第8話 異文化交流?黒歴史に残るドイツ人
先に述べてしまうと、この一件では負けを喫したというか、痛い目を見た。
この人とは、アプリで知り合った。
ドイツ人で、翻訳の仕事を長くしているらしい。
ドイツ人とはいえ、日本語でのやり取りも問題なかったし、アプリに載せられている写真も、渋いイケメンという感じで好感触だったので、会ってみることに。
駅で待ち合わせ。
四谷のバーに。
カウンターに座る。
ややスキンシップが多い。
お国柄か?と思いながら軽くあしらう。
ドイツ人はビールを。
さすが、お国柄。
私はソフトドリンクで、乾杯。
バーなので、食事というよりは軽食を軽くつまむ程度。
確か、チーズとナッツを頼んだと思う。
合流、バーに入店して乾杯して30分ほどで、ドイツ人のスキンシップが激しくなり、ついには私の手を、バーテンダーに見えない位置で自分の股間に持っていく。
「コレ、ワカル?」
股間がもっこりはんだ。
つまり、勃起しているということを伝えたいのだろう。
ストレート過ぎるんよ。
ちなみに、このドイツ人、やり取りは日本語Okだったのに、話してみるとだいぶカタコトだった。
自分の股間に会って30分と経たない女の手を股間に添えながらビールを飲むドイツ人。
そもそも、外国人とこうして会ったことなどない。
いろんな男と会ってきたが、自国以外の男は初めてだ。
ぐぬぬ、どうしたら良いのか………
そのうち、ドイツ人はその気になったのか、「ソロソロ、イコウカ」とバーを出ようとした。
「どこに、ですか?」
「フフ、オサンポ」
おチンポの間違いでは?
と思いつつ、なんとなく断れない雰囲気だったので黙って付いて行く。
ドイツ人は歌舞伎町に向かって歩みを進める。
「あの、どこに……」
「ダイジョウブ〜」
さすがは歌舞伎町、キラキラした中に黒さを感じさせる。いろんな闇が渦巻いている感じがした。
そして、私の中にもいろんな疑念が渦巻いていた。
着いたのは、廃墟のようなボロいラブホテル。
うわぁ、こう来るかと思いつつ、それとなく帰ろうとしたが………
「ナンデコナイ?クルヨネ?」
ドイツ人の表情が険しくなる。
怖い。
逃げられない。
黙って付いて行く。
リアルにベッドと虫が湧いて出そうな風呂場くらいしかないような、ボロい部屋。
おもむろに服を脱ぎ始めるドイツ人。
「ヌイデ」
もう、逃げられないと悟った。
そして、何か下手をすればこのまま歌舞伎町の闇に葬られる気がした。
黙って脱いで、ドイツ人に従う。
私の手を引いて、風呂場に誘う。
「アラッテ」
ドイツ人は、自分の身体を洗うように私に指示した。
戸惑っていると、
「ワカラナイ?アラッタコトナイノ!?」
とややイラ立つドイツ人。
他人の身体を洗う機会なんかそうそうあるかい!
もはや怖くて仕方なかったのでボディソープを泡立てて、黙って洗った。
ソープで働くと、こんな感じなのかな…とか頭の片隅で考えていた。
洗っているうちに、ムクムクと大きくなる股間。
ドクドクと波打つ私の鼓動。
早く解放されたい…
「ナメテ」
指示通りに従う。まさに「従順」を絵に描いたようなものだ。
そしてベッドへ。
前戯もままならないうちに、ドイツ人はコンドームを着ける。
避妊はちゃんとするんかい…
よく、国によって男性器の硬さや形が違うと聞く。
そのドイツ人は、柔らかめだった。
ギンギンというより、ソーセージをやや硬くした感じ。
もはや私はドイツ人の玩具というか、されるがままだった。
とりあえず早くイッてくれ、解放してくれ。と念じていた。
事後、ドイツ人はタバコをくゆらせながら、自分の欲望が満たされたことに満足したのか笑顔で話をする。
今日行った四谷のバーではAVの撮影が行われたことがあるとか。
そんないらないマメ知識を得る。
結局、そのドイツ人から得たのは恐怖心のみ。
対価どころか、もはやマイナスしかない。
これはある意味、黒歴史。
忘却の彼方に葬りたいが、あえてここに記す。
ちなみに、トラウマになったのでしばらくソーセージは食べられなくなった。
後にも先にも、カラダの異文化交流はこのドイツ人で終わり、のはず…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます