第46話 はにわ市クラブ帝国により占領される
ここは輪の国の内閣府。
輪の国は国家の象徴及び元首として聖皇がおり、その裁可によって首相が決まる仕組みとなっています。
突然のクラブ帝国軍の上陸に輪の国は混乱のるつぼでした。
輪の国の首相はまず、クラブ帝国の大使館を通じてはにわ港の上陸を止めるように伝えました。
もちろんクラブ帝国の大皇帝バウバウカーンはもちろんこの提案を無視!大使館にもそのように命令しました。
次に輪の国の首相は緊急事態令を発して、はにわ市周辺に軍隊を配置しました。
もちろんはにわ市にも配置する予定でしたが、ここで邪魔が入ります。
ラッキー・ホット・コモリの一党がはにわ市長とともにクラブ帝国とことをかまえるのは良くないと強く進言し、はにわ市に輪の軍隊が入る事にも反対しました。
それだけでなく、軍の移動に関しても、あれやこれやと反対や時間稼ぎをしていました。
この時間稼ぎをしている間にクラブ帝国は上陸を果たし、はにわ市及びその周辺を占領していきました。
この時、注目すべき動きがありました。
それははにわ市の吟遊詩人たちと瓦版を配るほとんどの者たちが、クラブ帝国に従順に従うように市民に呼び掛けたのです。
これはもちろん、コモリたちが相談したうえで決めたことでした。
中には気骨のある吟遊詩人や瓦版業者も少数ながらいました。
しかし、それらのものたちはクラブ帝国に拘束されたり、殺されたりしました。
もちろん、コモリたちの人脈がすみずみまで通っているはにわ市ではそうした事件や事故は報道されませんでした。
クラブ帝国の兵士たちは士気が低く、兵の練度も高くはありませんでした。
理由はゴブライナでの泥沼の戦いの為に兵士から見て碌な現実しかなかったわけです。
しかし、こうしてはにわ市という豊かな地を占領したのは彼らにとって喜びでした。
そして、彼らが上陸して最初にやったことは略奪暴行でした。
ゴブリンやオークなど戦いに駆り出されていた者たちの楽しみはそれしかなかったのであり、クラブ帝国では内々にそうしたことを容認していたのです。
商店街で、住宅地で、学校で、ショッピングモールで、彼らは蛮行の限りをつくしました。
老若男女問わず暴力を振るい、性的暴行を加え、それが終わると殺すこともためらいがありません。
かれらにとって、それこそが唯一の楽しみだったのです。
肉の楽しみ、物欲の楽しみ、生命をもてあそぶ楽しみ、彼らは世の快楽をはにわ市で楽しんだのです。
流石にラッキー・ホット・コモリの一党もこれは不味いと思い、抗議をしようとしましたが、クラブ帝国の指揮官たちが一様に機嫌が悪くなるのを見て、言葉を飲み込んでしまいました。
結局コモリ一味がやったことは、自分の仲間の吟遊詩人や瓦版業者にクラブ帝国兵の蛮行を語らないようにと口止めすることだけでした。
こうして輪の国はクラブ帝国との戦争に巻き込まれました。
その原因ははにわ市長の不用意な発言、クラブ帝国を喜ばすためにはにわ市は歓迎するといった軽いリップサービスからでした。
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