第3話 冒険者登録

両親を早くなくし、叔父貴夫婦に育てられた一文字迅(イチモンジ ジン)

は、やっと就職した会社の研修も終えゆっくりしていた矢先、叔父貴の家が火事になり、ジンは命を落とし、神様によって転生させてもらった。

その転生先の異世界で生きていくために冒険者になろうと決心するジンだった。



受付に行き、


「あのー、冒険者登録をしたいのですが」と受付嬢に声をかける。


「はい、冒険者登録ですね?手数料として銀貨3枚が必要ですが宜しいですか?宜しければ此方に必要項目を書いて、書き終わったらこの水晶に手を翳してください」


ジンは言われたとおりに銀貨3枚を渡し、名前はジン、魔法剣士と書いて歳は16歳にして水晶に手を翳した。


水晶は初め白く光り、再びもとの水晶に戻った。


「特に犯罪歴は無いわね、魔力もあるし問題は無いわ、私は今後ジン君を担当する

キャシーよ、よろしくね!」


「こちらこそ、よろしくです」


「今の検査って何の検査をしたんですか?」


「いまのは犯罪歴とジンくんが魔法剣士と書いたので魔力が有るかの簡易検査よ。犯罪者は黒く濁って光らないわ、白く光ったのは魔力が有るということよ」


「自分の魔力特性を知るのにはどうすればいいですか?」


「魔道具を扱っているお店に行けば簡易適正検査を受けられるわ、その代わり何か買わないといけないかもね」


「魔法特性って何種類有るのですか?」


「そうね、魔法特性とは<火>・<水>・<風>・<土>・<無属性>・<聖魔法>・<闇魔法>を言うの!全特性を持っている人はこの世界では誰ひとりとしていないわ。最高で3か4特性ね」


「でも、持っていても使えるかはわからないのですよね?」


「そうね、でも、持っていなければ絶対使えないわ!」


「こ世界では、ほとんどの人は1つか2つ持っていれば良いほうで全特性を持っている人は未だいないわよ」


「ジン君、もし自分の魔法特性を調べたいなら、このギルドを出て右に50メートル行った右側に”魔女の道楽”という魔道具屋さんが有るわ、其処で小物を買ってついでに見てもらえば君の魔法特使を見てもらえるわ」


「そうですね、もしかしたら僕にも3、4個ぐらいの適性が有ったりするかも知れないですよ!なんて事ないかな・・・」


ジンはキャシーや周りから気づかれないように【次元ボックス(ストレージ)】から銀貨3枚を出してキャシーに渡した。

”何となく銅貨1枚が百円、銀貨1枚が一万円、金貨1枚が百万円、白金1枚が一億円の計算のようだ。”


後で正確に調べてみようと思うジンだった。


「因みに安くて食事が美味しい宿を紹介してください」


「その前にこのカードに1滴血を流して、カードにジン君の名前とランクが出るから」


言われて、人差し指に針をチックっと刺して血をカードに垂らすと、ジン、16歳ランクFと浮き出てきた。


「スゴーイい魔法ですね」


「あははっ、魔法ではないけど似たようなものね。E、FはアイアンカードでC、Dがブロンズカード、BランクはシルバーカードAランクはゴールドカードでSランク以上はプラチナカードよ!頑張ってランクを上げてね」


「はい、早くゴールドカードに成るよう頑張ります」


「宿は此処を出て左に50メートル程行くと”とまり木”という宿がいいそうよ」


「色々ありがとうございます」


ジンは取り敢えず聞いた”とまり木”に行こうとギルドを出る。


人が近くにいないのをみはからって、異世界仕様<タブレット>を出し、【MAP】に”とまり木”と打ち込んでみると直ぐにジンの地点を中心にその場所が表示され、難なく”とまり木”に着いた。

頭に”【マッピング】のレベルが100になりました、表示面積が100倍に増えます”と声が流れてきた。

ジンはどうやら、自分と<タブレット>は電源だけでなく、色々な部分で同期していると感じ、<タブレット>の【MAP】は異世界全ての地域を網羅しているが、【マッピング】はジンのレベルに依って検索できる広さが変わるようだという事がわかった。


******


「すみません、泊まりたいのですが部屋空いてますか?」

ジンはギルドを出る時、神様から貰った【ストレージ】にどの程度入っているのかチェックしており白金1枚、金貨100枚、銀貨100枚、銅貨100枚程度有るのを確認していた。


「はい、1泊銅貨50枚ですが」と美人で素敵な女性が透き通った声で答えてくれる。


「(安い!)ジンは10泊お願いします」と言って銀貨5枚を出す。


「私はここの娘のローリーよ、宜しくね」


「俺、冒険者登録したばかりのジン」とぶっきらぼうに答えた。


部屋はシャワーとトイレが付いてベッドが一つ有り、小さな机と椅子が備えられていてなかなかの部屋だ。


先ずは神様から貰った唯一の【次元ストレージ】の中身を確認する。

お金はギルドでちらっと調べたとおり、白金1枚に金貨以下の夫々100枚程の硬化が入っている。当分の生活費には全く困らない金額だ。


何やら神様からのメモが入っていたので読むと・・・、


”ジン君、君には創造神の儂の加護を与えている。

先ずは君も知っているMMOのゲーム同様”ステータス”というと君のステータスが表示されるじゃろう。

他人にタブレットを見られたくない場合は、ステータスとタブレットが同期して居るので、ステータスと同様にタブレットも見れるぞ。

タブレット同期と念じれば、君の前に現れて操作が可能じゃ。


タブレットはジン君の魔力が電力源なので充電はする必要はないし、魔法の発動方法などは、タブレットに聞けば全て教えてくれるじゃろ。

では、ステータスを上げるよう努力しなさい。頑張れジン君や!”と書かれていた。


ジンは【次元ストレージ】と念じると目の前に亜空間の様な漆黒の隙間が出来、先ず手に取って触ってみたら、ジンが毎日手に触れていたタブレットが出てきた。


早速電源を入れてみる。

初期画面がジンの知っている初期画面と全く違っている。


【HP(体力)】 【MP(魔力)】 【INT(知力)】 【ATK(攻撃力】

【VIT(生命力)】【DEF(防御力)】

【GOD(ブラウザ)】 【MAP(地図)】 【TRL(翻訳)】 


こんな状態の初期画面が表示されている。

上から順番にポチってみる。

【HP】:30/∞ 現在のジンの体力:備考・平均値47

【MP】:80/∞ 現在のジンの魔力:備考・平均値60


【INT】:780/1000 現在のジンの知力:備考・平均値450


【ATK】:4000/∞  現在のジンの攻撃力:備考・平均値800


【VIT】:850/1000 現在のジンの生命力:備考・平均値300


【DEF】:4800/100000 現在のジンの防御力:備考・平均値400



ブラウザの【GOD】を押しても当然インターネットなどに通じるわけがない。

SafariでもChromeでもExplorerなどというものではない。

何だ?【GOD】って?

【GOD】を押すと日本語で打てるキーボードがタブレット下画面に現れ、【GOD】の横にある白抜きの部分にカーソルが現れた。


『タブレットの使い方』と入れてみると、”分からない事、疑問、質問事項を音声または書いて【enter】キーをおしてください。神が回答できる範囲でお応えします”全く何が異世界仕様のタブレットだ!


ブラウザが【GOD】=神 神様もお遊びが好きなようだ。


ジンは半ば呆れるが【MAP】をポチるとキースの街の”とまり木”に緑の点が出てキースの宿から50キロ四方の地図がしっかり出た。

どうやら自分のいる場所を中心に半径50キロの地図が表示されることがわかった。


【GOD】に王都までの行き方 【enter】をポチると【MAP】ソフトが起動してタブレット画面に宿から王都までの地図が出た。


衛星など飛んでいないこの異世界でどういうナビゲーションシステムで表示されているのだろう・・・。

ジンはあまり深く考えずスルーして異世界仕様タブレットを色々触ってみる。


【MP】を押して自分の魔力がわかったところで、更に【MP】のボタンを長押しすると、夫々の魔法特性のレベルが表示される。

【火魔法】レベル1

【水魔法】レベル1

【風魔法】レベル1

【土魔法】レベル1

【聖魔法】レベル1

【闇魔法】レベル1

【無属魔法】レベル1


※魔法を発動するたびにレベルは100倍の割合で上がります。尚、各種魔法の詳細は各魔法項目を長押しすると表示されます。

スキル:100倍スキル・万能言語、翻訳スキル・サーチスキル・鑑定スキ

    ル・耐熱、耐寒、耐毒スキル・解毒スキル・エンチャント(付与)

    スキル・100倍時計スキル・錬金術、匠スキル・魔法解析創造ス

    キル・


”これはどういうことだ?魔法を発動するとレベルが上がるのは分かるが100倍ってこの異世界の人達はそんなに一挙に挙げられるの?ゲームではコツコツと1ランクづつ上げたはずだよな・・・それと詳細の魔法は各項目を長押しか、一緒に表示してくれれば面倒ではないのに。それに魔法特性が全部有るぞ!俺って全部の魔法がつかえるのかな?しかもスキルの数が半端なく多すぎるだろう!神様、やりすぎだよ”


疑問を感じつつも、次に【ATK】ボタンを長押しをしてみる。

【剣技】レベル2000 【体術】レベル2000 戦うたびに100倍のレベルが上昇します。

尚、ジンは前世で馬庭念流免許皆伝の持ち主、体術は沖縄流空手を元にした古流柔術を学んでいたので、攻撃レベルだけは高いようだ。


 


”どう考えても上昇単位が少し可笑しい気がするが!” まぁ異世界と言うことでスルーして、一旦タブレットを【次元ストレージ】にしまった。


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