第20話 四英雄と司馬の姓

輪の国についた四人の英雄たち。

彼らはマザコン歴651年の時点で22歳でした。

異世界の輪の国に来て、四英雄がそろって抱いた感想があります。


それは・・・

この国はぬるい!!!です。

輪の国は過去二回外国からの圧力に屈しました。

なので、国に勢いがないのは仕方がないことかもしれません。


しかし四英雄たちが感じたのは、そうした敗北後の倦怠感とは別の何かでした。

彼らのうち、最初にこの空気の本質を理解したのは信景でした。


彼は他の三人にこのように説明します。

「なにをやっても上手くいかない、意味がないと思うとこういう空気になるものだ!中途半端に負けるとこうなる」


他の三英雄はその言葉を聞いてうなづきました。

なにしろこの四英雄はそれぞれ地獄のような敗北を経験しています。

もう二度とあんな思いをしないという決意は他の誰にも負けないくらいに。


とはいえ、輪の国はそれほどひどい国でもありません。

経済力はこの世界全体の約8%あり、とても豊かな国です。


軍事力も5%という数字が提示されていて、決して小国ではありません。

それでも、倦怠感を強く感じるのは、彼らがまるで何かの薬を飲まされているかのような元気のなさが問題なのだと四英雄たちは感じました。


さて、輪の国の首都の様子を見ていた四英雄でしたが、異世界の女神から直接声が聞こえてきました。


彼らは首都から魔導列車に乗り、二時間ほどしてからある家に行くようにアドバイスを受けます魔導列車で駅に着き、そこから魔導タクシーに乗っていくと、貴族が住んでいそうな大きな庭と屋敷に付きました。


すると、また女神の声が聞こえます。

「ここがあなた方の家、本拠地となります。あなた方はこれから名門司馬家の人間としてこの世界で生きてもらいます」


「まず馬括!、あなたは今日から司馬馬括と名乗りなさい、そしてあなたはこの家の四人兄弟の長男となります」


「次に趙謖よ!あなたは司馬趙謖、次男となります」

「三男は信景!あなたです!今日から司馬信景です」

「そして四男は信頼、あなたは四郎の文字を抜いて司馬信頼とこれから名乗ってもらいます」


長男と次男となった馬括と趙謖は機嫌がよさそうです。

鼻歌が聞こえたり、偉そうな顔をしています。


三男の信景は少し不満そうです。

まあ、名門の生まれの彼としては人の風下に立つのはいささか抵抗があるようです。

そして四男の信頼は、四男が取れて、これまた少し複雑な思いがあるようです。


四男といういう表現に慣れたせいかもしれません。

いずれにせよ、彼らはこの世界で四人兄弟、しかも四つ子となりました。


さて、彼らは家の中に入り、丁度四人が座れる机に行き、着席します。

周りには貴族によくある、執事とメイドさんたちがいて、紅茶を準備していました。

流石四英雄は皆良いとこの坊ちゃんなので、自然にこの手の作法を身に着けています。


女神の説明が続きます。

「司馬家は輪の国の名門であり、代々優秀な政治家、官僚、経済人、軍人を輩出してきました、とりわけ軍に関しては歴史ある名家としての歴史があります。これはあなた方にとって有利に働くでしょう!」


「あなた方はこれから、各々の得意分野で活躍する社会人として頑張ってもらいます。馬括は政治家に、趙謖は官僚に、信景は経済界と文化界における有名人として、そして信頼は軍人としてこれから約15年頑張ってもらいます」


「あなた方は来るべき時に備えて、各々の世界で活躍してください!それとそれぞれれの過去22年についておぼろげな記憶を付与しました。あなた方が転生者である事はあなた方だけの秘密にしておいてください」


「まあ、万が一バレてもペナルティはつけませんが、いろいろめんどくさそうなのでうまくやってくださいね」


こうして四英雄たちは名家での優秀な仲良し?四兄弟として転生を果たすことになりました。


では、次回は彼らのその後約一五年の歩みについて説明していきます。

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