第4話 クエストに初挑戦

異世界に転生したジンは冒険者ギルドで冒険者として登録を済ませ、ギルドで紹介された宿でゆっくりして、神様からもらった【次元収納ボックス(ストレージ】の中身を調べて見ることにした。

お金が入っていることは分かっていたが、他に何があるかな?


【ストレージ】を確認すると30センチもの卵が出てきた。


何の卵だろうと思ってつらつら眺めてみた。

色々触ったり、叩いたりしてみた。

いきなり頭に声が響いてきた!

”【鑑定(アプレイザル)】スキルを取得しました”と頭に声が聞こえた。


”【無属性魔法】レベル100になりました”

”【鑑定】スキルが100になりました”頭に続いて声が聞こえた。

”何、卵は何の卵だろうと思っただけで【無属性魔法】と【鑑定】スキルが発動されるの?ちょっとどうなっているの”と思いながら、卵を眺めていた。


取り敢えず、卵を孵化したりするのは時間がかかると思い、再び【次元収納(ストレージ)】にしまい、【次元ストレージ】の中を更に調べようと見ると、着替えを神様は入れてくれていた。


下着が4枚程、ズボンが色違いで3着とシャツが4着入っている。

洋服を買うつもりでいたので助かった。


俺はシャワーを浴びて下着を着替え、今まで着ていたシャツと下着、スボンを【ストレージ】に入れた。

ラノベを読んだ記憶で”【ストレージ】に入れておけば、翌日には元通りきれいになっている”と書いてあったよな、と思い出していた。

翌朝、久しぶりに熟睡して、異世界に転生した疲れも取れたようだ。


階下の食堂に降りて、朝食を食べる。

オーク照り焼きを野菜と一緒にパンに挟んだ朝食だ。

野菜スープと一緒に出てきて、美味しく完食した。

朝食を食べ終えて、冒険者ギルドに向かう。


”そうだ!依頼を受ける前に先ずは武器を購入しないと”とギルドに行く前にギルド近くの武器屋の扉をノックして開けた。


「おはよう御座います!冒険者初心者ですが、剣を見させてください」


えらく背の小さい、髭面の親父が出てきた。


「なんだ?こんな朝っぱらから、ここは坊主みたいに初心者が来るような店じゃないぞ?帰った、帰った」と邪険に言われてしまう。

「親父さん、そう言わないでよ。これでも剣では結構小さい頃から訓練してそれなりにスキルは高いと思うから」


「それじゃ、俺の前でこの剣で素振りをしてみろ」

親父さんが、傍にあった剣を人に投げてよこした。


ジンは投げてよこした剣の取っ手を起用に握り受け取る。

何故かその仕草を親父がじっと睨んで見ていた。

人の頭の中に再び声が聞こえてくる”【ATK】400000に上がりました。剣技レベルが20000、体術レベルが20000にあがりました。”

剣を持っただけで剣技が上がった!とジンは内心驚くが、素知らぬ顔のポーカーフェイスで剣を構えてみる。


ジンは西洋やこの異世界の剣は初めての経験だ。

彼が馴染んでいたのは日本の武道、”馬庭念流”だが取り敢えず受け取った剣で馬庭念流壱の型、上段から袈裟切り、弐の型下段より横払い、をオヤジの目の前で見せる。


ドワーフの親父は見たことのない構えから繰り出されるジンの覇気の強さ、剣の鋭さに圧倒されてびっくりしている。


「おい坊主、お前本当に昨日冒険者登録をしたばかりか?俺にはお前がSランクの冒険者に見えるぞ!」


「本当に昨日登録したばかりですよ、でも、剣と体術は小さい時から死ぬほど鍛えられていたので程々使えると思います」


「お前、わかってないかも知らんが、俺が見る限り程々なんてものじゃないぞ、かなりの手練だ。合格だ!坊主、じっくり見てお前の好きな剣を探せ」


ジンが眺めると確かにそこそこは良い剣だが鋼の焼きが少しあまい気がする

し、焼戻しをしていない剣が殆どだ。

その中でボロ布に包まれた剣が、ジンは気になりボロ布を取って手に持ってみる。


剣は日本刀と言っても差し支えがない作りで、反りが少し有り、この世界のような剣と違い片刃の割と薄めの剣だ。ジンが手に持つと剣が答えるように光り輝き、[やっとマスターに出会えました、これから末永く宜しく]と頭に語りかけてきた。


