第47話 輪の国の遅い対応、その原因は?

クラブ帝国のはにわ市占領は素早く行われました。

なにしろ、はにわ市長がわざわざクラブ帝国を呼び寄せたという小さな事実がどんどん大きく取り上げられたからです。


こうなってしまっては、輪の国の中央が何を言おうが後の祭りでした。

しかし、事態が悪化した理由は、ラッキー・ホット・コモリの一党の腰砕けた対応だけが原因ではありませんでした。


輪の国にいる協陽党が「とにかく争わず、穏便にと事あるごとに発言をし、その度に輪の国で軍隊の派遣やクラブ帝国に対しての発言を邪魔されていたのでした」

この点ではコモリ一党よりもクラブ帝国の為に働いたと言えるかもしれません。


協陽党は、平和第一!戦う位なら降伏して敵に命を委ねるという思想集団でした。

なので、はにわ市にいる協陽党員は素直にクラブ帝国の指示に従って生活していました。


はにわ市を占領してから時間がたつと、コモリ一党の上級幹部や協陽党の幹部たちはクラブ帝国の将校たちと話が出来る関係になりました。

クラブ帝国の略奪、暴行は全てのはにわ市民に行われましたが、そうした幹部とその家族だけは多少の便宜が図られました。


後に発覚した文書によると、はにわ市で略奪、暴行にあった市民の割合は約60%だったのに対して、コモリ一味は約35%、協陽党幹部は約30%と明らかに差異がありました。


ここで、大事な点はあくまで被害率が違うだけでどちらもクラブ兵士たちから犯罪行為を受けているという事実です。

この時、コモリは外見上はいつものようにニヤニヤ笑っていましたが、内心はクラブ帝国の兵士たちを恐れていました。


ある時、コモリたちはクラブ帝国の将校に呼ばれ、軍船に乗る機会がありました。

コモリたちは精一杯の媚びを見せていましたがクラブ帝国将校はまるでそのような態度に感心がありませんでした。


彼らが要請、いや、命令したのははにわ市の物資の供給と、兵士たちの娯楽のために多数の若い女性と一部少年たちを集めて軍艦に連れてくることでした。

コモリたちは凍り付いた笑顔を見せつつ、召使のように彼らの命令に従いました。


時にはコモリの子供やコモリ一味の家族の娘や息子もそうした娯楽の対象として求められました。

それに対して、コモリ一味の中にも感情のある人間はいたようで、涙を流し懇願してその命令を断ろうとしました。


しかし、クラブ帝国の幹部は機嫌を損ねるとそのコモリ一味の人間の心を持つ人物を刀で一刀両断にしました。

それを見せられて、コモリたちは笑い顔を維持しつつ、まるでロボットのように自分の家族を差し出していきました。


若い娘や少年が泣き、わめく姿をみながらも、コモリたちは無感情にクラブ帝国の幹部にこびへつらうのみでした。

愚かではあっても人間味が残っているコモリ一味と違い、協陽党の面々は違う反応を示していました。


その様子は次回紹介します。


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