日食べれるならジンの嫁さんも考えても良いくらいよ」


「こっちの海鮮ピザも食って見てくれ」


「うん、こちらも美味しいわ」


「それとこの飲み物、このピザという食べ物に合うわね!初めてよ、この味は・・・」


「俺も食うから少し残してよ!」


「夕食も俺が居た世界の食べ物を出して食べるか!」


「わぁーい、それがいいな、珍しい食べ物いっぱい食べて見たい」ヒューイはえらく乗り気だ!


「イザベラ、イリーナさんも夕方には帰って来るよな?そしたら皆で食べる鍋料理にするから期待してくれ」


「分かったわ、楽しみにして待ってるわ!」


昼食をご機嫌で食べた3人はジンが出したアメリカコーヒを飲んでゆっくりした。


「イザベラ、解体用のダガーは有る?ホーンラビットとオークはこの裏で解体して、下宿代代わりの岩竜と赤龍は街の外で解体して来るよ」


「家は魔道具屋で武器屋で無いからダガーは置いてないわ」


「そうかぁ、『煌剣』に聞いてみるかな?」


”『煌剣』お前短剣のサイズに短くならないか?解体用のダガーを買うまでの辛抱だから”


”ご主人様短剣のサイズですね?分かりました”


『煌剣』が白く輝いて小刀のサイズに変化した。


「ちょっとジン、この剣て魔剣なの?」


「魔剣では無いけど俺と心を通わせた剣だから頼めば言うこと聞いてくれるかな?って思って・・・、聞いてくれたよ」


「聞いてくれたよって簡単に言わないでよ、そんな事出来る剣は魔剣にも無いわよ」


「そんなもんかぁ、俺の頼もしい相棒だからな!」


「先にホーンラビットとオークを解体するわ!裏の作業場を少し借りるな」と言ってジンはヒューイを連れて作業場に行きホーンラビットの解体を始める。


先ずは<タブレット>の解体スキルをポチッた。

"【解体スキル】が100にレベルアップしました"と声が響いてきた。


すると『煌剣を持つと何処の部位から切り込みを入れれば良いのか<タブレット>がステータス画面同様目の前にホーンラビットの絵柄で切れ込み位置などが示され、血抜きの仕方も表示された』


2匹目も同様に解体を始めると"【解体スキル】レベルが10000になりました、今後は<タブレット>が自動的に魔物を選別、認識して解体の方法が画面に表示されます"と声が聞こえた。


綺麗に解体して、毛皮と角2個はイザベラに魔道具として渡し、肉は食材として【次元ストレージ】に入れ、料理に使う時に言ってくれとイザベラに伝えた。


次にオークの解体を始める。

"【解体スキル】が限界値を超えました。今後はアナウンスは出ません、全ての魔物を解体出来るようになりました"と声が聞こえてきた。


オークの牙と皮をイザベラに渡し、内臓も含めて肉は食材として【次元ストレージ】に入れた。


「ジン、凄いじゃない!解体屋さんよりも上手よ」


「いやぁー、スキルのお陰だよ、オークの内臓と肉は『フジ』にあげて来るわ」と裏扉を開けて、厩舎に行き、『フジ』にオークの内臓と肉をあげて、その足で街の外に出てヒューイと1キロほど離れた野原に先ずは岩竜を出した。


甲羅を地面の方にひっくり返し、柔らかな腹の方から切り込みを入れ、手足、内臓、甲羅、頭と部位ごとに別々に分けて【次元ストレージ】に入れた。


次に赤龍を横に倒して出した。

ジンは首から上の部分の鱗を綺麗に剥いで牙を全部取って【ストレージ】に収納していく。

頭と首は付けたまま【ストレージ】に入れ同様に胴体の鱗を綺麗に剥いで解呪し、足を切り落とし回収して、胴体を4箇所に切って【ストレージ】に回収した。


野原に拡がった血溜まりは【クリーン】魔法で綺麗にして魔物達が寄って来ないように処理してヒューイと二人で街に戻った。


「イザベラ、岩竜と赤龍の解体した部位を上げるよ、作業場の机で良いかな?」


「わぉー、本当に岩竜と赤龍だぁ!ジン3ヶ月分の下宿代は要らないわ、ホーンラビットとオークだけでも充分なのに、凄いわ!」


「なぁに?イザベラ、大声出して、通りの方まで声が聞こえたわよ!」


「あっ、お母様おかえりなさい。ジンが下宿代に岩竜と赤龍を持ってきたわ。しかも綺麗に部位事に分けて」


「随分早い下宿代ね!月末までゆっくりで良かったのに!ホーンラビットにオークまで?どっかのダンジョンでも潜ったの?」


「お母様聞いて、ジンたら余り目立っては良くないのに"茫漠のダンジョン"を踏破しちゃったのよ!ドラゴンも赤龍と黒龍2匹も倒して・・・」


「それでね、そのダンジョンで得たマジックアイテムが凄いのよ!」


「今からジンがそれを使ってお母様に夕食を御馳走するそうよ」


「それは楽しみだわ!取り敢えず私、シャワーを浴びて着替えて来るから、イザベラお店を閉めてくれる?」


「じゃ、俺は夕食の準備してるよ、ヒューイ『フジ』に夕食のオークの照り焼きバーガー5個と新しい水をあげて来てくれ」


「はーい、ここから裏に出るね!」とキッチンの奥の作業場の扉を開けて裏に出て行

った。





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