「親父さん、この剣はおいくらですか?」


「なんだ、お前剣を見る目が有るのか?これはうちの店でも最高級作りの剣だが異国のもので使いこなせないな、これはだめ剣だ!買い手がつかん」


「俺にこの剣が語りかけてくれたんだ、俺以外にはこの剣を使いこなすやつはいないよ」とジンがうそぶいた。

「お前も良くいうな、確かにこの剣は異国からの冒険者が売りに来て、置いていったものだが両刃でもないし、薄くて誰も触ろうともしないのだが、俺から見ると作りは最高級品だ」


「それで親父さん、幾らなの?」


「おおまけにまけて金貨2枚で良いぞ!」


ジンは即買いして、工房の隣の部屋で試し切りをさせてもらうことになった。


壁に立て掛けてある人形から5メートルほど離れてジンが刀を鞘から抜き馬庭念流壱ノ太刀の構えから一気に振り下ろすと、すごい空気の刃が人形をスパッと切断してみせた。

”頭に再び声が響き剣技スキルが上限に達しました。これより剣聖の全ての太刀筋を受け取れます、受け取りますか?”


ジンは即答で”はい”と返事を頭の中でした。

すると、この世界で剣聖と謳われていた人たちの剣捌き、ジンがいた日本の剣豪、全ての太刀筋、足の捌きなどが頭に一気に入って、それを自分が使えるとジンは確信した。


ジンは刀に『煌剣』と名前をつけて、[君のことはこれから『煌剣』と呼ぶからよろしくね!]と剣に囁いた。

『煌剣』と名付けられた刀は、[マスター、これからはどんな敵、どんなものをも切ってみせます。末永く宜しく]と輝いて頭の中に語りかけてくれた。



「おい、お前はやはり剣に関してはSSSランクだな!この人形は普通簡単に切れないように魔法を掛けているにも関わらずいとも簡単にしかも5メートル離れて切りやがった!」


「小僧、今後はいつでも尋ねてきていいぞ!その剣も研いでやるから大事に使えよ」


「俺はドワーフのデロスだ、今後はデロスの親父と呼んでくれ」


「俺はジン、冒険者のジン。宜しくです」


「親父さん、デロスの親父さん、ありがとう!」ジンは最高の剣を手に入れたと、ご機嫌で冒険者ギルドに向かった。


冒険者ギルドの扉を開けて入り、Fランクでも出来る薬草採取のクエストを受けることにした。


「キャシーさん、この薬草とこの薬草採取の2つのクエストを受けます」

「大丈夫2つも受けて、1つ目は『榎木かずら』これは10束で銅貨10枚もう一つは『エモギソウ』これも10束で銀貨1枚よ」


「『榎木かずら』はこの街を出てすぐそばの野原に有るけど、似た草が有るから気をつけてね。それと『エモギソウ』はもう少し先の森に入ったところに群生しているけど、ゴブリンやオークが出るから出たら逃げるのよ、わかった」


「わかりました、注意して採取してきます」


ジンはクエストを実施する前に、昨日聞いた”魔女の道楽”という店に向かった。

自分の魔法特性がどれほど有るのか、一応タブレットで見る限り全項目が書いてあるので出来るのかも知れないと、淡い期待を持って・・・。

「おはよう御座います!何方かいらっしゃいませんかぁ?」

「誰もいないのかなぁ?お〜い、お客だよぉー」


「むにゃー、あわわわ、何なの、こんな朝っぱらから!」


「すみません、クエスト依頼を達成する前に魔道具を買ってから行こうと思いまして」

「君、冒険者新人君?」

「はい、昨日登録したジンといいます、宜しくです」


「私はここのオーナーの娘で看板娘の魔法師の女王イザベラよ」

ジンと然程違わない歳の可愛い娘さんが出てきた。


”自分で看板娘とか、魔法師の女王とかいうか?”

