第40話 輪の国の選挙と諸外国の暗躍
ゴブライナとクラブ帝国が血で血を洗う争いをしていたころ、輪の国では平和な事に選挙シーズンとなり各政治勢力が活動を活発化させていました。
同じ世界で片方は終りの見通せない戦争と期間限定の選i76y65t5rf挙が行われるというのは何とも不思議な事です。
輪の国では上院と下院がありますが、上院は貴族や領主などの上流階級が議席を握っています。
そのおかげで、輪の国は伝統と文化を守る国として世界に知られています。
下院はぶっちゃけて言えば人気投票です。
基本はプロの政治家が多いですが、中にはアイドルやタレントなどがいます。
この場合のアイドルとは吟遊詩人のことであり、日本のような全国的なアイドルはあまりいません。
また、元瓦版を生業とした議員もチラホラ見受けられます。
彼らはお互いのコネクションを使って、互いが選挙で有利になるように弁舌を駆使します。
それを見てズルいと思う心ある人々も多くいますが、瓦版は輪の国の社会で相応の信頼を得ているために彼らの当選率と発言力はとても強いです。
さて、ダークゴブリン連合群の盟主を自称するクラブ帝国ですが、国力はそれほど強くなく、経済力だけなら輪の国の70%ほどの国家です。
しかし、膨大な軍事費と同じく膨大な諜報活動費を使って他国の国力を削る事に関しては長けていました。
そんな金があるなら自分の国民に還元すればいいのに、それをしないのがダークゴブリン連合群の盟主を死守したい彼らの性格なのでしょう。
そして、今回の輪の国の選挙でも彼らは暗躍していました。
まず、例のラッキー・ホット・コモリとその一党に莫大な活動資金と人材を提供しました。
その金額は、議員報酬10年分という破格のモノでした。
ラッキーは金と女が大好きです。
彼らは餌を与えられた犬のようにクラブ帝国に忠誠を誓っていました。
選挙は金がかかります。
選挙のポスターの準備、ポスター張り、宣伝カーの準備、場合によっては演説を聞くサクラも準備します。
とにかく人がいくらあっても足りません。
しかし、選挙の援助に外人を使うのは本来違反ですが、選挙候補者があまりにもその法律を守らないために有名無実化していました。
ラッキー・ホット・コモリはニヤニヤしつつ言い放ちます。
「輪の国の民はルールだ約束だと自分の足かせを作りたがるが、そんなものは無視すればいい。正直者がバカを見るのが世界の真理というやつよ!」
ニヤニヤ笑いつつラッキーはご機嫌で仲間に演説をぶちます。
「戦いを忘れた輪の国の民など恐れるに足らん!カネと女と暴言でこの選挙を勝ち抜こうぜ!」
彼の言葉を聞いて不審に思う者はなく、彼らの一党は考え方まで一つになっていました。
これはある意味強みでした。
仲間内で疑う者がなく、やるべきことが決まっているという判断を全員が共有している、ある意味宗教の教祖と信者のようなものでした。
彼らの結束は強く、輪の国を食いつぶす気満々でした。
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