第19話 輪の国ってどんな国?
四英雄異世界での生息の地は「輪の国」でした。
ヒューマンとドワーフが混在する歴史の古い国家です。
前回説明した通り、超古代文明の異物であるマザーコンピューターを認識した年をマザコン歴一年としたこの世界は今、マザコン歴651年となります。
この輪の国はそのマザコン歴1年よりも古い歴史を持ち、固有の文明を持つ大国でした。
とりわけ、ドワーフが優れた武器を製造し、それをドワーフとヒューマンが器用に使いこなすので、昔から軍事力の強い国家として認識されていました。
しかし、マザコン歴599年に世界大戦が起きました。
この時、最強の美麗七州国とゴブリン帝国連合群が同盟を結び、輪の国を完全敗北させ降伏を迫りました。
輪の国は国家元首である聖皇(せいこう)の身の安全の保障と輪の領土と呼ばれる輪の国固有の領土意外の海外領土を放棄することになりました。
ちなみに国家元首の聖皇はヒューマンの血筋とされ、代々ヒューマン同士の婚姻によって1000年以上保たれていると伝えられています。
異世界の女神が四英雄をこの国のヒューマンにしたのは、この点の有利さも考慮したものと思われます。
後で説明しますが、彼らにはこの国での名門の家柄に転生するように準備されていました。
国土の説明を続けると、輪の領土とはほぼ丸い輪っかのような陸地と猫や熊を思わせる2つの三角形の出島と諸々の小さな島から出来た、まさに島国です。
真ん中に湖があることで実に愛らしい形をした領土となっています。
人口は約1億人、ヒューマンが約3000万人、ドワーフが1000万人、あとはその他の血が混じった混血種でした。
元々軍事力がありましたが、先ほど説明した戦争での敗北で軍事力は大幅に縮小、おまけに美麗七州国とゴブリン帝国連合群、そしてエルフ連合体に度々内政干渉をされる弱い国になってしまいました。
地形で見ると、北西にゴブリン帝国群の領土が、丁度カニが玉を掴もうとしているかのような形で迫っています。
ちなみに、ゴブリン帝国群のこの形から、特に南西部をクラブ(カニ)帝国と呼ぶ者もいます。
そして、そのクラブ帝国の上のはさみの部分にはダークゴブリン由来国という小国が存在します。
彼らは自分たちこそがダークゴブリンの由来であると国中で吹聴しています。
ちなみにこうした教えや考えはこの由来国だけの話で、世界の他の地域では無視されています。
かれらは自分たちがゴブリンの正統であると唱える一方、特殊魔法「擬態」を得意としています。
これは彼らが擬態という魔法を使うことで、外見がどんな種族にもなれるという彼ら特有のスキルです。
つまり、この魔法でゴブリンだけでなく、エルフやヒューマンやドワーフにも擬態できるというわけです。
これを使って、世界各地に広がりこの特異な由来の教えを広げつつ侵入した国家を弱体化させる行動を繰り広げています。
実は輪の国はこの由来国の現在におけるもっとも美味しい獲物でした。
ゆえに彼らは後々四英雄と激突することになります。
クラブの下のはさみの部分には「信」という国があります。
これは以前話した「義」の国の兄弟国で、今は互いに争う情勢になっています。
そして、クラブ帝国の下、輪の国の西側には「義」があり、時にはゴブリン連合群と争い、時には同盟を結んでいます。
マザコン歴651年時点ではゴブリン連合群とは友好関係を、輪の国とは中立関係となっています。
そして、好き嫌いはあれ、輪の国の最大の貿易相手国であり、軍事力で劣るこの国の安全保障をしているのが、美麗七州国です。
この国はマザコン歴599年に成長した輪の国を敵視して屈服させた後、自分たちの覇権を守る盾として少しづつ成長させていきました。
そしてマザコン歴640年に再度輪の国が経済的に成長して危険と判断すると、今度はゴブリン由来国を使って経済を妨害してきたのです。
とにかく、この世界のNO2が自分たちの覇権を脅かすと判断した時に、超科学であるマザーコンピューターを使い、ライバルを蹴落とすのが国是でした。
こうして四英雄たちは決して楽ではない異世界の転生の環境を知る機会を得ることになります。
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