ダンジョンホテル
ダンジョンへと到着する。
久島五十五は、目の前に存在するダンジョンを見て首を傾げていた。
「これ…ダンジョン…ですか?」
ダンジョン。
お城の様な形状をしている建物。
「見れば分かるだろ、其処にも書いてある」
確かに、お城にはダンジョンと書かれている。
『ダンジョンホテル』
…その様な名前と、入り口から出て来るのは、二人の男女。
その姿は、なんだか気分が良さげであり…何かを成し遂げた様な表情をしていた。
「…ここラブホテルですよね?」
久島五十五が聞く。
あまりにも直球な言葉に宮古エナは目を逸らして自らの金髪を指先で巻いていく。
「違う…ダンジョンだ…此処はダンジョンなんだ…」
言い聞かせる様に、宮古エナがそう言っていた。
言い聞かせている時点で、最早ここが人類に対して脅威になる様な場所ではない事は明白だった。
「一応は身分上は学生なので、入ったら駄目ですよ」
「そんなもの、私の権力でどうとでもなる。宮古一族を舐めるなよ」
あんたが舐めるなよ、とは言えなかった。
こんな所で宮古一族の権力を振るうなとは、絶対に言わなかった。
「なんだ貴様…私と、このダンジョンに入るのがそんなに嫌なのか」
「別に行っていうことじゃないですけど…」
それとこれは話は別だと久島五十五はいう。
ここは諦めてもっと別の場所で過ごそうと久島五十五は彼女に説得するように言うが。
「だめだ…もう決めた、私はここでお前と過ごす」
鬼気迫る表情をして宮古エナはそういうのだった。
「それでも駄目ですよ」
久島五十五はかたくなに拒んだ。
「どうしても駄目か」
どうしても駄目ですと久島五十五は否定する。
すると彼女は顔を真っ赤にして眉をしかめた。
「イヤダイヤダここに入るんだ。絶対だ」
駄々をこね始める宮古エナ。
こうなると自分の要求が通るまで駄々っ子のままの状態だ。
だが久島五十五にも譲れないものがある。
「エナさん、俺は別に性行為自体が悪いとはい思ってないです。だけどエナさん、俺は別に子供とかは作りたくないんですよ」
「貴様は一体何の話をしているんだ」
宮古エナは首をかしげていた。
子供が欲しいか欲しくないか、それを考える久島五十五。
顔を下に向ける。
作りたくても作れないというのが、彼の心情だ。
久島五十五はその体にダンジョンアイテムを宿している以上、彼はその責任を次の代に背負いたくはないのだろう。
「だから…これは俺の問題で、エナさんが嫌だからという理由じゃないんです」
しかし彼女はどうにも納得いかない様子で首をかしげて疑問符を浮かべていた。
「だから貴様は一体何の話をしているんだ」
どうにも噛み合わない二人だった。
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