「あっ、君ね、今失礼な事思ったでしょ?」

「いえ、可愛い娘さんだなと・・・」

「そんな事当たり前なんだから、思わなくてもいいわ!」「ところで、魔道具って、何を所望なの?」

「はい、耐熱、耐寒、耐打撃のマントみたいな物が欲しいのですが」

「そりゃ有ることは有るけど初心者がそんな物に頼っては強くなれないわ」

「でも、ドラゴンに遭遇したときに『炎の息吹』から守ってくれる物がほしいなぁって思ったのですが」

「貴方ね、そりゃ、漫画の読みすぎよ!何処の世界に冒険初心者がドラゴンと遭遇するのよ、あり得ないから必要ないわ!」


「ええ、困ったな!なにか買わないと魔法特性を調べて貰えないのでしょ?」

「そうねぇー、私のこと”可愛い”って言ってくれたからサービスで見てあげるわ」

「わぁ〜、本当ですか!」


「ちょっと待ってて、今測定器持ってくるから」


イザベラは奥に消えて、丸い水晶玉を持ってきた。


「ジン君だっけ?君の右手をこの水晶玉に翳してみて、光の色で何に特性を持っているか、何種類の特性が有るか分かる仕組みよ」


ジンはドキドキしながら水晶に右手を翳した。


水晶は光だし、赤く輝きを増し、更に水色に輝き、次に緑へと輝き始め、土色に光り始め、それが収まると真っ白に輝いて、それが収まると今度は黒く光り始めて段々と光が収束していき元の水晶に戻った。


「えええええええ、何、何、何、何、どういう事?変、変、変、絶対に変」「どうしたの?」とジン。


「ジン、貴方ね、今のこと絶対に他の人に言っては駄目よ」

「この世で初めて、貴方が初めて全特性を持った人だからね!この希代の天才イザベラ様でさえ3つしか持ち合わせてないのよ、そそそそれが7つ全部持っているなんて、あり得ないわ!」


「イザベラさん、今度魔物を討伐したら魔道具の素材として持ってきますね」

「そんな事気にしなくていいわ、それよりさっき私が言ったこと忘れないのよ、絶対に自分は全特性を持っているなどと他言しては駄目よ!」


「はぁい、わかりました」

ジンは”魔女の道楽”をでてクエストを達成するためにキャシーに教わった薬草のある場所に向かった。


魔力が有るとわかり、自分に【身体強化】をする方法をタブレットでポチる。

”タブレットの【身体強化(ブースト)】項目を一度クリックして頭の中で【ブースト】と念じてみてください”


すると体中に力が漲り”【MP】が800000に上がりました。【無属性魔法】のレベルが上がりました。Lv10000になりました、以後タブレットをクリックせずに発動可能となります”と響いてきた。


【ブースト】を掛けて、あっという間に『榎木かずら』の群生する場所に着いたジンはタブレットを取り出し、『榎木かずら』【マッピング】と記入して検索をポチる。

忽ち『榎木かずら』の生えている場所がタブレットに示されて、どんどん採集していく。途中疑わしいのはカメラに収めて判定をすると薬草かそうでないのか判別してくれる。


またたく間に『榎木かずら』の10束が全部で1000束出来て、【ストレージ】にいれた。


次に【ブースト】を掛けて森まで行き、同様に『エモギソウ』と【マッピング】を併用してタブレットの検索ボタンをポチった。


頭の中に”【無属性魔法】の限界値を超えました、表示が∞になります”と響いてくるが良くわからないジンはスルーする。


タブレット画面に『エモギソウ』の生えている場所が表示され、片っ端から採取して10束の束を全部で1000束採取して【ストレージ】に入れた。


『エモギソウ』を【ストレージ】に入れ終えたら、殺気を感じ身構えるとゴブリン20匹に囲まれていた。


ジンは躊躇なく『煌剣』を構え、【ブースト】を掛けて、あっという間にゴブリンを瞬殺して行った。


頭の中に”剣技スキルが2000000、体術スキルが2000000にあがりました”と声が響いた。


ジンは再び【ブースト】を己自身にかけて、冒険者ギルドへと帰って行った。


途中、頭の中に”【MP】が限界値を超えました∞になりました”と響いてきたが気にせずギルドへと戻ってきた。

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