第45話 はにわ港上陸!

東部方面軍情報官ノゲラモフがクラブ帝国大皇帝バウバウカーンにある提案をしました。

それは「輪の国の要衝はにわ港への兵士の上陸」です。


クラブ帝国から見れば、輪の国の代表の一人であるはにわ市長の要請により上陸するということであれば、頼みを聞いてやるということになり、大義名分が立ちました。

もっともクラブ帝国の大義名分は都合の良い時の方便にすぎませんでしたが。


バウバウカーンは久しぶりに景気の良い話題、兵士を他国へ上陸させるという提案に今までの不機嫌が嘘のように明るい表情でノゲラモフに声をかけます。

「よし、直ちに実行せよ!」


さて、舞台は変わってこちらは輪の国のはにわ市。

はにわ市は輪のくにの西側に位置しており、はにわ港は海を隔ててクラブ帝国とつながってます。


いつもと変わらぬ光景が続くと思いきや、なにやら見覚えの薄い艦船がはにわ港に近づいてきました。

それは、クラブ帝国の艦隊でした!


クラブ帝国は前準備無しではにわ港への上陸を画策していました。

はにわの港湾関係者は強烈な驚きを示しつつ、上司に指示を仰ぎます。

しかし、上司たちもどうしていいか分かりません。


とりあえず、クラブ帝国の軍艦に待機するように勧告しますがクラブの艦隊司令は「はにわ市長の要請で参上した!歓迎のパーティはまだか?」とまるで話が通じません。


やがて、はにわ市長に状況が伝わります。

「なにが起きた?どうしてこうなった?」

はにわ市長はバリバリのクラブ帝国寄りの人物ですが、まさか自分の発言がこのような結果になるとは想像していませんでした。


売国をする人に良くあることですが、売国先の機嫌を取ることに熱心ではあっても、実は売国先の事はよく分かってないということがあります。

憧れとは、客観的に相手を見る時に邪魔な感情であるという考え方がありますが、まさにそれが当てはまる現象でした。


はにわ市長がしどろもどろしてる間に、クラブ帝国の軍艦ははにわ港に入港、上陸の構えを見せていました。

はにわ市長は仕方なく、親分であるラッキー・ホット・コモリに連絡して指示を仰ぎました。


コモリもまた、その話を聞かされた時は驚きました。

彼もまた、クラブ帝国からなんの前触れもなくこうしたことを聞いたのです。

彼らはあくまで駒です。

報連相など存在しません。


コモリは愚痴りました。

「何かするなら事前に連絡してもいいだろうに!」

もっとも、仮に連絡をしたとしても、コモリたちに選択権などなかったでしょう。

あくまで彼らはクラブ帝国の駒にすぎないからです。


こうして、あたふたする輪の国とは対照的に、クラブ帝国は上陸を開始!

数千もの兵士がはにわ港に上陸して、簡易的な陣を構築していきました。

その間、はにわ市長もコモリたちもタダ唖然として、あるいはぶつくさ独り言を言いながら何も行動できませんでした。


さて、輪の国全体ではこの騒動はどう映ったのでしょうか。

次回はそこに焦点を当ててみます。


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