第9話 唯我独尊?社長パパ

このパパとは、出会い系アプリで知り合った。

どこかの会社の社長。

年は12、3個年上だったかな…


お食事デートということで、カジュアルダイニングバーを予約していてくれた。


初めましてのご挨拶。

「可愛いねぇ〜、よろしくね〜」


気さくなおじさんという感じ。


「いっぱい食べてね、何頼む?」


社長は気前よくいろんなものを頼んでくれる。

お酒が好きなようでいろんなお酒を頼んでいる。


「〇〇ちゃんはさ、社長と付き合ったこととかある?」


「俺、仕事が超忙しくてさぁ、たまたま今日時間取れちゃったんだよね〜」


なんとなく、ナルシスト感が漂っている。


「時間はあるけど金のない男と、忙しいけど金のある男、どっちがいい〜?」


「もちろん、金のある男だよねぇ〜!俺、金はあるよ〜!」


完全に酒にも自分にも酔っている。


ちなみに、私はほどほどに時間も金もある男が良い。


酒が回り、自慢話が止まらない社長。

いかに自分が苦労して起業したか、不出来な従業員の愚痴、それを世話する自分ってすごいよね、等々、まさに自慢のデパート状態。


自分大好きが止まらない社長。


心を無にしてひたすらに「あ行」「は行」を駆使して相槌を打つ。

苦行か。


ガハハハと響く笑い声。

隣のテーブルからの視線が痛い。


唯我独尊。

この人の為にあるような言葉だな。


と思いながら、さっさと帰りてぇなと思いながら木魚を叩くようにテンポよく相槌を打つ。


帰り際、社長は次回のデートも考えていたようで、「次は、夜景の見えるフレンチで考えてるよ(ドヤァ)」


と手を握ってきた。


残念ながら、次はないだろう。


と思いながら、そっと連絡先を消した私だった。





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