第44話 バウバウカーン、はにわ港上陸を検討す!
クラブ帝国バウバウカーン大皇帝は宮殿の中で不機嫌さを隠そうともしませんでした。
隣国であり小国のゴブライナ相手に自らの軍勢が苦戦しているのが気に入らなかったのです。
彼の側近も彼を怒らせないように言葉に気をつけていました。
そうすることでますます空気が重くなり、大皇帝は何かアイデアはないかとある時は怒鳴りながら、ある時は嫌味たらしく側近に尋ねました。
そんな空気の中、一人の中年の人物がバウバウカーンに進言します。
彼の名はノゲラモフ!東部方面軍情報官という役職を担っていました。
バウバウカーンは苛立ちを隠さずに問いただします。
「ゴブライナで忙しいこの時期に何の話だ、つまらぬ話ならば処刑するぞ!」
その声はジョークの口調のようですが、目と態度が苛立ちを表しています。
ノゲラモフは少しかしこまりながらも、冷静な口調で報告します。
「輪の国のラッキー・ホット・コモリの一味であるはにわ市長が我が国の軍船を歓迎すると述べたそうです」
「なに!まことか!!」
バウバウカーンは驚きと喜びの混ざった声で問いただします。
「はい、まことにございます」
ここで話を整理しておきましょう。
たしかにラッキー・ホット・コモリとその一党はクラブ帝国のスパイです。
そして、その配下の一人であるはにわ市長も同様にクラブ帝国のスパイと言っていい存在です。
しかし、彼らはあくまでリップサービスとして発言したのであって深い意味はありませんでした。
例えるなら、機会があったら遊びに来てください、位の軽い気持ちでした。
しかし、クラブ帝国はそう取りませんでした。
彼らは自分たちに都合の良い風に言葉の意味を変えてしまいます。
事実、ノゲラモフもバウバウカーンも自分たちに都合の良い話として受け取っていました。
それは、軍艦を含むクラブ帝国の船や兵士や物資を好きな時にはにわ港に降ろして良いという意味でした。
もちろん、輪の国のほとんどの人々はそんなことを認めるわけがありません。
ゴブライナとの戦いでクラブ帝国が女子供区別なく虐殺したり、暴力を振るっていることを知っているからです。
それも一部ではなく、大皇帝の命令の元、ほとんどの軍隊で日常的に行われているという情報が流れていました。
あの、コモリ一味でさえ面倒はごめんというのが本音でクラブ帝国の軍船や兵士を入港させることなど考えていませんでした。
しかし、はにわの市長が言質を与えたのは事実です。
たとえそれが本意ではなく、誤解やわざと間違えたとしてもそうした隙を与えたことでバウバウカーンとクラブ帝国に余計な欲望や野望を持たせてしまったのは事実でした。
バウバウカーンは席に座り直してこう言葉をかけます。
「続きを聞こうか!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます