宮古エナが権利の購入

次は、宮古エナが『7000万』で久島五十五の一日の権利を購入した。


「来い、久島」


宮古エナが久島五十五を呼ぶ為にわざわざ宮古レインドールの部屋から顔を出した。

宮古レインドールは唐突に扉を開かれたので、マナーがなっていないと宮古エナに怒りの表情を向ける。


「エナ、貴方、ノックぐらいしなさいなあ」


苦言を漏らす宮古レインドールだが、宮古エナはそんな事で怯む事は無かった。

既に、宮古エナの視線には久島五十五が居て、彼女は、久島五十五の方へと歩くと、手を掴む。


「今日一日は私が貴様の権利を買った、故に、今日だけは私のものだ。これ以上、一分一秒と無駄にしていられるか」


と、宮古エナはそう言って久島五十五を引っ張った。


「わ、ちょっ…あ、すいません、レインドールさん、行ってきます」


「はあ…どうぞお」


困った妹だと思いながら、重い息を漏らして宮古レインドールは再び椅子に座ると、テーブルの上で倒壊したトランプを回収する。


「まったく…また作り直しじゃない」


宮古レインドールはそう言って再びトランプを合わせる。

現在はトランプタワーを作っていた。


宮古エナは興奮している。

表情は強面であるが、口が逆への字だ。

鼻息が荒くて、その姿は誕生日で買って貰った高価な玩具が待ちきれない子供の様な姿だった。


「きょ、今日は何をするんですか?」


久島五十五がそう聞いた。

宮古エナは金髪ツインテールを揺らして、久島五十五の方を見ながら言う。


「貴様は軟弱だからな、私が鍛えてやろうと思って、それで今からダンジョンへ行く」


ダンジョン。

つまりは、ダンジョンの中へと潜り、アイテムを回収すると言う事らしい。


「い、今からですか?いや、それは流石に無謀じゃ…」


久島五十五は今日一日でダンジョンをクリアするのは流石に無理があると思った。

実際にそれを宮古エナに告げるが。


「問題ない。何故ならば私が居るからな!」


絶対的な自信を持つ宮古エナが高らかに言うと共に、久島五十五は車に乗せられて学校から出ていく。


「一日で終わるかな…」


久島五十五は心配していた。

主に、ダンジョンでもモンスターとの討伐は二の次だ。

問題なのは彼女にある。


宮古エナ。

暴君とも称される自己勝手な成熟した子供。

じゃじゃ馬娘と言えばまだ可愛らしく聞こえるだろうが。

それでも、彼女が暴走すれば最悪超弩級ダンジョンでも崩壊してしまう。


久島五十五は、即座に己の役目は宮古エナの補助及び制御と判断。

車の中はダンジョン用に整備されているので、後部座席の後ろからマスクを取り出した。

それは、ガスマスクであり、ダンジョンでは必需品となる代物だった。

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