第48話 協陽党の教え

輪の国がクラブ帝国のはにわ市上陸で混乱する中、司馬家は有事の準備をしていました。


長男の馬括は政治の分野で軍隊の派遣と迎撃について発言していました。

初めにはにわ市にクラブ帝国が上陸した際には、すぐさま迎撃するものと思い、そのための準備をする予定でした。


しかし、政権内にいる協陽党の反対と遅滞話術のためにそうした準備は無駄になりました。


協陽党の主張は大きく二つ、戦闘をしないことと、クラブ帝国を刺激しないことでした。

これだけ聞くと、まともなことを言っているように聞こえますが、クラブ帝国からみれば、これは単なる無抵抗主義でした。


そしてこれは、クラブ帝国にとってとてもやりやすいことでした。

馬括は当初の迎撃プランを全て捨てて、司馬家の他の3人と相談することにしました。


他の三人も馬括と同じく迎撃と避難を行うべきと考えていましたが、協陽党の無抵抗戦術によって、事実上何もできませんでした。

しかし、このままぼーっとしてもいられません。


実戦部隊を指揮する四男の信頼は声を大にして言います。

「このままでは無条件降伏する可能性すらあります。そうさせないように馬括と趙謖の二人は協陽党の暴挙を防いでください」


「それと、戦力を取られたら一巻の終わりです。何とか戦力を温存出来るようにしてください!」

2人の兄は信頼の言葉をもっともと思い、彼の提案に応えるようにすると約束しました。


今の状況は軍隊も政府もあまり頼りになりません。

そこで話し合いの末、三男の信景には彼の傘下の会社やこんな時の為に用意した諜報部を駆使して情報を集めることにしました。


その時、趙謖の提案で、彼らの諜報部の存在は極力知られないようにする点も申し合わせがありました。

こうして、完全に後手に回りましたが、司馬家はこの混乱に対して備えをすることになりました。


まず、馬括が政府を動かし、可能な限り軍隊を温存しました。

これは協陽党や他の勢力に軍権をにぎらせず、司馬家の影響下にするためでした。

政府が曖昧な事を言っているうちに、事務職である趙謖は書類をサクサクと作成し、法律上問題のない形で馬括の望む軍隊の温存が出来る体制を作り上げました。


そして、現場指揮官の信頼は輪の国の首都と軍事拠点に兵を再編成することにしました。

ちなみに輪の国の首都名は「ひだりねこみみ」と言います。

漢字で書くと左猫耳ですが、輪の国ではひらがなのこのふんわりした雰囲気が人気の為、閣議で正式名称として決められました。


次回は輪の国の地理について説明します。

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