第13話 茫漠のダンジョン踏破
ひょんな事から王都の"魔女の道楽"の魔道具店の本店でイリーナ、イザベラ母娘の家に下宿する事になったジンとヒューイ。
「おはようございます!」
「イザベラさんが朝ご飯作っているの?イリーナさんは?」
「お母さんはもう仕事に出掛けたわ」
「仕事って、魔法学校に?」
「他にないでしょ?教頭も授業を教えているのよ」
「イリーナさんは4特性の魔法って、【火】、【水】、【土】、【風】の4特性?」
「そうよ、母は【聖魔法】と【無属性魔法】に【闇魔法】は使えないわ。【無属性魔法】は私が得意で【身体強化】をしたり、【シールド】をしたりは私ができるわ」
「イリーナさんが4特性でイザベラさんが3特性か」
「何よ、その見下した言い方は!」
「いやいや、それって普通に考えたら凄いのでしょ?」
「そうよ、だから魔女の女王イザベラって言ったじゃない!」
「それを言うなら魔女の女王イリーナさんだろ?」
「それはそうと、ジン君と私は同じ歳だからさん付けでなくイザベラでいいわ、私もジンと呼ぶから」
「大家さんの娘さんで魔女の女王様にタメ口でも良いのかな?」
「君付けは面倒よ、ジン、朝ご飯は要らないの?」
「た、食べるよ、ヒューイも食うぞ!」
「う、美味い!イザベラはいい嫁さんになるぞ、俺が貰ってやってもいいくらいだな」
「何言ってるの、私の方が願い下げよ!」
「何だよ、俺って優良成長株だぞ!」
「くだらない冗談はやめて、さっさとギルドに行きなさい」
「はいはい、下宿代を稼がないと追い出されるからな、ヒューイ、フジに水と餌あげて出掛けよう」
ジンはギルドの受付に行って王都の管理するダンジョンのひとつの場所と名前を聞いた。
リリアンが「あら、ジン君ダンジョンに潜るの?未だ早くない?」
「下宿代に魔物の納品が有るんだよ、制覇された優しい所は有るかな?」
「王都のギルド管轄はみな未踏破よ、かなり手強いわ」
「やばければ逃げて来るから大丈夫だよ」
「それじゃ、城門を出て3キロ北に屋台が何軒も出て居るから直ぐ分かるわ!"茫漠のダンジョン"というのが有るわよ」
「分かった、ありがとう」
ジン達は城門を出て<タブレット>を出して"茫漠のダンジョン"を打ち込みポチッた!
【転移】を発動して直ぐに入口に現れ、兵士にカードを見せて潜って行く。
階段を降りると、薄暗く広い洞窟になっていた。
ジンは【ライティング】で足元を照らしながら【サーチ】を掛けながら進む。
【サーチ】にホーンラビット15匹とオークジェネラルが引き連れたオークの群れが10頭引っかかる。
「ヒューイはオーくの群れを、俺はホーンラビットを狩るぞ、余り身体を破壊するなよ」
ジンは『煌剣』を鞘から抜いて15匹のホーンラビットをあっという間に刈り取り、オークを殺そうと見たらヒューイも全て終わっていた。
「ヒューイ、随分綺麗なオークの死体だけど頭を狙ったのか?」
「そうよ、頭に細い風の矢を刺して殺したわ」
全てを【ストレージ】に入れて2階層に向かった。
2階層は森林のステージだ。
直ぐにフォレストベアーが1体現れた。
ジンは【アイスロック】で足を氷漬けに止めて『煌剣』で一刀の元に首を斬り落とした。
次に現れたのはフォレストウルフ30匹。
<タブレット>の【時間を管理】のスキルをポチッた。"【時間の管理】レベルが100になりました"と頭に響き周りの時々が10秒制止した。
ジンとヒューイだけが動け、あっという間に30頭のフォレストウルフを殲滅した。
3階層は平原ステージでいきなり前方にトロールが2体居る。
ジンは【縮地】でトロールの懐に入り込み『掌底破』を放った。
トロールの背中と穴があき地響きと共に倒れる。
ヒューイはジャンプ一番、飛び回し蹴りを放つとトロールの首の骨が折れ頭がたれかかって倒れた。
更にマナバイソンが7匹居る。
「ヒューイ、体は美味しいから傷付けるなよ」と言ってジンは『煌剣』で首だけを斬り落とし、止血して収納していく。
ヒューイはえらく原始的に頭をを叩いて頭蓋を砕く戦法で倒していた。
「パパ、私この手の魔物は苦手だわ。黒焦げにして瞬殺は得意だけど美味しいお肉を残して優しく殺すのは難しいわ」と言いながら、4階層に向かう。
4階層はジャングルのステージだった。
15メートルのポイゾンスネークが紫色の舌を出していた。
ジンが【ファイアアロー】を頭に数発放ち、瞬殺す。
フォレストモンキーが木の上から硬い木の実を高速で投げてくる。
ジンは素早く<タブレット>をポチッてフォレストモンキーの居る場所を割り出し、【アイスアロー】を放った。40匹近く居たフォレストモンキーがバラバラと落ちて死んでいる。
【ストレージ】に回収して5階層に向かった。
どうやらボス部屋のようだ!
扉を開けると岩のゴーレムが居る。
【鑑定(アプレイザル )】をして見ると魔石を破壊する迄再生を繰り返し襲って来る、と出ている。
ジンは『煌剣』を構え魔石が有ると思われる所でを狙って離れた所から打ちおろした。
空気を切り裂く斬撃が岩と魔石諸共綺麗に切られて一瞬で終わってしまった。
「パパ、私にももう少し楽しませてよ!プリプリ」
愚痴るヒューイを宥めながら宝箱を開けるとでかい皿が出てきた。
【鑑定】すると念じた食べ物が念じた分だけ出てくる、『美食の皿』と言うマジックアイテムだ!
"これは凄い!前世の日本で食べていた物がこの世界でも食える"ジンはひとりニヤニヤして喜んだ。
「パパ、何ニヤけて喜んでるの?宝がお皿じゃ宝なんていえないじゃん」
「俺とヒューイにとっちゃお宝もお宝、すっげー良いもんだぞ!後でおしえてやるよ」
ジンはニコニコ、活力が増したように6階層に向かった。
6階層は海が目の前に広がっている。
「パパどうする?私に乗る?」
「いや、【飛翔】を掛けて飛ぶよ」ジンは<タブレット>の【飛翔】をポチッた!"【飛翔(フライング)】のレベルが100になりました"と声が響いた。
ヒューイは龍の姿になり20メートル程の大きさで飛び上がった。
ジンも浮き上がり二人で海上を飛び始めた。
海面近くにクラーケンが見えた。
ジンはクラーケンに向かって【氷矢(アイスアロー)】を連続で5発、放った。
ジンの放った【アイスアロー】は全て頭に集中して当たり、さしものクラーケンも息絶えて、海上に浮き上がった。
ジンは海上すれすれまで降りて、【次元ストレージ】に回収した。
更に海を飛んでいくとやっと陸地が見えてきて、ヒューイも元の可愛い幼子に戻っている。
7階層の入口に向かって螺旋階段を降りていくと今度は砂が一面に広がって
いる砂漠ステージだ。
再びジンは【飛翔(フライング)】を掛けて、砂上1メートル上をとぶことにした。
再び頭の中に声が響いてきた”【飛翔(フライング)】レベルがあがりました。Lv10000になり、以後はアナウンスされません。飛行距離も1万キロにのびました”
砂上1メートル飛びながら【サーチ】しながら移動しているとジャイアントスコーピオンが前方100m先で砂に潜ってジン達を待ち受けている。
手前で5メートルほどジンも、ヒューイも高く飛んで、砂上より頭を出したジャイアントスコーピオンの頭と尻尾を粉砕して、【ストレージ】に回収した。
更に進むと、今度は【サーチ】にサンドワームが2匹掛かった。
ジンは近くを【アイスロック】で砂を固めて足場を作って【岩矢(ロックアロー)】を放ち、1匹を仕留めた。
ヒューイが【アイスアロー】を放ちもう1匹の方を仕留めた。
8階層に行く途中で罠があり、ヒューイが足で踏んでしまい、床が抜けて二人は100メートル下の槍が100本も待ち構えている穴に落ちる所、ヒューイは龍の姿に、ジンは【飛翔(フライング)】を使って危機を脱出した。
”【飛翔(フライング)】のレベルが限界値を超えました。以後測定不能になります”アナウンスは無いと言っていたのにまたも声が響いてきた。
8階層は岩場ステージで、岩礫が凄まじい勢いで飛んでくる。
ジンは【スピリット・シールド】で身を包み、ヒューイはドラゴンの姿になって岩礫も手で払い除けている。
50メートル先に、岩竜が2匹いる。
ジン達を認め、更に岩礫を飛ばしてくる。
ジンは【縮地】で一瞬にして岩竜の背中にのり『掌底破』を放ち、内臓をぐちゃぐちゃに破壊して、殺し、2匹目はヒューイに岩礫を吐き出そうと首を甲羅からだした瞬間を見逃さずジンが『煌剣』で切り落とした。
二匹とも魔道の素材になるので大事に【ストレージ】にしまった。
広い岩場の更に奥に、アクスビークとアウルベアがそれぞれ1匹ずついる。
ジンは見たこと無い魔物で、<タブレット>にカメラで撮影して検索すると
”アクスビーク:肉食の大型走行鳥でダチョウににているが嘴が斧のように危険である。
アウルベア:大きな嘴を持つ熊に似た魔物。攻撃的な魔物で鋭い爪、大きな嘴で動くもの全て敵として攻撃する”
「よし、アウルベアはヒューイ頼む、俺はアクスビークとかいう魔物の方をやるぞ」
「パパ、丸焼けは駄目なのね?それじゃ殴り殺すわ」と言って簡単に撲殺した。
ジンは離れたところから【エアカッター】を放ち首を切り落として瞬殺した。
9階層は火山フィールドのステージで、30メートルの赤龍が『火炎咆哮』を放って威嚇してくる。
ヒューイが竜語で語ったが何やら怒って言うことを聞かないようだ。
「パパ、あいつ私が未だ幼い竜だからってバカにしているわ、頭にきた!私がアイツの頭に氷の矢を打ち付けて頭を破壊してやるわ」
ヒューイは【アイスアロー】の大型を5本纏めて赤龍目掛けて放った。
赤龍は慌てて火炎咆哮を吐こうとするが間に合わず5本の太い矢が両目、顳かみ、にあたり、頭蓋骨を破壊して殺した。
キマイラが2匹いるがそれはジンが『煌剣』で簡単にしゅんさつした。
10階層に来た。恐らくここがラスボスの部屋なのだろう、大きな金属の
扉をジンがゆっくり開けると、大きな黒竜がいる。
今度はヒューイは何も言わない。
黒竜が口に火炎の息吹をため始めた。
ジンは『煌剣』を鋭く黒竜の首に向けて振り抜くと見えない刃が飛んでいく感じで綺麗に首が切り落とされてしまった。
黒竜が何も出来ない程の速さだ。ヒューイもジンの斬撃には驚いて「パパの刀を振るう速度は凄いわね、あまりの凄さで刀で切らなくても振るっただけで空気の刃が出来てきられてしまうわね」
ここがダンジョン最下層なのだろう、ダンジョンコアが有る。
その横には宝箱が有り、開けて見ると大きな鍋が出てきた。
何やらここのダンジョンの宝物は食べるものに関係が有るようだ。
【鑑定(アプレイザル)】で見てみると”『豊饒の鍋』食べたい鍋物、スープ系の食べ物を自由につくりだす”とでた。5階層のときは食べ物、今度は
スープと共に魔道具では有るが食べ物系ばかりだった。
一応<タブレット>にはこのダンジョンの地図は記録されているのでこれを
出力すればギルドに出す地図は出来上がる。
手書きではないが定規で書いたように綺麗でわかりやすい。
ダンジョンの関係を<タブレット>で調べた時に、最下層には1階に戻る簡易転移版が有るので、踏破した場合はこれで直接入り口に戻れる、とでていた。
ジンと、ヒューイはその簡易転移盤に乗って、地上に戻って、ギルド裏に【転移】した。
素材置場に討伐した魔物たちを出したが、”魔女の道楽”の魔道具屋の下宿代として、赤龍、岩竜を1匹ずつ残してそれ以外をギルドの素材置場に出した。
納品書を持って受付にダンジョンコア、納品書、作成地図をだした。
「ジン君?踏破してしまったの?初踏破よ!カードと納品書、ダンジョンコアにダンジョン内地図、暫く待っててね」
「ジン君、清算が凄いわ!白金25枚、金貨88枚、銀貨35枚、銅貨98枚よ、それとカードにドラゴンスレイヤーの称号が刻まれたわ」
ジンが受付にダンジョンコアを出した時、回りにいる冒険者達が一斉にジン達を見てその若さと側の子供だが絶世の美人のヒューイを驚きの目で見ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます